著者
波潟 剛
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.19, pp.36-50, 2001-03-31

はじめに 花田清輝のエッセイ「砂漠について」と安部公房の長編小説「砂の女」とは、彼らの師弟関係を論じる際しばしば取り上げられるテクストである。その徴証となるのは砂漠や砂のイメージに関する共通性である。 ...
著者
斉藤 愛
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.21, pp.9-10, 2003-03-31

阿部先生にはじめてお会いしたのは、博士課程の面接試験会場だった。私は前日のフランス語の出来がとても悪くて、ほとんど落ちているのだからと、まったく気が進まないまま受けた面接だった。面接官の一人が阿部先生だったのだが、鋭い目でいくつかの質問をなさった。 ...
著者
高橋 優佳
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 = Tsukuba Studies in Literature (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.37-52, 2018-03-30

本論文では、J・K・ローリング(1965-)の『ハリー・ポッターシリーズ(1997-2007)の主人公ハリー・ポッターと、小野不由美(1960-)の『十二国記』シリーズ(1991-)の主要人物である泰麒(高里要)について比較しながら共通点と差異を見出していく。ハリーと泰麒には、身体的特徴や背負う宿命に類似点が見受けられるが、現段階で『ハリー・ポッター』シリーズと『十二国記』シリーズの類似性に関して論じている先行研究が非常に少ない。その理由として、2人の主人公の描写に、様々な共通点をも覆すような決定的な差異が存在することが考えられる。本論文における考察は、間作品が影響を受けている、C・S・ルイスの『ナルニア国物語』などの古典作品について、イギリスと日本の作家がそれぞれの地域や文化の中でどのようにして受容し変容させていったか、ということについて考察するための具体例を提供することにもつながるだろう。
著者
鷲谷 花
出版者
筑波大学
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.25-32, 2001

1. ゆがめる文化/育てる文化 児童文学評論家の管忠道は、戦後に発表された「児童文化の現代史」において、近代以降の日本における児童文化の発展史を、〈子どもをゆがめる文化〉と〈子どもを育てる文化〉の闘争の歴史として捉えている。 ...
著者
馬場 聡
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.21, pp.13-24, 2003-03-31

はじめに ジョン・ホークス(John Hawkes, 1925-1997)の『もうひとつの肌』(Second Skin, 1964)は、南太平洋に浮かぶ「地図にも定められず、時の流れの中にもない」(46)島の統治者であるスキッパー(Skipper)によって、極めて恣意的に語られる「人工授精家の手記」(50)の体裁をとっている。 ...
著者
徐 東周
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.21, pp.136-122(41, 2003-03-31

一 はじめに 本稿で扱おうとする中野重治の初期のプロレタリア小説とは、彼が本格的にプロレタリア文学運動に飛び込んだ後に、日本プロレタリア芸術連盟の機関誌であった「プロレタリア芸術」に載せられた『少年』(八月号)、 ...
著者
権 海珠
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.20, pp.148(111)-126(133), 2002-03-31

はじめに 「抒情歌」は、昭和七年二月『中央公論』に発表され、昭和八年六月、新潮社刊『化粧と口笛』に収録された。そして翌九年十二月、『抒情歌』(竹村書房)として刊行されている。本稿では作家の現実の世界や作家の私的生活などと関連させて、 ...
著者
朱 衛紅
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.19, pp.73-90, 2001-03-31

一、 はじめに 漢詩は漢字とともに日本に伝来し、以来日本の文化は、近世にいたるまで漢詩、漢文学が重視されて来た。日本人は、漢詩を訓読、また創作も多く行って来たのである。 ...
著者
朱 衛紅
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.22, pp.87(154)-102(139), 2004-03-31

一 背景と問題意識 大正後期から昭和初期、文芸の社会化が訴えられる風潮の中、社会における文学の位置づけや、文学者が社会問題にどのように関わるべきかといった問題が強く意識されるようになり、 ...