著者
朴 恩姫
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.20, pp.258(1)-242(17), 2002-03-31

一 はじめに 崇徳院怨霊は、院政期の人々に最も畏怖された怨霊である。崇徳院の死や怨霊化の過程は物語の恰好の素材になり、以後崇徳院怨霊は『保元物語』を始めとして『平家物語』『太平記』などの軍記物語や『松山天狗』『雨月物語』などに登場し、 ...
著者
高橋 優佳
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 = Tsukuba Studies in Literature (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.37-52, 2018-03-30

本論文では、J・K・ローリング(1965-)の『ハリー・ポッターシリーズ(1997-2007)の主人公ハリー・ポッターと、小野不由美(1960-)の『十二国記』シリーズ(1991-)の主要人物である泰麒(高里要)について比較しながら共通点と差異を見出していく。ハリーと泰麒には、身体的特徴や背負う宿命に類似点が見受けられるが、現段階で『ハリー・ポッター』シリーズと『十二国記』シリーズの類似性に関して論じている先行研究が非常に少ない。その理由として、2人の主人公の描写に、様々な共通点をも覆すような決定的な差異が存在することが考えられる。本論文における考察は、間作品が影響を受けている、C・S・ルイスの『ナルニア国物語』などの古典作品について、イギリスと日本の作家がそれぞれの地域や文化の中でどのようにして受容し変容させていったか、ということについて考察するための具体例を提供することにもつながるだろう。This essay focuses on the similarities and differences between Harry Potter,the hero of J.K. Rowling (1965-)'s Harry Potter series (1997-2007),and Taiki (Kaname Takasato),the main character of Fuyumi Ono (1960-)'s The Twelve Kingdoms series (1991-). These two characters have some salient features in common,for example their appearance and the fate bestowed on them at their birth. However,there are few previous studies about the resemblance between Harry Potter and The Twelve Kingdoms. The reason for this may be that there are some crucial differences and these discrepancies could disprove their similarities. Since both works were influenced by C.S. Lewis's The Chronicles of Narnia and other classical works,a comparative study may provide a concrete example of how the reception and transformation of fantasy classics by British and Japanese authors differed depending on their regional and cultural background.
著者
難波 美和子
出版者
筑波大学
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.117-129, 1993
著者
鷲谷 花
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.17, pp.71-81, 2000-03

1 その頃、東京中の町といふ町、家といふ家では、二人以上の人が顔を合はせさへすれば、まるでお天気の挨拶でもするやうに、怪人『二十面相』の噂をしていました。江戸川乱歩のいわゆる『少年探偵団』シリーズの第一作である『怪人二十面相』 ...
著者
朴 恩姫
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.20, pp.258(1)-242(17), 2002-03-31

一 はじめに 崇徳院怨霊は、院政期の人々に最も畏怖された怨霊である。崇徳院の死や怨霊化の過程は物語の恰好の素材になり、以後崇徳院怨霊は『保元物語』を始めとして『平家物語』『太平記』などの軍記物語や『松山天狗』『雨月物語』などに登場し、 ...
著者
馬場 聡 Baba Akira
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.20, pp.23-40, 2002-03-31

I. 対抗文化小説 ケン・キージー(Ken Kesey, 1935-2001)によって1962年に世に送り出された『カッコーの巣の上で(One Flew Over the Cuckoo's Nest)』は、1960年代のアメリカ対抗文化を象徴する小説の代表である。 ...
著者
信岡 朝子
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.17, pp.115-124, 2000-03

1. メディアに浸食される身体 「だっちゅーの」を覚えているだろうか。98年流行語大賞に選ばれたこの言葉によって、女の子二人組のアイドル・グループ、パイレーツは当時テレビのレギュラー番組を10本抱えるほどの人気者となった。この「だっちゅーの」は、あるお笑い系のバラエティ番組からはじまった。 ...
著者
李 顯周
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.20, pp.124(135)-108(151), 2002-03-31

はじめに 太宰治は昭和一九年三月「新若人」に短編小説「散花」を発表した。その中には太平洋戦争のシンボルともいえる「玉砕」がモチーフとして描かれている。これまでの太宰の作品傾向を窺ってみると、兵隊の死を直接素材として取り入れたのは、 ...
著者
波潟 剛
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.19, pp.36-50, 2001-03-31

はじめに 花田清輝のエッセイ「砂漠について」と安部公房の長編小説「砂の女」とは、彼らの師弟関係を論じる際しばしば取り上げられるテクストである。その徴証となるのは砂漠や砂のイメージに関する共通性である。 ...
著者
李 志炯 Lee Jee-Hyung
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.20, pp.166(93)-149(110), 2002-03-31

はじめに 関東大震災を語る際、最も多く用いられることばは〈未曾有〉である。そのことばは当然そのような出来事の希有さを意味するものであるが、その希有さとは、単に地震そのものや「日本史上最大」といわれる被害規模の大きさのみに向けられるものではない。 ...
著者
松本 健 Matsumoto Ken
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.23, pp.46(17)-62(1), 2005-03-31

一、 はじめに 「浮世物語」をめぐる先行研究の多くは、前半から後半への流れにおいて見られる様相の変化に注目している。「浮世物語」ははじめ、矮小滑稽に設定された主人公の批判されるべき振る舞いを描くハナシが展開されているのだが、 ...