著者
小林 和夫
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 = Journal of The Society of Photographic Science and Technology of Japan (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.463-472, 2004-10-25
参考文献数
24

写真測量は物体 (主に地表面) を撮影したイメージから空間情報 (空間データ) を取り出す一つの手法であり, 1849年ロスダーが写真経緯儀を用いて平板写真測量を始めて行って以来, 今日までずっと測定用カメラや図化機などの発明考案が繰り返されてきた科学技術でもある.今やフィルムや印画紙に記録されていた写真はCCDやコンピュータなどに記録されるデジタル画像に代わり, 同様に写真測量においてもデジタル画像が用いられるようになったが, デジタル写真測量であってもその計測法の基礎数学は変わらない.本報は, 写真測量に関連する事項である, エラトステネスらによって定義された地球形状の変遷, 写真の発明, アナログとデジタルの写真測量, GIS (地理情報システム), そして76年前に撮影された大阪市の空中写真などを用いて実体視した判読結果などを歴史的経緯に触れながら解説するものである.
著者
鈴木 謙二
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.369-371, 1993-10-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
1

An eye controlled auto focus system was developed for SLR cameras, It detects where the photographer sees in the view-finder, then determines among 5 focus points provided in the view field, the nearest one to where he sees. The camera focuses the objective lens, using the focusing information obtained from the above determined focus point. The eye detection is achieved by an opto-electronical system, consisting of 2 IREDs, a small size area CCD image sensor, and a micro-computer. The capability and precision of the sight-line detection is enough to choose one of the arrayed focus points by the photographer's eye movement. It operates within a blink period, and even for those people with glasses. This paper discusses the concept and the structure of the eye controlled auto focus system built in our new SLR camera products.
著者
宮長 貴旨
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.10-14, 2014 (Released:2015-02-26)
参考文献数
3

光ディスクを用いて,ディジタル文書情報を長期間保存して利用するというニーズの高まりもあり,光ディスクの長期保存に関連する公的な規格が既に策定され,市場での運用も開始されている.本稿では,2000年から蓄積している一般市販ディスクの初期記録特性と長期保存性能を,JIS Z 6017(電子化文書の長期保存方法)の規格値と対比すると共に,長期保存用光ディスクの初期記録特性と長期保存性能を紹介し,長期保存用光ディスクの有効性を解説する.また,長期保存用記録ドライブを用いる事の重要性,光ディスクの取り扱い,長期保存用ディスクを用いたアーカイブガイドライン等についても解説する.
著者
犬井 正男
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.85-87, 2009 (Released:2011-07-28)
参考文献数
5

AdobeRGBの原色は緑だけがsRGBよりも高彩度であり,赤と青の原色はどちらも同じである.AdobeRGBの色域は,緑の領域でsRGBより広いだけでなく,赤や青の領域でもsRGBの色域より広い.この理由は,AdobeRGBの赤と青の原色の輝度はsRGBのそれらより高くなっていることに起因している.
著者
鈴木 隆雄
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.339-344, 2004-08-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
12

犯罪捜査において, 犯罪を立証するためには物的証拠が不可欠であるが, 裁判において, その物件が犯罪の証拠であることを科学的に証明する学問を法科学と呼んでいる. 法科学は大きく2つの範疇に分けられる. 1つは, 犯罪現場で採取される物件の分析鑑定を法科学者が行うための学問である犯罪鑑識科学と, 他の1つは死体を医学者が医学的に検証する法医学である. 犯罪鑑識科学は, 狭義の法科学とも呼ばれ, 生物学, 化学, 工学, 心理学, 文書, 指紋・足痕跡・写真などの分野を包含し, あらゆる犯罪捜査の鑑識活動を支えている. 鑑識画像科学は工学分野に属するが, その技術は様々な犯罪鑑識科学の分野で利用されている.
著者
岡田 尚士
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.365-368, 1993-10-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
3

Lens-shutter camera is required to be light weight and compact with high performance at low cost. By developing a new four-element zoom optics with a comprehensive use of aspherical surfaces, we have succeeded in satisfying all the requirements. This report explains the behavior of aspherical surfaces and its related technology.
著者
浅川 純子
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.80-84, 2021 (Released:2022-06-17)

一般家庭には,個人や家族が撮影した写真が大量に保存されている.紙焼き写真は,重く厚く大きなアルバムに貼られ, 所有者は高齢となり継承の問題に直面している.デジタル写真は,目に見えないために今や数万枚に及ぶ量が保有されている例もあり,特定の写真を探すのが困難な状態になっている.家庭内の写真は主に思い出の記録であり,見やすく探しやすい管理や,次世代への家族史の継承のためには,写真の整理という作業が必要となる.その手法とさまざまな事例を紹介する.

3 0 0 0 OA ゼラチンとBSE

著者
牛木 祐子 伊藤 政人
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.402-409, 2004-08-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
34

牛海綿状脳症BSEは伝達性海綿状脳症の一つで, 遅発性かつ悪性の中枢神経系疾病であり, プリオンと呼ばれる感染因子によって動物種を超えて伝達されると考えられているが未だ十分に解明されていない. 現時点ではBSEが人に伝達される直接的な科学的証拠はないが, 安全確保のためBSE感染囚子が人の消費サイクルに混入しないよう予防的な処置も含めて様々な規制が行われている. 一方で, この事が逆に過剰な拒否反応を引き起こし, 牛由来の食品のみならず, 様々な業種. 分野の製品に深刻な影響を与えている. 牛由来製品であるゼラチンが受ける規制はそれを原材料とする銀塩感光材料の製造にも無影響ではない.
著者
桑山 哲郎
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.273-277, 2009 (Released:2011-09-28)
参考文献数
12

ランダムドット・ステレオグラムの技術と歴史について解説する.2枚絵のランダムドット・ステレオグラムは1960年に論文発表され,60年代に広く一般に知られるようになった.一方,1枚絵のステレオグラム(Single image random-dot stereogram,オートステレオグラム)の原理は1979年に発明されたが,1990年の学会(SPIE)発表以来広く知られるようになった.ウォールペーパー(壁紙)ステレオグラムについても解説する.
著者
竹島 秀治
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.24-27, 2018 (Released:2019-03-01)
参考文献数
9

データを保存する様々なメディアが選択肢としてある中,光ディスクを使った長期保存の方法をご紹介する.また,光ディ スクの特色,他メディアとの違い,適切な取扱いといった観点から,長期保存に適したメディアとは何かをご説明する.
著者
青柳 象平 井田 雅裕
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.95-97, 1998-04-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
7

ガラスビーズ, シリカゲル, 珪藻土, 沸化カルシウム, 硫酸バリウム等の粒子に対するゼラチンの吸着性を調べた。いずれの物質に対しても非可逆的吸着が見られた。グアニジン塩酸塩による溶離・回収試料のSDS電気泳動パターンは元ゼラチンのものと異なり, また吸着剤により互いに異なる。それ故, これらの物質への吸着はハロゲン化銀に対する場合と同様, ペプチド選択的であり, その選択性は吸着剤により異なることが分かった。
著者
増田 竜司
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.6-9, 2014 (Released:2015-02-26)
参考文献数
6

博物館等では,資料の保存や展示場所の空気質を適切に保つため,ケミカルフィルタを用いて環境管理を行っている.一方,三酢酸セルロースフィルムは劣化の進行に伴い酢酸を放散して自己分解することが知られている.本報では,博物館での管理手法をもとに,フィルム保存のためのケミカル対策について提案する.
著者
小原 真史
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.8-10, 2015 (Released:2016-10-15)
参考文献数
4

写真史家のジェフリー・バッチェンが言うように,われわれは 「芸術写真」 の傑作だけでなく,「ヴァナキュラー写真」 にも注意を払う必要があるだろう.写真の民主化は多くの 「ヴァナキュラー写真」 を生み,イメージの分有を可能にした.本稿では「カメラばあちゃん」と呼ばれたアマチュア写真家・増山たづ子の仕事を例に 「ヴァナキュラー写真」 のプルラモニティ(プルラモン性)について考察する.
著者
秋元 良仁
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.10-15, 2016 (Released:2017-03-22)
参考文献数
14

デジタルアーカイブにおいて,データを効率的に管理・運用するためには,メタデータ(データを説明するデータ)の活用が必要不可欠である.本解説では,平成27年度日本写真学会画像保存セミナーのテーマである 「保存のための管理運用保存」 の観点から,具体的なメタデータ活用事例として,文化財・出版物・Webコンテンツのメタデータを取り上げ,その現状を概観する.

3 0 0 0 OA PENTAX K-7の開発

著者
川内 拓
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.90-93, 2010 (Released:2011-05-10)

デジタル一眼レフカメラ「PENTAX K-7」は,一眼レフカメラの最も基本的で重要な要素といえるファインダーやシャッター機構,連写機能,露出制御,AF性能などを全て見直すとともに,動画撮影や自動水平補正などの新機能も存分に盛り込みながらペンタックスらしい機動性に富んだコンパクトなボディサイズを実現した.ここでは主に企画背景と特徴的な機能について解説する.
著者
香山 正憲 和田 学明 河村 岳 井上 義之
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.135-141, 2015 (Released:2016-10-15)
参考文献数
2

パナソニックでは,2014年4月に,圧倒的な機動力と4Kにより写真・動画のプロの要求に応える究極のハイエンド・ハイブリッドミラーレス一眼,DMC-GH4を発売した.この商品は,本来ミラーレスカメラに期待される “小型軽量” を維持しながら,AFの大きな進化であるDFD技術を生かした空間認識AFの搭載, 時代のトレンドである4K動画をカメラ内で記録できる機能を持ち, 更に充分動画プロユースに耐えうる機種として, AG-YAGHによる拡張性の拡大を実現した.本編では,それらを実現した過程を含めた技術開発,仕様決定,及びGHシリーズが目指す更なる可能性について詳述する.
著者
大庭 成一
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.595-602, 1989-12-28 (Released:2011-08-11)
参考文献数
25
被引用文献数
1
著者
西村 寿美雄
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.36-41, 2016 (Released:2017-03-22)

昭和10年(1935)に法隆寺金堂壁画を記録した便利堂撮影の一連の写真は,昭和24年の焼損前のオリジナルの姿をうかがい知れる唯一無二の貴重な文化的資料である.撮影に至る経緯と,原板はどうやって80年後の今に伝えられたか.また遺された原板を如何にして保存し,今後如何にして利活用するべきか.