著者
野底 武浩 車田 昌弥 儀間 悟 水口 尚
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.109-119, 2018 (Released:2019-09-18)
参考文献数
16

蒸発倍率を向上させることを目的に,加熱蒸留部と非加熱蒸留部から構成される拡散式多重効用蒸留器を提案し,100 ℃で加熱される,加熱部と非加熱部の長さ比が1:1の10段効用蒸留器について,定常二次元のモデルを構築し数値解析を行った.各効用段の加熱部においては,蒸留の進行とともに溶液と凝縮水は昇温して蓄熱し,非加熱部においては放熱して温度を低下させ蒸留を継続させるとともに,溶液と凝縮水が持ち出す熱量を大幅に減少させた.この流出熱量の減少により,蒸発倍率は24 %向上した.総蒸発速度は,加熱蒸留部の長さを基準にすると50 %の向上,加熱部と非加熱部を合わせた長さを基準にすると25 %の低下であった.提案型蒸留器において,濃縮倍率を2倍から4倍に増加させた場合と,溶液の供給温度を30 ℃から60 ℃に上昇させた場合について数値解析を行い,濃縮倍率と供給温度の上昇により蒸発倍率がさらに向上することを示した.
著者
鳥居 邦夫
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.197-204, 1994 (Released:2013-02-19)
参考文献数
22

1 0 0 0 OA 塩と味覚

著者
山本 隆
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.115-120, 2005 (Released:2013-02-19)
参考文献数
16
被引用文献数
2

Sodium ion in salt (NaCl) excite taste cells in the taste buds by penetrating a specific ion channel called ENaC. The neural information is sent to the brain via the taste nerves and is processed to elicit salty taste. Animals prefer salt solutions at the isotonic concentration (0.15mol/l) and reject at the hypertonic concentrations. Females like salty taste more than males do. Under the salt appetite condition, animals show high sensitivity to weak salt solutions and low sensitivity to strong ones to facilitate ingestion of Sodium ion by changing the hedonic value. Brain mechanisms of palatability are described in terms of brain substances: palatability is enhanced by benzodiazepine derivatives and β-endorphin, the motivation to ingest is performed by dopamine and the ingestive behavior is executed by orexin.
著者
外丸 裕司 白井 葉子 高尾 祥丈 長崎 慶三
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.307-315, 2007 (Released:2013-02-19)
参考文献数
30

Since the discovery of an extremely high abundance of viruses in marine environments in late 1980's, their ecological roles and scientific importance have been of great interest. Most marine viruses are considered to be bacteriophages and cyanophages, which have significant impact on the global biogeochemical cycle. Marine viruses also include viruses infectious to eukaryotic microalgae (=algal viruses). The genomic and physiological analysis of algal viruses showed that they are remarkably different from previously known viruses; hence, poverty in the marine virus sequence database has been a problem. On the other hand, their potential importance as genetic resources has recently been highlighted. Algal viruses are also important for controlling phytoplankton dynamics, especially for bloom-forming species. In addition, marine viruses have been studied from the viewpoint of industrial applications, e.g. microbiological agents for eliminating harmful blooms and fish diseases caused by bacteria. Marine virus study is still in its infant stage; further intensive research will shed light on the importance of viruses in marine environments.
著者
武田 克巳 上村 有輝
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.3-9, 2016 (Released:2017-09-27)
参考文献数
6
著者
重松 恒信
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.150-157, 1978 (Released:2013-02-19)
参考文献数
14
著者
畑江 敬子 荒井 綜一
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.226-229, 2007 (Released:2013-02-19)

The salty taste strength of foods may not necessarily depend on their NaCl contents. The saltiness we feel often varies according to the physical properties of the foods that function in the mouth. However, no clear scientific information has been available up to the present.With it as a background, we undertook a project research aimed at elucidating the relationship between the NaCl contents of foods and their saltiness. The following foods with different NaCl contents were prepared: egg white gel, 0.4-1.2% NaCl; soy protein isolate gel, 1.0, 2.0% NaCl; soy protein curd (tofu), 0.5, 1.0% NaCl; and agar gel, 0.8, 1.0% NaCl. Sensory tests using well-trained panel members were first carried out with these food preparations to define their saltiness in terms of salty taste efficiency ratio (STER). The tests gave the STER values ranging from 0.58 to 1.10. Physical data were also measured with the foods to obtain several of their parameters involving gelling properties. It was then tried to correlate the physical data with the STER values. We could not find any significant correlation as far as the same food was tested irrespective of its different NaCl content. However, all the foods we prepared were comprehensively submitted to the physical parameter-sensory score analysis, significant relation appeared (R2: 0.83) which were clearly represented by an equation as a function of breaking stress value. It was also suggested that the STER differences were generally larger between foods than within a food having different NaCl contents.This project research is apparently the first that objectively expresses the saltiness of foods in relation to their physical properties. It would contribute to our scientific aspect on how the proper saltiness for cooking of foods varies depending on the physical properties.
著者
小島 紀徳 堀内 都雄
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.43-50, 1997 (Released:2013-02-19)
参考文献数
11

植物プランクトンによる窒素の取り込み速度と施肥された肥料の海洋表層の水平方向の拡散を考慮した海洋表層の拡散モデルを用いて, 施肥により有効に利用される肥料 (窒素) 分を計算し, さらに船舶による窒素, リン肥料の輸送のエネルギー的評価を行い, 散布方法を検討した. その結果, 船舶からの散布された肥料は施肥1日後には表層中を1km以上まで均一に拡散し, その後徐々に植物プラントンに取り込まれることがわかった.半径10km程度の海域に, 大気に残留する二酸化炭素の約1/500を全量吸収することができる量の溶存無機態窒索を均一に散布した場合には, 散布後1年の間に表層中の溶存無機態窒素はほぼ全量が有機物として取り込まれた. 有機物は半径100kmから200kmのオーダーまで拡散した. その間一部は有機物となる前に溶存無機態窒素として深海に移動するが, その量は1/104以下と非常に小さいことがわかった. このことから, 施肥された肥料は表層の水平方向の混合によりすばやく拡散しながら植物プランクトンにより取り込まれるため, 散布された肥料のほぼ全量が大気中の二酸化炭素の海洋への吸収に寄与することがわかった.また船舶運行に必要なエネルギーから放出される二酸化炭素量は散布範囲を広げても, 施肥による大気中二酸化炭素の固定量の約0.23%であり, 肥料製造に必要なエネルギーから放出される二酸化炭素量と比べると1/50以下程度で無視できるほど少ないことがわかった.以上, 本研究では, 光合成速度, 散布法を仮定し, 光合成による二酸化炭素の取り込みの遅れ, あるいは水平方向に広く散布するための船舶運行のためのエネルギーを算出したところ, いずれも無視できるほど小さく, 多少の光合成速度, あるいは散布条件の違いでは, 既報で得た結論には大きな変更をもたらさないことを明らかにした. 本報では表層中の有機物濃度上昇の環境影響についての評価は行ってはいないが, この点についての危惧を考えると, 本報で仮定したよりもさらに広範囲に均一に散布することが望ましいとの結論にいたるものと考えられる.
著者
Frank Osborn Wood 増沢 力
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.327-332, 1981 (Released:2013-02-19)
参考文献数
5

米国の東部, 中央部, 北中央部は雨が多く, 天日塩田操業はこは適さないが, 採掘や溶液採鉱に適した地表近くに十分な岩塩層および塩ドームが存在している. 溶液採鉱により生産したかん水は蒸発して固型塩とする. 米国の西部ば乾燥している気候で, かん水源はカリフォルニア太平洋岸, ユタ州のグレート・ソルト・レイクおよびカリフォルニア, ネバダ, ニューメキシコ各州の塩湖沼 (プラヤplaya) である. プラヤでは, 塩は乾燥地の表面から溶解してその後蒸発して天日塩となる.岩塩床は地下60mから1,500mの深さに存在する. その厚さは0.6-600mを超える. 塩は古代海洋から7000万-5億年前に析出したものである, 岩塩床は黒色の水平層を含んでおり, これが1年の析出量を表わすものと考えられている.近代的な岩塩坑の採掘方法は世界中ほぼ一様で, 竪坑を岩塩層まで掘り下げ塩を地表まで引き上げる. 塩は石炭とほぼ同様なroom-and-pillar方式で採掘する. 空所と掘抜部は, ほぼ12-21mの広さで同じ幅かやや小さい柱を残す. 塩ドームの場合では, 空間と柱は平均幅30mでよい. 塩は粉砕と選別のあと13mmから非常な微粉までの製品とする.真空式蒸発法では, 飽和かん水は在来の多重効用蒸発缶に供給される. これらの蒸発缶は, 通常下部が円錐型, 上部が逆円錐型となった垂直のシリンダーのタンクである. 下部円錐体のすぐ上に蒸気コイルがあり, 蒸発用蒸気が送られ撹拌機でかん水を定常状態に撹拌する. 蒸発缶は経済性からふつう3または4重効用である.蒸発中にかん水から塩結晶が析出し, スラリーとして取り出され回転フィルターへ送られる. 真空式蒸発法で得られる塩結晶は粒状塩として知られ, その型が立方体粒子である特徴をもつ. その大きさがほぼ0.15-1mmであるグレーナー塩は米国ではほとんど廃止されている.それは幅約5m, 長さ37-45m, 深さ0.5mの長方形のタンクで製造された. これらのタンクは飽和かん水で満たされ,“フレーク” 型の塩を生産した. アルバーガー塩はフレーク塩とせんごう塩の混合した形態をしている.近代的な天日塩田は, 通常九つの大きい濃縮池と, 一つの濃縮池の面積とほぼ等しいいくつかの連続した結晶池とからなっている. 濃縮池および結晶池間の堤防は, 通常池の底から1mの高さで監視用の車が通れる十分な幅がある.
著者
村上 正祥
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.48-52, 1991 (Released:2013-02-19)
参考文献数
4
著者
加藤 茂
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.291-292, 2015 (Released:2016-09-26)
参考文献数
4
著者
薮谷 智規 金澤 隆志 福田 晃規 本仲 純子
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.36-42, 2004-02-01

食塩中の微量元素を迅速かつ多元素同時定量する方法の開発を目的として, 分離濃縮法に塩中マグネシウムを担体とする共沈を用い, 測定法にプラズマ分光法を使用する分析法について実験検討を行った.塩試料を純水約500mlに溶解し, 0.45μmのメンブランフィルターでろ過して不溶成分を除去後, 0.1mol1<SUP>-1</SUP>HNO3溶液とした.本溶液を遠心分離管に秤取後, 沈殿剤として3mol1<SUP>-1</SUP>NaOHを添加し, 沈殿生成後4時間以上放置した.さらに, 2500rpm, 10分間遠心分離を行った後にデカンテーションを含む操作を3回実施し, 沈殿の洗浄を行った.沈殿を濃硝酸で溶解し, 内標準元素を含む溶液を添加した後, 最終溶液量を2mol1<SUP>-1</SUP>HNO<SUB>3</SUB>10mlとなるように純水を加えた試料を測定溶液とした.その溶液を誘導結合プラズマ質量分析法 (ICP-MS) で測定を行った.<BR>Mg共沈時の回収率はAl, Fe, Mn, Co, Ni, Cu, Zn, Cd, REEsについていずれも90%以上であり, その相対標準偏差 (RSD) は3%以内の結果が得られた.また, 塩試料の主要な構成元素であるNa, K, Ca, Srの除去率はほぼ100%であった.本実験における空試験値は測定対象元素において検出限界以下あるいはその付近の濃度であり, 本方法における実験時のコンタミネーションの低さが確認された.実際試料として, 伯方の塩 (伯方塩業製) の分析を行ったところ, μgkg<SUP>-1</SUP>の濃度域であるAl, Fe, Mn, Co, Ni, Cu, Zn, Pbの定量が可能であった.
著者
村上 正祥
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.137-142, 1988 (Released:2013-02-19)
参考文献数
4
著者
八代 仁 荒木 渓 明 承澤 鈴木 映一
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.97-104, 2011-04-01
参考文献数
13

製塩プラントにおける構造材料の腐食を支配する重要な要因のひとつに溶存酸素が挙げられており,これを管理するため製塩プラント環境に適用可能な溶存酸素濃度分析法を提案した.プラントから採取された溶液は定量ポンプを用いて直接回転電極に送られるか,一旦サンプリングバックに採取される.サンプリングされた試料の一部は亜硫酸ナトリウムの添加等によって脱酸素され,ゼロ点校正に用いられる.<br>もうひとつの対照試料として空気飽和試料溶液を用意する.試料溶液中の溶存酸素は白金回転電極を用いるサイクリックボルタンメトリーによって,酸素還元の拡散限界電流を測定することで評価される.白金電極は周期的に酸化することで高い活性が維持される.酸素還元の拡散限界電流は溶存酸素濃度と,回転数の平方根に比例して増加する.<br>1 ppm以上のCu<sup>2+</sup>は,Pt上に還元析出することにより酸素還元電流を減少させるが,引き続きアノード分極するとアノードピークが得られたことから,Cu<sup>2+</sup>の存在を知ることが可能である.1 ppm以上のFe<sup>2+</sup>はFe(OH)<sub>2</sub>の析出によって酸素還元を著しく妨害したがNi<sup>2+</sup>はあまり影響しなかった.これらの妨害イオンが存在する場合は,カチオン交換樹脂による前処理が必要となる.試料溶液の絶対酸素濃度は,空気飽和試料の酸素濃度をWinkler 法によって別に評価することで決定できる.空気飽和試料の酸素濃度を塩類効果係数を用いて推算した結果,Winkler法によって求めた酸素濃度と比較的よく一致したことから,これを計算で行いうることが示された.
著者
東郷 育郎
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.84-89, 2015 (Released:2016-09-26)
参考文献数
5