著者
藤田 秀 高橋 桂太 藤井 俊彰
雑誌
研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:21888582)
巻号頁・発行日
vol.2016-AVM-95, no.16, pp.1-6, 2016-12-01

光線空間法は,光線を単位として 3 次元空間の視覚情報を記述する手法である.光線空間は一般に 4 次元信号空間となるが,その信号は特有の構造をもつ.すなわち,光線空間の 2 次元部分空間では,信号は直線状の軌跡の集合となり,局所的にみれば,それらの直線の傾きはほぼ一定となる.この性質は,光線空間の補間等の処理において有用である.本研究では,光線空間の直線状の軌跡を効率よく記述するために,スパースコーディングの枠組みを検討する.従来研究においても,光線空間のスパースコーディングが試みられてきたが,直線の傾きが局所的に一定である性質は必ずしも十分に用いられていなかった.そこで,我々は,この性質を十分に用いるため,光線空間の離散フーリエ変換 (DFT) 領域に対して,グループスパース性を導入し,より効率的に光線空間を記述する.この際,DFT 係数に対して直接グループスパース性を適用する手法と,方向別の DFT 領域を記述する shearlet 変換係数に適用する手法を提案する.また,従来提案されていた shearlet の最適化手法を見直し,解析的に行うことで性能を向上させる.
著者
亀田 裕介 岸 浩志 石川 知一 松田 一朗 伊東 晋
雑誌
研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:21888582)
巻号頁・発行日
vol.2016-AVM-95, no.17, pp.1-5, 2016-12-01

本論文では画素毎の動き (オプティカルフロー) による時間外挿フレームを用いた複数参照フレーム動き補償予測方式を提案する.復号済みの連続 2 フレームから僅かな符号量で推定できる画素毎の動きを用いることで,ブロックごとの動きでは必ずしも適切ではない局所的な回転 ・ 拡大縮小 ・ 変形などの動きを補正することができる.ただし,外挿フレームは等速直線運動を仮定しており,またオクルージョンの悪影響もある.外挿フレームを参照ピクチャリストに追加して従来同様にブロックマッチングによる動き補償を行うことで,外挿フレームの欠点を補うことができる.可逆符号化での複数参照フレームの動き補償予測の性能評価の結果,外挿フレームを用いる提案手法の有効性と領域ごとの特性が確認できた.
著者
星田 裕司 岡 稔之 大塚 直哉 永松 良仁 井上 豊 坂元 宏聡
雑誌
研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:21888582)
巻号頁・発行日
vol.2015-AVM-91, no.1, pp.1-6, 2015-11-26

毎日放送では,2014 年 4 月に本館に隣接する新館の運用を開始し,その約 1 年後の 2015 年 4 月 20 日より新館のテレビマスター設備から放送を行っている.新マスター設備は,マスター送出設備,番組バンク設備,CM バンク設備,ダイレクト送出設備等から構成されている.また,監視者の負担を軽減しながら,より精度の高い監視が行えるよう様々な自動監視装置を導入する事で,安全で信頼性が高い放送を実現している.
著者
武田 翔一郎 亀田 明男 磯貝 愛 木全 英明
雑誌
研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:21888582)
巻号頁・発行日
vol.2019-AVM-104, no.9, pp.1-5, 2019-02-21

ビデオマグニフィケーションは,ヒトの視覚では捉えることが困難な映像中の微細な変化を強調 ・ 可視化する技術だが,被写体に素早く大きい変化があると,強調後の映像にノイズが発生するという課題を抱えている.これまでに,時系列データの滑らかさを評価する躍度という指標を用いることで,素早く大きい運動を無視しながら,微細な変化のみを強調する新たなビデオマグニフィケーション手法が提案されている [9].この手法は,定性的および定量的評価を通じて,従来発生していたノイズを著しく抑制できることが確認されているが,強調された映像がユーザに与える体感品質については明らかにされていない.本稿では,微細な変化の強調率に応じた,変化に対するユーザの気づきやすさと自然さの関係性について主観評価を行い,その結果を報告する.
著者
松村 誠明 亀田 明男 磯貝 愛 能登 肇 木全 英明
雑誌
研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:21888582)
巻号頁・発行日
vol.2018-AVM-101, no.10, pp.1-5, 2018-05-31

スタジアムやアリーナではスポーツを観戦する観客に対し,より試合に熱中いただくため,会場では様々な演出が行われる.これら演出は,熱中度低い観客に対しては楽しみ方の気付きを与えるような演出が望ましく,熱中度が高い観客に対してはより会場全体と一体になれるような演出が望ましい.本研究では,観客の熱中状態を判断する材料として興奮 ・ 緊張状態に着目し,観客の挙動を波と捉え,周波数変換したデータを基に興奮度や緊張度を推定する技術を構築したので報告する.
著者
前田 哲汰 パナヒプル テヘラニ メヒルダド 高橋 桂太 藤井 俊彰
雑誌
研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:21888582)
巻号頁・発行日
vol.2017-AVM-96, no.3, pp.1-6, 2017-02-17

我々は,サッカーなどの広大な空間を用いて行うスポーツを対象として,疎に配置した多数のカメラでシーンを撮影し,visual hull 法を用いてその 3D モデルを生成し,可視化する研究を行っている.Visual hull 法では微小なボクセルの集合によって 3D モデルを表す.扱う空間が広大かつ多数の選手が存在する場合,処理時間の削減やボクセル同士のオクルージョンの効率的な扱いが課題となる.そこで本稿では,処理時間を削減するために,8 分木構造を用いてボクセル群を多重解像度化し,内部を削りながらモデルを生成した.また,オクルージョンを明示的に扱わずに各ボクセルに対して矛盾のない色付けを可能にするために,仮想視点の角度に応じて表示色の変化をフーリエ級数で近似した.この表示色の推定において,周辺のカメラから得た色の中央値を用いることで比較的正しい色付けを行うことができた.