著者
藤井 聡 吉川 肇子 竹村 和久
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.399-405, 2004
被引用文献数
1 2

本論文では、東電シュラウド問題が発覚する以前と以後の首都圏に住む成人男女の意識調査の結果を報告した前報 (藤井・吉川・竹村, 2003) に続き、1年後に再度調査した結果を含めて分析し、この3時点での人びとの意識の変化を検討する. 分析の結果, 事件直後において原子力発電のリスクに対する危険意識や恐怖感が上昇し, その一方で, 原子力発電の安全管理に対する信頼が低下していること, そして, 1年の経過に伴って僅かな信頼の回復が見られたものの, 依然として低下した信頼は低下したままの水準を保っていることが明らかにされた.
著者
清野 純史 古川 愛子
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.425-434, 2004

1995年の阪神・淡路大震災では, 震度7という激しい揺れに襲われ多くの住宅が倒壊し, 6,400人余の尊い人命が失われた. 死因の大多数を占めた窒息・圧死の場合はほぼ即死状態であったとみられており, 救出が早ければ命が助かったと思える人は極めて少数で, 住居がしっかりしているかどうかが生死を分けたと言える. このような建物倒壊による人的被害を評価するため, 筆者らは個別要素法を用いた解析手法を提案している. 本研究では, 接触ばねを材料特性に基づくヘルツの定理により算定し, ジョイント部を代表的なほぞモデルから決定することで, より現実に近いモデル化を行った. 2階建の木造骨組建物に対して手法を適用し, 挙動および建物内の人が受ける衝撃力を算出し, 地震時の建物倒壊による人的被害に対して検討を行った.
著者
堀 郁夫 川端 鋭憲
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.414-424, 2004
被引用文献数
1

2003年9月26日に北海道十勝沖でマグニチュード8の巨大地震が発生した. この地震により北海道苫小牧市にある石油精製の製油所で原油タンクおよびナフサタンクで火災が発生した. 内容物のナフサは約44時間にわたって炎上しタンクは全焼した. 地域住民は燃え盛る火炎を見て恐怖感に襲われるとともに企業に対する不信感を抱いた.<br>本報では, 地震による危険物タンクの火災事故の事実関係, 耐震設計, 地震動と社会問題について技術的および社会的視点から考察し, 特殊領域の専門知識と一般住民知識の乖離が生ずる中での情報開示のあり方を社会問題として考察した.
著者
金野 和弘
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.205-213, 2005 (Released:2008-07-25)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本稿は,デジタル著作権管理(DRM)が生み出す経済的便益を研究する.DRMは,デジタルコンテンツに関する様々な権利を保護し,その流通を円滑化し,制作者および供給者が正当な対価を回収できる仕組みを提供するなど,デジタルコンテンツ流通を促進するために不可欠な基盤技術である.他方,DRMの導入により,利便性の低下,死重損失,参入障壁などの問題が生じることに注意しなければならない.そこで本稿では,DRMの導入による社会的な便益とコストを挙げ,それぞれに関して経済学の視点からの検討を試みる.
著者
古田 一雄 前原 基芳 高島 亮祐 中田 圭一
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.299-306, 2003 (Released:2009-08-19)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

社会的決定においては公衆の参加による社会的合意形成への要望が高まる一方,インターネットの急速な展開にともない,電子掲示板などを用いた電子会議が社会的合意形成に一定の役割を果たすようになった.本研究では,こうした電子会議を用いた合意形成における参加者の発言内容や会議の進行に対する理解を深め,円滑な合意形成を支援するために,会議発言録から話題を抽出し,要約を作成して参加者に提示する手法を開発した.さらに開発手法を組み込んだ電子会議システムTSS (Transcript Summarization System)を開発し,既存の会議発言録を用いて機能確認を行った.
著者
中島 貴子
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.25-37, 2003 (Released:2009-08-19)
参考文献数
41
被引用文献数
2 2

1968年に発覚した「カネミ油症事件」は,現在も多様な被害が続いている歴史的な大型食中毒事件である.しかし,社会技術的な視点からの研究はほとんどなされてこなかった.本稿では,本件事故調査の問題点は限られた資料だけからも指摘しうることを示し,事故調査の限界が調査体制の制度的問題と関連していたことを示唆する.そして,食品分野の重大事故における事故調査体制の分析や一次資料の保存の必要性について述べる.
著者
古場 裕司 畑中 綾子 横山 織江 村山 明生 城山 英明
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.285-292, 2004-10-29 (Released:2007-12-21)
参考文献数
12

医療における安全・質の向上は, ここ数年世界的に重要なテーマとして認識されつつある. 本研究では, 日本における医療の安全・質向上のための法制度設計の参考とするため, 米国の医療制度に関して, 特に安全・質向上に関する法システムの検討を行った. 国内文献調査及び現地ヒアリング調査を通じて, 政府機関, 病院団体, 質改善機関, 消費者団体など連邦及び州 (ニューヨーク州) レベルで活動する様々な関連機関の安全・質向上活動に関して, システムとしての全体像を把握し, その上で, 日本との比較整理を行い, 日本における今後の制度設計における示唆を得た. 具体的には, 事故報告制度と情報開示からの保護, 医師の資格管理制度, 医療の質評価と情報公開などに関する制度のあり方について焦点を当てた.