著者
古田 一雄 吉村 忍 中田 圭一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

原子力安全規制を例に、わが国及び欧米の安全規制システムの現状と動向について調査した。米国では安全規制に関する連邦法や規制指針は性能規定化されており、具体的な仕様規定は民間技術基準を連邦法や規制指針で引用して用いている。欧州(フランス)においても規制に関する法令はほとんど性能規定化されており、具体的な技術基準を定めるのは事業者の責任であるとされている。これに対し、わが国では法律の下位に省令や告示があってこれらが細かな技術基準を定めており、性能規定化はまだ進んでいない。技術進歩に安全規制が機動的に適応して行くためには、法令の性能規定化と民間技術基準を引用するための制度の整備が必要である。また、事業者の保安活動が技術基準を満たしているかどうかを検査する体制についても、米国では第三者機関が検査機関や検査員の認定・認証を行っており、規制機関の検査官に対する教育訓練、資格認定のプロセスはよく公開されている。欧州においても、EU指令に基く検査機関、検査員の認定・認証制度が整備されている。これに対して、わが国では認定・認証制度が十分に確立されておらず、規制行政当局やその担当者の技術的能力に対する認定・認証も曖昧である。つぎに、安全規制システムの評価を行うための社会シミュレーションを提案した。シミュレーションモデルは企業を単位とするマルチエージェントシステムであり、多数の企業が与えられた条件下で進化しながら生産活動を行う。各企業は事業リソースを生産活動と安全管理に分配し、その結果によって設備の稼働率と信頼性(事故確率)が決る。さまざまな安全規制スタイルを環境条件としてシミュレーションを実施したところ、事後制裁は生産効率向上を促進することがあること、仕様規定型規制は意図と逆の結果を生む可能性があること、途中で規制を撤廃すると信頼性は劣化すること、間隔の長い定期検査よりも抜き打ち検査の方が効果的であることなどがわかった。
著者
古田 一雄 森野 耕平
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.90-97, 2006-01-31 (Released:2009-03-27)
参考文献数
20
被引用文献数
2 2

Increasing demands for participatory approaches of social decision-making is drawing people's interest on public opinion development, but mathematical models used for studying the process so far were insufficient. Dynamics and mechanism of public opinion development therefore were analyzed by multi-agent simulation, which is now a promising approach for analyzing complex. social systems. A simulation model was proposed based on a_decision model that includes both effects of conformity to others and private self-consciousness. Factory that may greatly affect the process were also considered: mass media, personal variation, and bias in true or false of assertion under argument. The result of simulation provided useful insights on the process of public opinion development, e.g., the society splits-into communities of positive and negative opinions, community size increases with increasing conformity to others, and public opinion becomes one-sided by the influence of mass media or bias in true or false of assertion. These findings are both good news and warning for promotion of consensus development in society.
著者
高市 暁広 大澤 幸生 古田 一雄 定木 淳 青山 和浩
出版者
社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.58-58, 2008

既存技術を説明したカード群を基に、プレイヤーが自分のアイデアを記した新カードも混ぜながら、カードを組み合わせた新たなビジネスプランの価値を競い合うゲームを開発した。時間と共にアイデアの発言が増加し、ゲームは株式市場と類似した場へと進化した。
著者
班目 春樹 木村 浩 古田 一雄 田邉 朋行 長野 浩司 鈴木 達治郎 谷口 武俊 中村 進 高嶋 隆太 稲村 智昌 西脇 由弘
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

わが国における原子力開発利用の歴史はおよそ半世紀になる。この間、わが国における原子力規制はその規制構造を殆ど変えることなく今日にいたっている。このため、現在の原子力規制は合理性・実効性を欠き、信頼醸成を阻害する原子力システムをもたらしている。そこで、本研究では、原子力安全規制に関する知的インフラに関連する論点に焦点をあてて分析を実施し、原子力規制に関する適切なガバナンスを実現するためのフィールドの創出と論点の整理・政策提言を行った。
著者
吉田 悠 青山 久枝 井上 諭 菅野 太郎 古田 一雄
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.125-134, 2018-02-25 (Released:2018-02-25)
参考文献数
16
被引用文献数
2

This paper reports positive and negative effects of salience on air traffic control (ATC) task performance and propose a screen design policy based on the effects. The ATC task has widely been known as multiple and complicated tasks of a high cognitive demand. We aim to develop screen design policy considering human perception to reduce controllers’ workloads and improve task performances. This research focuses on salience which is one of the user interface elements causing a high-impact perception in accurate and efficient ATC tasks. We carried out an experiment with ten participants in order to clarify positive and negative effects of salience on the ATC task performance. In this experiment, we defined giving heading instructions as the main tasks, and hand-in and hand-off operations as the sub tasks. Experimental conditions provided four patterns of screen designs with (a) no, (b) small, (c) middle, and (d) large gap of salience between important and the other airplanes. We controlled salience using the color salience model that we developed in our previous works. Results of the experiment showed (1) larger salience gaps among displayed information improved novices’ instruction timing to the airplanes, (2) larger salience gaps according to the importance in main tasks degrades the performance of sub tasks, (3) larger salience gaps among displayed information slightly improved novices’ situation awareness (SA). Based on these results, we proposed the screen design policy considering salience of displayed information.
著者
吉田 悠 青山 久枝 狩川 大輔 井上 諭 菅野 太郎 古田 一雄
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.180-193, 2021-08-15 (Released:2022-02-16)
参考文献数
21

本研究では,航空管制に代表される複雑かつ認知的負荷の高い業務を対象に,人の視覚的特性を考慮した画面を設計することにより,ユーザーのタスクパフォーマンス向上や作業負荷低減の実現を目指している.今回筆者らは,視覚的注意に影響の大きい情報の誘目性に着目し,業務支援のための機能表示に色の誘目性を活用したときの,タスクパフォーマンス,状況把握,および作業負荷への影響を明らかにする実験を実施した.実験参加者は熟練航空管制官6名であった.実験タスクは現場の管制業務を模したマルチタスクとし,管制指示タスクをメインタスクに,航空機受け渡しタスクをサブタスクに設定した.そして,管制指示タスクにおける航空機の重要度に応じて色の誘目度を高中低の3段階に割当て,高と低の誘目度の差が(a)ない,(b)小さい,(c)大きい,の3パターンの実験条件を設定した.結果,情報間の色の誘目度の差が小さい画面条件では,メインタスクのパフォーマンスが相対的に高く,認知的負荷についても良好な傾向が見られた.
著者
大石 隆文 古田 一雄 近藤 駿介
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.203-208, 1997-03-31 (Released:2009-03-27)
参考文献数
5
被引用文献数
2 3

This paper is to propose a new architecture of a self-creating and organizing neural network for workspace recognition and navigation of an autonomous mobile robot. The robot assumed in this study learns its workspace with sonar sensors but without dead reckoning. The network proposed is organized into a graph structure rather than a tree with forgetting old links so that few dead nodes and dead links are created; the space of input signal can be covered efficiently by unsupervised learning. Methods of path planning and navigation based on a topological map created by learning has been proposed as well. The proposed architecture was tested by simulation of an autonomous mobile robot with eight sonar sensors, and it was demonstrated that the architecture is useful for the purpose.
著者
木村 浩 田中 博 勝村 聡一郎 古田 一雄
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.197-210, 2009 (Released:2012-02-22)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

Risk communication about high-level radioactive waste (HLW) disposal is necessary for public acceptance of the HLW disposal program in Japan. To support risk communication, we developed the Online Risk Communication Assistant Tool (ORCAT) system on the World Wide Wed (WWW). In this research, we analyzed the changes in participants' attitudes to HLW disposal through the test operation of the ORCAT system. We carried out the test operation of the ORCAT system from Oct. 29 to Dec. 12, 2005. One hundred fifty nonexpert participants, five experts, and two facilitators participated in this operation. To measure the changes in participants' attitudes to a HLW disposal program, we carried out web questionnaires before and after the test operation. Consequently, we found that most of the participants exhibited on increased level of concern about HLW as well as increased understanding regarding the necessity of HLW disposal. Nonetheless, they did not necessarily reduced their perceived risk of HLW disposal. In addition, we also found that the active participants drew conclusions based on thorough review of the information that experts posted on the ORCAT system, while the inactive participants made decisions primarily based on the context of the information presented on the ORCAT system.
著者
尾暮 拓也 高松 悠 古田 一雄
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.389-398, 2004
被引用文献数
1 2

原子力の是非について社会的に合意形成するためには社会全体によるリスク理解の醸成が必要である. 技術的な知識あるいは問題意識を技術者コミュニティと市民コミュニティで共有するためにはインターネットにおいてはディレクトリ型検索サイトの整備などが急務であると考えられるが, ここで用いられるオントロジーは十分に吟味されて設計されなければならない. 本研究ではまず市民コミュニティのオントロジーをテキストマイニングの概念マップ作成技術を応用して分析し, 原子力工学科カリキュラムから推定される技術者コミュニティのオントロジーと比較して両者の違いを明らかにする. 次にこれらの違いを踏まえて技術的な知識あるいは問題意識の共有のためのオントロジー設計方法について提案する.
著者
木村 浩 古田 一雄
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.307-316, 2003
被引用文献数
5 4

本研究の目的は,人々が原子力政策の賛否を判断する際に,居住地域や原子力に関する知識量によって,その判断に寄与する要因がどのように異なるのかを明らかにすることである.その目的のために,まず,消費地域3個所と電源地域2個所において原子力に関する社会調査を実施し,その収集データに因子分析を用いて,原子力に関する4つの認知要因を見出した.この結果を基に4つの認知要因尺度を作成し,相関分析の手法を用いて認知要因と原子力政策に対する賛否の判断との間にどのような相関関係が存在するのかを回答者の居住地域や知識量に着目して比較分析を行った.その結果,居住地域によって賛否の判断と大きな相関を持つ認知要因が異なり,その違いは知識量によって埋められていないことが示された.
著者
古田 一雄 前原 基芳 高島 亮祐 中田 圭一
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.299-306, 2003 (Released:2009-08-19)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

社会的決定においては公衆の参加による社会的合意形成への要望が高まる一方,インターネットの急速な展開にともない,電子掲示板などを用いた電子会議が社会的合意形成に一定の役割を果たすようになった.本研究では,こうした電子会議を用いた合意形成における参加者の発言内容や会議の進行に対する理解を深め,円滑な合意形成を支援するために,会議発言録から話題を抽出し,要約を作成して参加者に提示する手法を開発した.さらに開発手法を組み込んだ電子会議システムTSS (Transcript Summarization System)を開発し,既存の会議発言録を用いて機能確認を行った.
著者
柴山 直樹 古田 一雄
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.23, 2009

確率的潜在意味解析(pLSI)のトピック分布に相関を考慮した拡張型pLSIの提案を行う。pLSIは単純な行列計算で実装できるスケールしやすいアルゴリズムである。だが、理論の単純さから、検索に有効なディレクトリ型表現やネットワーク型表現に対応しない。そこで、トピックに相関を考慮した生成モデルに拡張することで、この問題に対応できるアルゴリズムを提案する。また、提案アルゴリズムと従来手法との比較を行う。