著者
安部 朋世 神谷 昇 西垣 知佳子 小山 義徳
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.209-213, 2017-03

[要約] 本稿は,「データ駆動型学習(Data-Driven Learning; DDL)」開発の基礎的資料とすべく,現行の中学校国語教科書及び英語教科書に現れる文法用語を調査し,DDLによる文法指導における注意点や問題点等を整理することを目的とするものである。具体的には,中学校国語教科書と中学校英語教科書における「品詞」の現れ方と,小学校及び中学校国語教科書と中学校英語教科書における「文の構成要素」に関する用語の現れ方を調査し,国語と英語の品詞の内実の違いについての注意点や,文法用語の使用状況に関する問題点を明らかにするとともに,本研究を踏まえ,今後実践研究における分析を行うことにより,文法用語の適切な使用のあり方について考察を行っていく必要があることを指摘した。
著者
西垣 知佳子 中條 清美 内山 将夫 隅田 英一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.297, pp.35-38, 2009-11-14

iPhoneとiPod touchをインターフェイスとする英語語彙学習用教材の開発を行った。iPhoneとiPod touchは発売以来急速に普及し,大学での英語学習への活用も始まっている。開発した語彙学習教材は,学校英語教科書で取り扱われることが少ないために,日本人英語学習者に不足している生活語彙を補強するための教材である。教材は1)コーパス言語学の手法を使って客観的に選定された生活語彙を学ぶことができる,2)教材に採用された指導法は指導実践を経て,指導効果が高いことが確認されている,3)初級学習者から上級学習者まで,また子どもから成人まで様々なレベルの学習者が活用できるという特徴を持つ。
著者
安部 朋世 神谷 昇 小山 義徳 西垣 知佳子
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.59-64, 2018-03

[要約] 本研究グループでは,英語の語彙・文法指導のひとつの方法として,「データ駆動型学習 (Data-Driven Learning:DDL)」の有効性について,継続して調査・研究を行っている。本稿は,DDL教材・指導法開発のための基礎的データを収集するために,学校英文法と学校国文法が既修である大学生に対して,英語と国語それぞれの品詞に関する理解度調査を行った結果を報告し,学校英文法と国語科文法学習の双方の影響と連携の可能性について検討する。具体的には,大学1年生を対象に調査を行い,その結果から,[ 1 ] 日本語文法と英文法の知識をどの程度正しく身に付けているか,[ 2 ] 日本語と英語の品詞によって理解の程度に差はあるか,[ 3 ] 日本語文法の知識から英語文法の知識に,どのような転移が見られるか,[ 4 ]英語文法の知識から日本語文法の知識に,どのような転移が見られるか,について実態を明らかにする。
著者
中條 清美 松下 達彦 小林 雄一郎 Anthony Laurence 濱田 彰 西垣 知佳子 水本 篤
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は,いつでもどこでもだれでも,教育用例文コーパスを使って,DDL(Data-Driven Learning,データ駆動型学習)が実施可能なように,教育用コーパス・検索ツール・教材を搭載したDDLオープンプラットフォームを開発し,その活用と普及を図ることを目的とする。具体的には,平成25‐28年度科研において開発した第Ⅰ期開発版のデータ駆動型英語学習支援サイトSCoRE(Sentence Corpus of Remedial English)に基づき,1)教育用例文コーパスの増強,2)検索ツールの高度化・軽量化,3)DDL実践・効果検証・DDL普及活動の3項目の研究を行い,成果を逐次,国内外に発信することである。平成29年度の研究実績について述べる。1) 教育用例文パラレルコーパスの増強:第Ⅰ期開発版の英語例文・日本語訳データの見直しを行い,例文の増補・改訂,および,インターフェースの改良を加えた第4次開発版SCoREを公開した。2) 検索ツールの高度化・軽量化:SCoREツールのひとつ,「適語補充問題」ツールのログ機能を強化し,教育利用の促進を図った。さらに,ユーザの利便性を考慮し,新たに携帯端末用検索ツール「m-SCoRE」を開発・公開した。3) DDL教材の開発・実践・効果検証:上記1),2)の教育現場への応用研究として,外国語学習者がDDLに取り組むための教材や効果検証テストを開発し,データ駆動型英語学習支援サイトSCoRE(http://www.score-corpus.org/)に収録した。当該サイトは,オープンプラットフォームであり,教師・研究者が自由に収録データをダウンロードできる。大学生および高専生を対象としたDDL指導実践授業の評価と教育効果の検証を行った。研究成果として,雑誌論文を5件公刊し,6件の学会発表を行った。
著者
西垣 知佳子 中條 清美 樫村 雅子 中條 清美 チュウジョウ キヨミ Chujo Kiyomi 樫村 雅子 カシムラ マサコ Kashimura Masako
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.255-270, 2007-02
被引用文献数
2 4

日本人英語学習の弱点として,日常生活語彙の不足が指摘される。その対応として,小学校英語活動における日常生活語彙の指導に期待が寄せられている。本研究では,基礎研究として,小学生に学ばせたい日常生活語彙500語を客観的に選定し,それらに基づいて,英語カルタ教材を開発するものである。本教材は伝統的なカルタ教材の利点に加え,次のような特性を持つ。言語習得のプロセスにしたがってリスニングを重視し,無意識のうちに英語をたくさん「聞く」状況を作り出す,子どもたちの発達段階に合わせて学年を問わず繰り返し使える,他教科と連携させて使える,英語指導の経験のない学級担任が使える等の点である。本稿では,日常生活語彙の選定手順,カルタを利用した語彙指導の方法,具体的なカルタ教材作成の手法について述べる。English textbooks used in Japanese junior and senior high schools lack sufficient daily life vocabulary words such as microwave, vacuum cleaner, and faucet, etc. English teaching at Japanese elementary schools, which began in 2002, provides an opportunity to teach additional everyday vocabulary. In this study we adapted 'karuta', a traditional Japanese card game, to teach daily life vocabulary to Japanese elementary school students. Children can benefit from an enjoyable activity that provides an opportunity for exposure to English while lowering their affective filter. The target words for our daily life vocabulary karuta cards were systematically selected based on corpus linguistics techniques. The karuta cards created in this study are unique. The 'reading cards' (yomi-fuda) include information or hints about the target word such as its shape, color, size, usage, environment, habitat, etc. Students listen to these hints spoken one after another by an instructor and quickly choose the corresponding 'picture card' (e-fuda) from an array of cards in front of them. Due to the large number and extensive variety of hints listed on the reading cards, the card game can be used with students of different English levels and different cognitive abilities.
著者
竹蓋 幸生 水光 雅則 土肥 充 高橋 秀夫 竹蓋 順子 水町 伊佐男 田中 慎 西垣 知佳子 大木 充 大塚 達雄 村田 年
出版者
千葉大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

顕著な教育効果が期待できる教育方法の一つとして、CALLはすでに1960年代から外国語教師の間で知られていた。しかし、いわゆるLLと呼ばれる教育機器がそうであったように、CALLも長い間その期待に応えられる教育効果を示すことができなかった。それは、どちらも「教材の提示システム」としては素晴らしい可能性を持っていながら、妥当な「教材がない」からだと言われてきた。しかし教材不足の原因をさらに探っていくと、聴解力を中心とした基礎力及び総合力の教育法に関する「理論の不在」が原因であることが明らかとなった。我々はこの問題点を直視し、まずCALL教材の制作にも活用できる、「三ラウンド・システム」という緻密な指導理論を独自に開発した。特定領域研究の計画研究として行われた我々の研究はこの理論をベースにCALL教材を高度化し、外国語によるコミュニケーション能力の真に効果的な養成を可能にすることを目指したものである。本研究は、英語、独語、仏語、日本語の4言語グループでそれぞれのニーズに応じたCALL教材の高度化の研究を行ったが、開発された教材は、実験的試用の結果、どのグループのものも学習者、教師に好評であったと報告されている。英語グループは高度化された複数のCD-ROM教材を大学の通常の英語授業で約5ヶ月間試用し、学習効果を客観的な外部テストであるTOEICで測定した。その結果、上位群で大きなスコアの上昇が見られ、教材を試用しなかったクラスの成績との有意差も認められた。英語教材はすでに東京大学、京都大学をはじめ23大学での通常の授業への導入が予定されている。また日本語グループは国際学会での報告でも高く評価されたと聞いており、日本語教材は現在、米国、台湾を含め、5カ国で実験的試用が計画され、独語教材も北海道大学、都立大学、九州大学、立命館大学での導入が予定されている。
著者
西垣 知佳子 リーシュマン サンドラ
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. II, 人文・社会科学編 (ISSN:13427415)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.87-99, 2000-02-29

The purpose of this study was to examine English composition writing to identify the gap between students' initial writing level and their target level. Data about this gap for a specific group of students, or 'needs analysis', provides teachers with the necessary information to create the appropriate course instruction to meet the needs of the students. 17 students, who took part in this study, were enrolled in English Composition I in the English Department of the Faculty of Education at Chiba University. The target level of this student composition class was to produce essays (write compositions) which meet the expectations of a Western academic writing context. Students' compositions were examined in terms of four categories of writing knowledge: content knowledge, language system knowledge, context knowledge, and writing process knowledge. Reviewing the students' compositions, it was learned that few students had even a rudimentary understanding of the expectations, codes and writing process of Western academic writing. They seemed unfamiliar with basic elements of writing involved in the four categories of writing knowledge. Finally, on the basis of the results obtained, course objectives for this specific group of students were suggested.
著者
中條 清美 西垣 知佳子 内山 将夫 内堀 朝子 西垣 知佳子 内山 将夫 内堀 朝子
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日英パラレルコーパスを利用した英語指導法と教材開発を行い, 指導実践によってそれらの学習効果を検証した。さらに, コーパス検索サイトの開発を推進した。主な研究成果を国際学会(AsiaTEFL国際会議, 台湾教育学会, TaLC, World CALL)および国内学会(JACET, 英語コーパス学会)において報告し, 開発した指導法等の詳細を公刊した。本課題に関する論文を掲載した著書がRodopi(アムステルダム)と松柏社(東京)より出版された。研究代表者は本課題に関連して2008年度英語コーパス学会賞を受賞した。
著者
西垣 知佳子 中條 清美 砂岡 和子 隅田 英一郎 内山 将夫 徳井 厚子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

グローバル化の進展に伴い,世界の外国語教育は多様化の方向に進んでいる。本研究では多言語教育のための語彙学習教材の開発を行った。研究成果として,1)ペーパー版の英語語彙学習教材を開発し,試用効果を小・中学校で検証した,2)英語教材をもとに中国語,韓国語,日本語学習のためのペーパー版語彙学習教材を作成した,3)ペーパー版教材の成果を踏まえ,iOSを使ってモバイル英語語彙学習教材を開発し,Apple Storeにて公開した。
著者
石川 正寛 西垣 知佳子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.285-291, 2005-02-28

本研究は,千葉大学附属中学校と千葉大学教育学部が行った連携研究の報告である。本連携研究グループではこれまでに英語の「リスニング指導」に関して継続的に効果をあげ結果を公表してきた。本研究は従来の研究を発展させ,培ったリスニング力をスピーキング力ヘと橋渡しするための指導を試みた結果である。今回の指導実践の効果はプリテスト・ポストテストに加え,1)校内で開催したスキット・コンテスト,2)全国から応募の集まるNHK「新・英語スキット大会-基礎部門」への参加という形で評価した。その結果,1)については公開研究会で行った発表会で参観者から「生徒たちの英語のうまさに驚いた」という感想を多くいただいた。2)については,応募総数361チームの中から原稿とテープ審査で上位8位に残り,NHK放送センターで開催された決勝大会では,優勝を果たし,最優秀賞をいただいた。優勝大会の模様は3回にわたり全国放送された。