著者
中澤 潤 杉本 直子 中道 圭人
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.159-165, 2006-02-28

イメージ画を用いて,大学生の発達,成長,成熟の素朴概念についての検討を行った。大学生は,発達・成長・成熟の各々に,人の青年・成人期までの単純増加の質的変化を最も多く描いた。特に,発達と成長は同じように描かれた。発達と成長に比べ,学生は成熟を変化のプロセスというより,特定の段階に到達した状態として認識していた。
著者
石川 正寛 西垣 知佳子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.285-291, 2005-02-28

本研究は,千葉大学附属中学校と千葉大学教育学部が行った連携研究の報告である。本連携研究グループではこれまでに英語の「リスニング指導」に関して継続的に効果をあげ結果を公表してきた。本研究は従来の研究を発展させ,培ったリスニング力をスピーキング力ヘと橋渡しするための指導を試みた結果である。今回の指導実践の効果はプリテスト・ポストテストに加え,1)校内で開催したスキット・コンテスト,2)全国から応募の集まるNHK「新・英語スキット大会-基礎部門」への参加という形で評価した。その結果,1)については公開研究会で行った発表会で参観者から「生徒たちの英語のうまさに驚いた」という感想を多くいただいた。2)については,応募総数361チームの中から原稿とテープ審査で上位8位に残り,NHK放送センターで開催された決勝大会では,優勝を果たし,最優秀賞をいただいた。優勝大会の模様は3回にわたり全国放送された。
著者
長板 光男 野村 正彦
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.25-30, 2006-02-28
被引用文献数
1

現代社会で青少年の置かれた状況は,物質的に豊かになった反面,ストレスと戦いながら生きていくことが求められる。また一方では,夜型社会の到来で生活が不規則になりがちである。本研究において,大学生を被験者として睡眠と疲労感に関する実態調査を行なったところ,朝の疲労感や意欲のなさを訴える姿が浮かび上がってきた。筆者らはこの実態をふまえ,内分泌ホルモンである唾液中コルチゾール,メラトニンの生理的指標からELISA法でサーカディアンリズム障害の分析方法の確立をめざした。サンプル数は少なかったが,本研究で開発したプロトコールで十分分析できることが確認された。さらに生理的指標のみならず心理的指標との組み合わせでリズム障害を判別する方法を提起した。いずれにしても身体のリズム性に留意し,朝の疲労感のない生活がストレスへの対処上も重要であると思われる。
著者
村松 成司 近藤 健吾 岸 恵美 広田 悠子 齋藤 初恵
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.503-515, 2002-02-28

現代大学生の食生活を含む日常生活全般を見直す試みの一つとして,大学生の生活特性と心理状況の関連性をPOMSテストを利用して検討した。調査対象者は8時50分から始まる第1時限の講義に出席した学生148名とした。生活調査項目では1日の睡眠時間は6時間が61名(41.2%)と最も多く,続いて7時間の40名(27.0%),5時間の33名(22.3%)であった。平均睡眠時間は6.10±1.04時間(最大12時間,最小4時間)であった。1週間の運動頻度は1回47名が(31.8%)と最も多く,続いて2回の23名(15.5%)であった。平均運動回数は2.31±1.79回であった。「1日3食しっかり食べますか」の設問では「はい」が106名(71.6%)と多く,「いいえ」は42名(28.4%)であった。「栄養のバランスを考えて取っていますか」の設問では「はい」が77名(52.0%),「いいえ」が71名(48.0%)とほぼ同じ様子にあった。「食事の時間は規則的ですか」の設問では「はい」が71名(48.0%),「いいえ」が75名(50.7%)とほぼ同数であった。「外食の回数は週に何回ですか」の設問では2回が38名(25.7%)と最も多く,続いて1回が33名(22.3%)であった。平均外食回数は2.49±2.17回であった。「間食の食べ過ぎで食事が十分にとれないことがありますか」の設問では「いいえ」が118名(79.7%)と圧倒的に多く,「はい」は30名(20.3%)であった。「食事や栄養に関心がありますか」の設問では「はい」が127名(85.8%)と多かった。調査対象者全体のPOMSプロフィールではIcebergのプロフィールと比較して平均値でDとCがやや高めに,Vがかなり低くなっていた。睡眠時間ではIcebergのプロフィールと比較して6時間未満の睡眠時間群ではT, D, R, Cが高く,Vが低い様子にあったが,6時間以上睡眠時間群はT, D, FはIcebergのプロフィールと同レベルにあり,Aが低い様子にあった。各因子内では6時間未満睡眠時間群はT, A, F, Cが有意に高く,Vは逆に6時間以上睡眠時間群が高い傾向にあった。運動回数0回はIcebergのプロフィールと比較してT, D, F, Cが高く,Vが低かった。運動回数が多くなるにつれてVのピークがみられるようになり,よりIcebergのプロフィールに近似する傾向にあった。各因子内では,Tでは運動回数3〜4回が最も低く,運動回数0回と比較して有意に低い値を示した。また,運動回数5回以上では逆に高まり,運動回数3〜4回と比べ有意であった。Dは運動回数0回が他の運動回数群と比較していずれも有意に高い値を示した。Aでは運動回数1〜2回および3〜4回群が0回および5回以上群よりも有意に低い値であった。Vは運動回数が多くなるにつれて高まる傾向にあったが,有意ではなかった。Fは運動回数0回群が他群と比して有意に高い値を示した。Cにおいては4群間に大きな差異はみられなかったが,運動回数0回群と3〜4回群間に有意な差がみられた。「3食しっかり食べますか」の設問では「はい」と答えた群ではIcebergのプロフィールと比較してVがやや低い様子にあった。一方,「いいえ」と答えた群はDがやや高く,Vがかなり低い様子にあった。各因子内における比較ではVにおいて「はい」と答えた群が「いいえ」と答えた群よりも有意に高い値であった。「栄養のバランスを考えて食事をしていますか」の設問では「はい」と回答した群はIcebergのプロフィールと比較してVが低い傾向にあったがほぼそれに近似するプロフィールを示した。一方,「いいえ」の群ではT, D, Cが高い様子にあった。「食事の時間は規則的ですか」の設問では「はい」と答えた群はIcebergのプロフィールと比較してVが低く,またAがやや低い様子にあった。「いいえ」と回答した群はIcebergのプロフィールと比較してVがさらに低く,またDがやや高い様子にあった。「外食の回数は週に何回ですか」の設問では中でもVは外食回数が多くなるにつれて高くなる傾向がみられた。「間食のとりすぎで食事が十分にとれないことがありますか」の設問では「はい」と答えた群はIcebergのプロフィールと比較してD, Cが高く,Vが低い傾向にあったが,「いいえ」と答えた群ではVは低いもののIcebergのプロフィールに近似したプロフィールを示した。「食事や栄養に関心がありますか」の設問では「はい」と回答した群はIcebergのプロフィールと比較してVが低い傾向にあったが,ほぼそれに近似するプロフィールを示した。一方,「いいえ」の群ではD, F, Cが高く,Vが大幅に低い様子にあり,あきらかにIcebergのプロフィールと異なったプロフィールを示した。各因子内における比較では「はい」と答えた群が「いいえ」と答えた群よりもFが有意に低い結果を示した。各設問項目におけるPOMSスコアは睡眠時間6時間未満の群は6時間以上の群よりも有意に高かった。運動回数の違いでは運動回数0回群が他の群よりも高く,運動回数1〜2回群および3〜4回群に対して有意であった。