著者
佐藤 滋正
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.11-30, 2003-12

J.B.セイは、リカードウの『原理』においてスミスと並ぶ大きな位置づけを与えられている。本橋は、リカードウのセイヘの論及箇所の検討を通して、リカードウ理論の逆照射を試みたものである。(二)と(三)では「書簡」と『原理』におけるセイヘの言及が摘出・吟味され、主要論点が「価値論」と「資本蓄積論」に収斂することが確認される。(四)では、"富と価値の区別論"と"資本過剰否定論"として展開される上記二論点が、リカードウにおいては"社会的剰余"概念によって関連づけられた、という試論が展開される。(五)ではリカードウとトラワの「書簡」が検討され、「私的利益」を原理とするセイの「企業家」概念へのリカードウの高い評価が取り出される。「価値論」における異質性を含みつつも、リカードウのセイ評価は、スミスに対するリカードウ「資本蓄積論」の特異性を際立たせてくれると言えるだろう。
著者
平松 携
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.101-126, 2006-06

1946年(昭和21年)に尾道市体育協会が設立され、初代会長に商工会議所会頭の金尾馨が就任している。当時の競技団体は、陸上競技、庭球、野球、バレーボール、柔道、剣道、スキー、山岳、水泳等である。また、1958年(昭和33年)に地区体育協会が設立ている。2004年(平成16年)の尾道市体育協会の傘下団体は、24競技団体、17地区体育協会、23スポーツ少年団で構成されている。尾道市体育協会は、スポーツフェスティバルなど全市民のスポーツ活動を担い、1970〜1980年代に尾道市民スポーツの基盤ができたといえよう。競技団体の活動は、60年間に変遷が伺えるが、各種目の大会を開催するなどスポーツの普及・振興の役割を果たしてきた。地区体育協会は、設立当初から町民運動会、地区バレーボール大会等の地域のニーズに応じたスポーツ活動に応え、地域住民意識を高揚してきたことの貢献度は高い。スポーツ少年団は、スポーツ種目別に情熱を注ぎ、スポーツを通して、たくましい青少年に育成の目的を果たしてきた。このように尾道市体育協会および傘下団体は、スポーツを市民に提供してきた役割は高く評価され、市体育協会の存在が尾道市民に徐々に浸透し、尾道市民に貢献してきた。
著者
大塚 登
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.87-100, 2003-12

古典物理学における多体運動方程式の数値的解法として、近年、多ステップにおよぶ時間積分においても全エネルギーの誤差が一定範囲に留まるようなSymplectic Integrator解法が注目を集めている。筆者らが行ってきたQMD(Quantum Molecular Dynamics)での重イオン衝突の解析において、運動方程式の数値解法としてこれを適用すべくその内容の検討を行った。また、粒子数が多くなると長時間の計算が必要となるが、近年では、大規模計算をPCクラスタによる並列計算で行うことが盛んとなってきている。並列計算のための並列プログラミングとしては、MPI(Message Passing Interface)と呼ばれる仕様のメッセージパッシングライブラリを用いる方法が広く行われている。本稿ではMPIによる並列プログラミングの概要と、MPIの実装であるmpichのインストールおよび並列計算環境の設定について述べている。最後に、多体運動方程式の数値解法のMPIによる並列計算プログラム例について説明する。