- 著者
-
堀 匡
小林 丈真
- 出版者
- 日本学校メンタルヘルス学会
- 雑誌
- 学校メンタルヘルス (ISSN:13445944)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, no.1, pp.41-48, 2010-10-01
- 被引用文献数
-
1
本研究は,大学生の愛着スタイルとソーシャルスキル,友人サポート,精神的健康状態との関連について検討することを目的とした。大学生を対象に質問紙調査を実施し,回答に欠損のない650名(男性264名,女性386名)を分析対象とした。分析は,まず,愛着スタイル尺度に関してクラスター分析を行った。その結果,安定群,アンビバレント群,回避群という3つのクラスターが抽出された。その後,各クラスターを独立変数ソーシャルスキル,友人サポート,精神的不健康度を従属変数とする一元配置の分散分析を行った。分散分析の結果, 1)アンビバレント群は,関係開始,主張性,感情統制,関係維持スキル得点が安定群,回避群に比べて有意に低く,解読,記号化スキル得点は安定群に比べて有意に低いこと, 2)回避群は,関係開始,解読,関係維持,記号化スキル得点が安定群に比べて有意に低いこと, 3)回避群は友人サポート得点が,安定群,アンビバレント群に比べて有意に低いこと, 4)アンビバレント群は,安定群,回避群に比べて精神的不健康度が有意に高いことが明らかとなった。以上の結果から,1)アンビバレント群では,主張性,感情統制,関係開始,関係維持,解読,記号化スキルを高めることが,2)回避群では,関係開始,関係維持,解読,記号化スキルを高めることが心理・社会的適応状態の改善に有効であることが示唆された。