著者
名川 吉信 植松 喜稔 西 末雄
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水質汚濁研究 (ISSN:03872025)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.31-38, 1984-02-29 (Released:2009-09-10)
参考文献数
14

The reactions of proteins and their major constituent amino acids with chlorine in water have been studied and the following results are obtained.1) Proteins have the potential properties of yielding chloroform or total organic chloride (TOCI) as similar extent to humic acid.2) At the pH range of 4-10, the amounts of chloroform formed from proteins increase with increasing pH, whereas the yields of TOCI show maxima at pH8.5. In the cases of amino acids, the amounts of chloroform and TOCI formed vary depending on the kinds of amino acids. However, the pH dependencies in the chloroform formations from amino acids and in the TOCl formations from certain amino acids which yield higher levels of TOCl are similar to those in the cases of proteins.3) The amounts of chloroform and TOCl formed from proteins can be expressed as the following equation. [OCl]=K[P][Cl]mtnWhere [OCl] is the concentration of chloroform or TOCl, [P] is the concentration of protein, [Cl] is the concentration of chlorine, and K, m, and n are the parameter.
著者
川田 邦明 横山 ひろみ 尾崎 邦雄
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水質汚濁研究 (ISSN:03872025)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.306-312,295, 1989-05-10 (Released:2009-09-10)
参考文献数
34

新潟平野中央部の金属製品工場が多数立地する地域でトリクロロエチレン, テトラクロロエチレン, 1, 1, 1-トリクロロエタン, cis-1, 2-ジクロロエチレンおよび1, 1-ジクロロエタンによる地下水汚染を確認した。cis-1, 2-ジクロロエチレンと1, 1-ジクロロエタンは, 各々, トリクロロエチレンと1, 1, 1-トリクロロエタンの分解生成物と考えられた。また, この地域の地下水の水質は, 沖積層では大部分がアルカリ土類炭酸塩型であり, 洪積層では地域により異なっていた。そして, 低沸点有機塩素化合物による汚染は沖積層のうち最も浅い層を中心に進行したが, 洪積層には達していないと考えられた。さらに, 金属製品工場にある深さ10mの井戸における地下水の通年調査から, 低沸点有機塩素化合物の濃度は地下水位や, 調査井戸またはその周辺にある井戸の使用状況の変化による影響を受けると考えられた。
著者
川西 琢也 川島 博之 茅原 一之 鈴木 基之
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水質汚濁研究 (ISSN:03872025)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.180-188,162, 1990-03-10 (Released:2009-09-10)
参考文献数
13

土壌浄化法の大きな問題点のひとつである目詰まりについて, その機構の解明と, 浸透不良を防ぐための排水供給量の推算を試みた。まず, 微生物が土壌透水係数に及ぼす影響を, カラム実験により実測した。土壌中の微生物密度には最大値が存在し, それに対応する最小の透水係数が求められた。次にトレンチを模擬した小型の実験装置で, 人工下水を定水頭差で浸透させ, 浸透水量の減少を追跡した。浸透水量は20日程度で定常状態となった。カラム実験の結果と, 土壌中の微生物分布, TOCのバランスから, 目詰まりの機構を明らかにした。さらに, 以上の知見をもとに数理モデルを作成し, 浸透不良を生じないための排水供給量を推算した。計算の結果, BOD100mg・l-1の排水に対して, 40l・m-1 (trench) day-1という許容排水供給量が得られた。
著者
小山 次朗 渡辺 牧子
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水質汚濁研究 (ISSN:03872025)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.353-357,351, 1989-06-10 (Released:2009-09-10)
参考文献数
11

中禅寺湖にアワが発生した1984年以来, 湖におけるアワの観察および湖水中糖類ならびにタンパク質濃度の測定等を行ってきた。その結果, アワは毎年8-9月に出現することが明らかとなった。また, アワが多量に出現した時の湖水中糖濃度が1.0mg・l-1以上と高いことおよびタンパク質濃度がほとんど0.1mg・l-1以下であったことから, 糖類がアワの主成分の1つと考えられた。そこで湖水中糖濃度と一次生産量を比較した結果, 後者の値が低く, 植物プランクトン由来の糖類が, アワ発生時の湖水中糖類の主要な起源ではないことがわかった。また, 秋季には落葉等から溶出したと考えられる高分子多糖類が多くなることが判明した。以上のことから, 中禅寺湖に発生したアワの主成分の1つである糖類は, 植物プランクトン以外の植物体, つまり落葉および水生植物から溶出した高分子多糖類に由来するものと考えられる。