著者
古久保 さくら
出版者
大阪市立大学
雑誌
人権問題研究 = The journal of human rights (ISSN:1346454X)
巻号頁・発行日
no.7, pp.91-113, 2007

はじめに : 2006年6月27日、大阪市立大学人権問題研究センターの研究員がキャンパス・セクシュアル・ハラスメントを事由にして停職3ヶ月という懲戒処分を受けたことは、人権問題を研究する研究組織として全国においてその独自性と先進性を誇ってきた大阪市立大学人権問題研究センターとして、断腸の思いで受け止めざるを得ないできごとであった。……
著者
鄭 栄鎭
出版者
大阪市立大学
雑誌
人権問題研究 (ISSN:1346454X)
巻号頁・発行日
no.12, pp.127-145, 2013

1. はじめに : 本論が題材とするのは、鄭大均(てい・たいきん)と鄭香均(チヨン・ヒャンギュン)である。後述するが、大学教員の鄭大均は日本国籍取得論を積極的に展開する在日朝鮮人であり、一方の鄭香均は、外国籍を理由とした拒否にあい、外国籍を維持しつつ訴訟を起こした在日朝鮮人である。そして、この二人はきょうだいでもある。1970年代以降、公営住宅入居、児童手当支給、公務員採用試験の国籍条項撤廃運動などの在日朝鮮人の権利獲得運動が行われた。日本人とともに行われたこれらの運動は、在日朝鮮人が韓国籍、朝鮮籍を維持しつつ、日本国籍者と同等の権利の獲得を志向していた。鄭大均は、これら在日朝鮮人運動の中でも、特に国籍条項撤廃運動、地方参政権獲得運動を批判する。……
著者
要田 洋江 前田 均
出版者
大阪市立大学
雑誌
人権問題研究 (ISSN:1346454X)
巻号頁・発行日
no.2, pp.123-132, 2002

1. はじめに : 今や、近代科学における新技術研究開発の主たるターゲットの1つは医療分野にあり、そこでの医療技術開発は、臓器置換・補填や遺伝子治療などに示されるように"人体改造"を指向している。しかも、結果としてもたらされたバイオテクノロジーや医療技術の先鋭化ともいうべき医学・医療の加速度的進歩は、社会に大きな期待を生み出すとともに大きな不安を巻き起こしている。……
著者
成田 千尋
出版者
大阪市立大学人権問題研究会
雑誌
人権問題研究 (ISSN:1346454X)
巻号頁・発行日
no.14, pp.149-171, 2014

はじめに : 2・4ゼネストは、1968年11月19日の戦略爆撃機B52(以下B52)墜落爆発事故を契機に、B52常駐化から1年となる1969年2月4日を期日として、復帰前の沖縄で島ぐるみともいえる規模で計画されたストライキである。墜落爆発事故は沖縄住民を恐怖に陥れ、約140団体を結集した「いのちを守る県民共闘会議(以下共闘会議)」が組織され、「B52撤去、原子力潜水艦(以下原潜)寄港阻止、一切の核兵器の撤去」をスローガンに、全島的なゼネスト体制が構築された。ただし、ゼネストそのものは本土折衝を行った屋良朝苗主席の回避要請などを受けて土壇場で回避され、県民総決起大会に代替され、幻に終わった。このため、「復帰優先主義や合法主義の呪縛を完全に脱却し切っていなかったがゆえ」の挫折であり、「復帰運動、復帰思想の敗北であった」とまで非難され、革新勢力内部の亀裂を生むなど、機々な問題を残すことになった。本研究の目的は、日米両政府の圧力によって挫折したとされるこのストライキ闘争の内実を、新たな史料に基づいて再検討することである。……