著者
小西 洋太郎
出版者
畿央大学
雑誌
畿央大学紀要 = Bulletin of Kio University (ISSN:13495534)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1-16, 2020-06-30

キヌア(Chenopodium quinoa Willd.)は7000年前から中央アンデス地方で栽培化された擬穀物である。気温,水,塩のストレスに耐性を示す種々な品種が存在する。キヌア種子はタンパク質含量が高く,かつ優れたアミノ酸組成を有し,またカルシウム,マグネシウム,鉄,亜鉛などのミネラルも多い。さらに生活習慣病を防ぐ種々のフィットケミカルが含まれる。このようにキヌアは世界の食料安全保障に貢献する作物として注目されている。しかし,キヌアの開発にあたっては,生産の場において持続可能な農業生態系,生物の多様性を維持しながら進めていくことが重要である。
著者
椎名 美穂子 藤井 克哉
出版者
畿央大学
雑誌
畿央大学紀要 = Bulletin of Kio University (ISSN:13495534)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.33-44, 2022-06-30

本研究の目的は,教員養成系大学の数学教育において,既有の統計知識の活用を促進するための具体的な方策を検討することである.まず,日本学術会議の提言や先行研究から,社会的要請と学生の実態との乖離を把握し,その上で,教員養成系大学において統計を体験的に学ぶ必要性を示した.そして,事前調査を基に教材を選び,個別最適な学びを目指して「達成度自由型(ゴールフリー)の活動を」を設定した.その結果,解析に必要な問いやアイディアの出現,代表値の積極的な活用傾向が見えた.また,抽出学生からは授業外での探求,批判的な考察,教育的価値の実感の様子が見えた.その一方で,解析に必要な変数の吟味,個々の統計知識の偏り,正規分布や検定の活用を促すことへの課題が見えた.
著者
関口 洋平
出版者
畿央大学
雑誌
畿央大学紀要 = Bulletin of Kio University (ISSN:13495534)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.45-58, 2022-06-30

本報告は、畿央大学教育学部における初年次教育の実践について、その政策的背景を整理したうえで、2021年度前期の初年次教育の具体的な内容と展開について検討し、畿央大学教育学部において初年次教育がもつ意義と課題について明らかにすることを目的とする。初年次学生を対象とするアンケート調査の検討を通じて、初年次学生はベーシックセミナーにおいて論理的な文章に関する知識やスキルについて課題を通じて実践的に学ぶとともに、キャリア形成セミナーでは将来的な進路を考えるうえで視野を広げ、職業観について一定程度の知識や多様な見方を獲得した学生が多く存在することが示された。
著者
深田 將揮
出版者
畿央大学
雑誌
畿央大学紀要 = Bulletin of Kio University (ISSN:13495534)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.23-29, 2019-06

畿央大学では、2014年度から1回生を対象とした教養英語授業でWEB上に日々の語学学習の記録を残す、eポートフォリオの取り組みを行っている。学習の振り返りや課外でのさらなる学びに繋がっている。しかし、授業を進めているうちに教室内外で学んだ内容や表現が実際の会話等に活かされるのは限られ、さらに英語学習のモチベーションを高め、英語学習を発展的に進め、さらに英語力を上げる契機になりにくいという課題が見えた。そこで、学んだ知識を実践的に使う機会を与えることで、学ぶ意欲を高め、さらには、英語力をさらに伸長する方法を模索するためオンライン英会話のEZ to Talkを導入した。その結果、事前事後のスピーキングテストにおいて一定の効果がみられ、また、事後のアンケート調査においても肯定的な意見が出た。
著者
森嶋 道子 林 有学 上平 悦子
出版者
畿央大学
雑誌
畿央大学紀要 = Bulletin of Kio University (ISSN:13495534)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.35-42, 2019-12-31

本研究の目的は、役職を持たない看護師のワーク・エンゲイジメント(Work Engagement、以下WE)を明らかにすることである。役職を持たない看護師550名を対象に自記式質問紙を用いて調査を行った結果、今の職場・診療科が自分に合っていると感じている者、今後の方向性が明確な者のWEが高いことが明らかとなった。また、臨床経験5年未満の者のWEは、臨床経験20年以上の者のWEと比較して低いことが明らかとなった。このことから、役職を持たない看護師には、職場の適応感を重視した配属を検討することや、今後の方向性を明確にできるような支援が必要であり、経験の浅い役職を持たない看護師には、支援を充実する必要性が示唆された。
著者
中西 恵理 林 有学 須藤 聖子 小林 智子
出版者
畿央大学
雑誌
畿央大学紀要 = Bulletin of Kio University (ISSN:13495534)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.51-58, 2019-12-31

基礎看護学領域において、学生がより主体的に自己学修にとりくむことや、臨地実習に対する自己効力感を高めることを目的として実施している「基礎看護技術自己学修会」への参加が、学生の臨地実習自己効力感にどのような影響を与えているのか検証した。結果から、基礎看護技術自己学修会に参加した学生の臨地実習自己効力感は、参加していない学生の臨地実習自己効力感より高い傾向にあることが示唆された。基礎看護技術自己学修会に参加することで、既修の基礎看護技術の習得状況に対する学生の自己評価を促し、技術練習することによって、臨地実習で基礎看護技術を実践することに対する学生の自信につながる可能性がある。
著者
中村 恵 小柳 和喜雄 古川 惠美
出版者
畿央大学
雑誌
畿央大学紀要 = Bulletin of Kio University (ISSN:13495534)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.19-34, 2019-12-31

本研究の目的は、日本の接続期教育における就学前教育についての在り方を検討することである。そこで、Growth as a human being and member of society をwell-beingとして育むフィンランドの幼児教育システムと、その特徴でもあるesikoulu(エシコウル:プレスクール)における調査により、就学前教育における「個」への尊重が、その内にある「well-being」への意識に教師が敏感であることにつながり、子どもの学習者としての「agency」が発揮されやすく、学習環境として成熟した「co-agency」が生成されやすいことが明らかになった。
著者
深田 將揮
出版者
畿央大学
雑誌
畿央大学紀要 = Bulltin of Kio University (ISSN:13495534)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.23-29, 2019-06-30

畿央大学では、2014年度から1回生を対象とした教養英語授業でWEB上に日々の語学学習の記録を残す、eポートフォリオの取り組みを行っている。学習の振り返りや課外でのさらなる学びに繋がっている。しかし、授業を進めているうちに教室内外で学んだ内容や表現が実際の会話等に活かされるのは限られ、さらに英語学習のモチベーションを高め、英語学習を発展的に進め、さらに英語力を上げる契機になりにくいという課題が見えた。そこで、学んだ知識を実践的に使う機会を与えることで、学ぶ意欲を高め、さらには、英語力をさらに伸長する方法を模索するためオンライン英会話のEZ to Talkを導入した。その結果、事前事後のスピーキングテストにおいて一定の効果がみられ、また、事後のアンケート調査においても肯定的な意見が出た。
著者
安井 義和
出版者
畿央大学
雑誌
畿央大学紀要 = Bulletin of Kio University (ISSN:13495534)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.65-72, 2017-12

0(零)は実数の加法演算で単位元という重要な存在でありながら小・中・高等学校ではその定義を論理的に学ぶことが極めて少ない。小学校1年生では1、2、3、・・・、9の並びに10を学ぶ。ここで初めて0 を学ぶが、学び方としては10でなくとも、9の次は極言すれば*でも、♯でもいい。そこで本学の「算数学」なる開講科目で数学的な演算からの観点で自然数から0を論理的に構成し、続いて負の整数を構成する。最後には -(-1)=1、3-(-1)=4などが成り立つことを示した授業実践例である。これら2つの式に4つの「-」が あるが、2つ目の式「3-(-1)=4」における「3」の直後の「-」は演算記号で、他の3つの「-」は正負の負の記号である。従って、「3-(-1)=4」を理解する際に「-(-1)=1」を用いて「3-(-1)=3+1」とするのは論理的ではない。本報告では論理的構成の理解をサポートするためにトランプカードを使用してゲーム的に理解することが特徴的である。