著者
山本 貴裕
出版者
広島経済大学
雑誌
広島経済大学研究論集 (ISSN:03871444)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.37-58, 1997-12

はじめに 1. アメリカにおける進化論論争の歴史 2. チャールズ・フランシス・ポッターとジョン・ローチ・ストラットンの論争 3. スコープス裁判 おわりに
著者
餅川 正雄
出版者
広島経済大学経済学会
雑誌
広島経済大学研究論集 = HUE journal of humanities, social and natural sciences (ISSN:03871444)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.29-50, 2020-03

「相続制度」は,死んでいった者が生前に所有していた財産を生きている者(配偶者や子など)へ移す仕組みであり,あらゆる社会制度の中で極めて重要な制度の一つである。しかし,死者(=被相続人)は,相続自体に関わることができないという冷酷な現実がある。そこで,法律を作ることで死者にも一定の範囲までは,遺産分配を支配できることを可能にした訳である。その最も簡単な方法が本論で考察する「遺言相続制度」である。我が国の民法第961条では,「15歳に達した者は遺言することができる」と規定している。そして,第963条で「遺言者は,遺言をする時においてその能力を有している必要がある」としている。この条文の「その能力」とは「遺言能力」のことであり,「意思能力」とされている。本研究で検討するのは,遺言相続における「自筆証書遺言」についての諸問題である。具体的には,次に示す三つの論点である。第一に「遺言者自身の『遺言能力』をどのように判断するのか?」という問題である。例えば,医師に認知症の疑いやその他の精神疾患があると診断されている場合などに,遺言能力をどのように判断するのかという問題がある。筆者は,精神能力(=意思能力)の有無は,医学的な観点から形式的・画一的に判断するものではなく,あくまでも法的な立場から遺言内容の難易を考慮して判断すべきであると考えている。第二に遺言書で「遺言執行者を指定した場合」の問題を考察する。2018(平成30)年の民法改正によって遺言執行者の権限が明確になった訳であるが,「遺産分割協議において相続人全員と受遺者が遺言書の趣旨に反する合意をして遺産分割をしたが,遺言執行者がそれに同意しなかった場合どうなるのか?」という問題がある。このケースでは見解が分かれており,その遺産分割は「同意がなければ無効である」という見解と「同意がなくとも有効である」という見解がある。筆者は「無効である」という見解を支持する。その理由は,無効であるとしなければ,遺言執行者を指定したこと(=遺言者の意思)が無意味になるからである。第三に「遺言書の一部を自書していて一部を他人に書いてもらっている場合,どう判断するのか?」という問題である。筆者は,「遺言全体のウェート説」を支持する。他人が書いた部分が付随的なものであり,その部分を除外しても遺言の趣旨が十分に表現されているものであれば「自筆証書遺言」として有効なものと判断してよいと考えるからである。1.はじめに 1.1遺言相続制度の意義 1.2問題意識 1.3研究の前提 1.4筆者の立場 2.遺言書の作成状況 2.1自筆証書遺言の方式緩和 2.2遺言能力の判断規準 2.2.1民法における遺言能力に関する規定 2.2.2医学的な観点からの遺言能力の判断 2.2.3法的な観点からの遺言能力の判断 2.2.4学説における遺言能力の判断 2.2.5判例における遺言能力の判断 2.3具体的な遺言事項 3.遺言の執行に関する考察 3.1遺言執行者の指定 3.2民法の改正による遺言執行者の権限の明確化 3.2.1遺言執行者を指定するメリットとデメリット 3.2.2遺言執行者の権限の明確化 4.自筆証書遺言の作成に関する考察 4.1自筆証書遺言の長所 4.2自筆証書遺言の短所 4.2.1遺言書の全文を自書 4.2.2添え手による自書の有効性 4.2.3日付・氏名の記載と押印 4.3自筆証書遺言かどうかの判断 4.4遺言内容の加除訂正 4.5自筆証書遺言の作成件数 5.遺産分割方法の指定と相続分の指定 5.1遺産分割方法を指定する遺言書の例 5.2相続分を指定する遺言書の例 5.3共同遺言に該当しない例 6.おわりに
著者
清家 浩
出版者
広島経済大学経済学会
雑誌
広島経済大学研究論集 (ISSN:03871444)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-19, 2006-06

Ⅰ. 設定 : ブルーストとエリュアール Ⅱ. シャルマン・モーンストル : セシルの造形 Ⅲ. アンヌ : 幸福の破壊者としての Ⅳ. セシル : 矛盾する存在 Ⅴ. まとめ
著者
國次 太郎
出版者
広島経済大学経済学会
雑誌
広島経済大学研究論集 (ISSN:03871444)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1-10, 2008-06

広島経済大学経済学会 2007年度第8回研究集会〔2008年1月17日(木)〕報告要旨
著者
松井 一洋
出版者
広島経済大学経済学会
雑誌
広島経済大学研究論集 (ISSN:03871444)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.23-37, 2011-03

1. はじめに~情報社会幻想 2. 情報操作と情報統制 2. 1 情報内容に関する操作 2.2 情報の伝達ないし伝播についての統制 3. 情報による大衆操作の発想~プロパガンダにおける表現レトリック 3. 1 ナンシー・スノーの分析 3.2 イギリスの宣伝制作の前提 3.3 ヒトラー『我が闘争』 3.4 IPAによる7つのプロパガンダ手法 3.5 『対敵宣伝法の原理』~幻の情報戦略書 3.6 『影響力の武器』~なぜ人は動かされるのか 3. 7 広告とプロパガンダ 3.8 広報とプロパガンダ 4. 現代情報社会の情報意識改革への道しるべ 5. おわりに~「孤独な反逆者の神話」より
著者
餅川 正雄
出版者
広島経済大学経済学会
雑誌
広島経済大学研究論集 = HUE Journal of Humanities, Social and Natural Science (ISSN:03871444)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.23-46, 2018-06-30

本研究は,現行の民法(相続法)における遺留分制度について,「法の正義(分配的正義:distributive justice)」の視点から,遺留分制度は今後も存続させるべきという立場で考察を加えるものである。この遺留分制度の内容は,特別受益や寄与分などの扱いがどうなるのかなど,法律の専門家でない一般の国民が相続の問題に直面した場合には,それが非常に分かりにくく複雑なものになっているという現実がある。それだけでなく,民法の立法上の不完全さもあって,国民の常識的な法律解釈の範囲を超えているという問題があると認識している。それは遺産相続について誰が何をどれだけ相続するのかという問題について,家族や親族間で争いが発生するという裁判が多いことが証拠である。|本論では,以下の5つの問題を考究する。第一に遺留分制度の存在理由(reason for existence)について歴史的に考察し,日本の遺留分法(民法規定)は,条文解釈においてローマ型の現物返還ではなくゲルマン型の価値返還と捉える方が理解しやすいことを論述する。第二に配偶者が子とともに相続人となる場合には,配偶者の遺留分が基礎財産の四分の一になるという現行の規定は,妻の通常の貢献分(二分の一)が確保できないという問題を指摘する。第三に直系尊属(父母・祖父母)だけが相続人になる場合,総体的遺留分率が三分の一になっているが,その他の場合には二分の一になっていることとの不合理があることを指摘する。第四に特別受益の持ち戻しの問題(生前に「特別受益」を受けた相続人があった場合)については,それを遺留分算定の基礎となる相続財産に算入するという説(算入説)と,算入しないという説(不算入説)があるが,筆者は算入説を支持することを設例によって論述する。第五に「寄与分」について認定は,民法では上限設定はないが,遺留分の争いの範囲ではひとまず棚上げして対応する必要があることを論述する。|遺留分に関する規定は,現行民法の採用している共同相続制度(joint inheritance system)において生ずる問題について十分な配慮がされていないという立法上の問題がある。それについては,現在,民法改正の準備が進められているところであるため,本研究においては今後の民法の改正に関する考察は対象外としている。
著者
餅川 正雄
出版者
広島経済大学経済学会
雑誌
広島経済大学研究論集 = HUE journal of humanities, social and natural sciences (ISSN:03871444)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.47-69, 2016-12

本研究の目的は,日本の一般消費税の"真像"を明らかにすることである。具体的な内容は,次の二つである。第一に,我が国の一般消費税の課税根拠を理論的に検討する。一般消費税は,事業者の生み出す付加価値(売上総利益)に担税力を見出して課税するものであり,間接税に分類される付加価値税の一種であると言われている。競争力や力関係において劣位に置かれている多くの事業者にとって消費税(相当額)を商品等の価格に転嫁することが難しい。そのため,一般消費税は間接税ではなく,負担者と納税者が同じという企業課税としての直接税と化しているという問題を指摘する。一般消費税は,最終的に国民の所得に帰着するものであり,その所得に一律課税を行うということは,日本国憲法の要請している「担税力に応じた応能課税」ではなく,逆進性の強い究極の不公平税制ではないだろうか。第二に,「転嫁」問題に焦点を当て,裁判例を基に検討することで,消費税の課税システム上の重大な欠陥を法律の視点から明らかにする。消費税は間接税であるがゆえに転嫁されることが予定され,それが前提になっている。しかし,消費税法において,事業者に対する転嫁の義務も権利も規定されていない。筆者は「転嫁しているのか否かは曖昧(不透明)な状況になっている」と考えている。その原因は「消費税の転嫁強制システムが存在していない」からである。本研究では,消費税の転嫁問題について,司法(裁判所)においてどのように判断されてきたのか,三つの判例を基に考察する。最後に,経済産業省の月次モニタリング調査を基に,消費税の転嫁拒否の問題を明らかにする。1.はじめに 2.研究主題の設定理由 3.問題提起 4.研究対象 5.租税の課税根拠(taxationrationale)に関する考察 5.1公平な課税に関する三つの学説 5.2課税ポイント分散論に関する考察 5.3一般消費税の課税根拠としての「担税力(tax-bearingcapacity)」 6.消費税を「消費者が負担する義務」についての考察 6.1裁判例Ⅰ消費税負担分の損害賠償請求事件 6.2裁判例Ⅰの考察 7.消費税を「消費者等へ転嫁する義務」についての考察 7.1税制改革法における転嫁についての規定 7.2裁判例Ⅱ損害賠償請求控訴,同附帯控訴事件 7.3裁判例Ⅱの考察 8.消費税を「不転嫁の場合における納税義務の発生」に関する考察 8.1裁判例Ⅲ納税義務免除の更正請求事件 8.2裁判例Ⅲの考察 9.消費税の転嫁拒否問題に関する考察 9.1消費税転嫁対策特別措置法 9.2転嫁拒否行為の具体例(消費税の転嫁状況に関する月次モニタリング調査) 9.3転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置 9.4価格表示に関する特別措置 9.5共同行為に関する特別措置 10.おわりに
著者
餅川 正雄
出版者
広島経済大学経済学会
雑誌
広島経済大学研究論集 = HUE journal of humanities, social and natural sciences (ISSN:03871444)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.53-75, 2018-12

本研究は,日本の養子縁組制度と法定相続の関係を考察することを目的としている。その理由は,養子縁組によって法定相続分は大きく変化することがあるからである。そこで,本研究では,第一に,なぜ養子制度があるのかを考察する。第二に「普通養子制度」と「特別養子制度」の目的とメリット・デメリットについて整理する。我が国の養子縁組制度の基礎的な内容について,特徴と問題点を明らかにする。第三に,代表的と考えられる養子縁組のケースとして次の4つの設例を基に法定相続分がどうなるのかを検討した。第1の設例として「孫養子」のケースを検討した。これは祖父が孫を養子とする場合であり,孫であると同時に子でもあるということになる。孫としての法定相続分と,子(養子)としての相続分の重複は認められることが分かった。第2の設例として,兄が弟を養子とする「兄弟間の養子縁組」のケースを検討した。この場合,兄が亡くなって相続が発生すると,弟には子としての立場と弟としての立場が併存することになる。この弟を養子にしたケースでは,弟は子(養子)としての立場から相続権を主張することができるのみとなることが分かった。第3の設例として,父親に実子と特別養子縁組の養子がいて,その二人が婚姻して子が生まれ,その後,養親である父親よりも先に養子が死亡したケースを検討した。実子と特別養子の間に子がいて,特別養子が死亡したので,配偶者である実子が2分の1,子は2分の1ということになる。第4の設例として,父親に実子と普通養子縁組の養子がいて,その二人が婚姻し,養子の実親と養親(X)が存命中に,養子が死亡したケースを検討した。この場合,配偶者である実子が3分の2,養親(X)が6分の1(=1/3×1/2),実親(Y)が6分の1(=1/3×1/2)となることが分かった。その理由は,養親関係と実親関係の間に差は生じないからであった。1.はじめに 1.1養子縁組制度の存在理由 1.2普通養子縁組と特別養子縁組 2.普通養子制度 2.1普通養子制度の利用目的 2.2普通養子縁組の要件 2.3養子縁組の形式的要件 2.4普通養子縁組の効果 2.4.1養子は嫡出子の身分を取得する 2.4.2養親が親権者となる 2.4.3相互に扶養義務を負う 2.4.4離縁後も養親と養子の婚姻は禁止される 2.5養子縁組のメリット 2.6相続税法上の養子数の限定 2.7養子縁組のデメリット 3.特別養子縁組制度 3.1特別養子縁組制度の意義 3.2特別養子縁組の目的 3.2.1環境継続性の原則 3.2.2兄弟姉妹不分離の原則 3.2.3子の意思尊重の原則 3.2.4母親優先の原則 3.3特別養子縁組の成立要件 3.4特別養子縁組の成立要件の考察 3.4.1実親の同意がある 3.4.2養親が25歳以上である 3.4.3養子が6歳未満である 3.4.4半年以上の監護(試験養育)がある 3.5特別養子縁組の問題点 4.普通養子縁組の運用状況 4.1養子縁組の件数 4.2相続資格の重複問題 5.代表的な養子縁組と法定相続の関係 5.1祖父と孫との養子縁組(孫養子) 5.2兄弟姉妹間の養子縁組 5.3特別養子縁組 5.4普通養子縁組 6.おわりに