著者
藤井 俊彰 金子 正秀 原島 博
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.1312-1318, 1996-09-20
被引用文献数
75 6

本論文では, 3次元空間の情報を「光線」により表すという新しい枠組を提案する.この枠組においては, 画像情報の取得を「光線情報をサンプリング」, 任意視点からの画像の合成を「光線情報の読出し」と定式化することができる.さらに, 光線情報を取り扱うのに有用な光線パラメータ表現を導入, 基本的な性質を概観し, 光線パラメー夕が張る空間の観点から視域, 視野を再定義し, 光線の情報量を定量的に表すことに成功した.また, 光線表現を用いたいくつかの応用についても言及する.ここでは, 任意視点画像や可変焦点画像の生成, 自然画像とCGとの合成, 3次元空間情報の冗長性に関する検討, ホログラムパターンの情報圧縮について述べる.
著者
内田 雄基 大橋 一輝 高橋 桂太 藤井 俊彰
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J99-D, no.9, pp.823-835, 2016-09-01

本論文では,代表的なlight field cameraの一つであるLytro Illumを対象とし,カメラの物理的な画素配列を考慮した超解像手法を提案する.Lytro Illumでは,イメージセンサの手前に挿入されたマイクロレンズアレーの働きにより,多視点画像の同等のデータ(light fieldデータ)がイメージセンサ上に多重化されるため,一度の撮影で三次元情報を取得できる.取得データ(RAW画像)に逆多重化を施すことで,多視点画像(sub-aperture image)を取り出せるが,個々の画像の解像度は限られる.そこで,多視点画像を相互に位置合わせして超解像を行い,解像度を向上させる方法が考えられる.しかしながら,従来の手法では,Lytro Illumのようなカメラに特有のRAW画像の画素配列の扱い方に問題がある.RAW画像では,各画素はRGBのうち一つの色情報をもち,かつ,マイクロレンズが六角格子状に並んでいる.従来の手法では,デモザイキングにより色情報を復元し,レンズ配列が正方格子状になるように画素をリサンプリングする.これらの過程には重みづけ和のような演算を伴うデータの補間が含まれるため,RAW画像のもつオリジナルの情報が損なわれ,超解像の効果を妨げると考えられる.それに対して我々は,演算を伴う補間処理を行わず,RAW画像の画素配列を維持したsub-aperture imageを用いて超解像を行う手法を提案する.また,幾つかの実写画像を用いた実験により,提案手法の有効性を示す.
著者
藤田 秀 高橋 桂太 藤井 俊彰
雑誌
研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:21888582)
巻号頁・発行日
vol.2016-AVM-95, no.16, pp.1-6, 2016-12-01

光線空間法は,光線を単位として 3 次元空間の視覚情報を記述する手法である.光線空間は一般に 4 次元信号空間となるが,その信号は特有の構造をもつ.すなわち,光線空間の 2 次元部分空間では,信号は直線状の軌跡の集合となり,局所的にみれば,それらの直線の傾きはほぼ一定となる.この性質は,光線空間の補間等の処理において有用である.本研究では,光線空間の直線状の軌跡を効率よく記述するために,スパースコーディングの枠組みを検討する.従来研究においても,光線空間のスパースコーディングが試みられてきたが,直線の傾きが局所的に一定である性質は必ずしも十分に用いられていなかった.そこで,我々は,この性質を十分に用いるため,光線空間の離散フーリエ変換 (DFT) 領域に対して,グループスパース性を導入し,より効率的に光線空間を記述する.この際,DFT 係数に対して直接グループスパース性を適用する手法と,方向別の DFT 領域を記述する shearlet 変換係数に適用する手法を提案する.また,従来提案されていた shearlet の最適化手法を見直し,解析的に行うことで性能を向上させる.
著者
原田 雅樹 木本 伊彦 藤井 俊彰 谷本 正幸
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.64-73, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20

フラクタル画像符号化の高速化を実現するために,以下の二つの手法を提案する.第一の手法では,スケーリングパラメータの計算回数を削減させるために,一つのレンジブロック内の最大振幅と一つのドメインブロック内の最大振幅との比(以下ここではこれを最大振幅比と呼ぶ)を用いる.符号として選択されるドメインブロックにおける最大振幅比はスケーリングパラメータ付近の値をとるため,ある閾値を超える大きな最大振幅比を持つ場合にはスケーリングパラメータの計算を行わない.第二の手法では,スケーリングパラメータそのものの計算量を削減させるために,一つのレンジブロック内の輝度偏差と一つのドメインブロック内の輝度偏差との比(以下ここではこれを偏差比と呼ぶ)を用いる.偏差とスケーリングパラメータとの間には相関があるため,計算量の少ない偏差比に定数をかけてスケーリングパラメータを近似的に求める.
著者
ナ・バンチャン プリム 藤井 俊彰 谷本 正幸
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.1-4, 2002
参考文献数
11

我々はリアルタイムの画像光線空間データ獲得とその処理を行うシステム、「自由視点テレビ」を提案する。このシステムを用いて、ユーザはリアルタイムに実世界で視点を移動するかの如く自由に視点を変更することができる。この手法は実画像を元に視点修正を行う光線空間法を基本としており、我々の試作システムでは一直線上に配置した16台のCCDカメラを使用してこれを実現している。補間は光線空間データ補間フィルタリングを基本に行っている。我々の試作システムは民生機のみの使用であるが、処理速度と画質の双方において良好な結果が得られている。
著者
丹羽 宏介 間瀬 健二 東海 彰吾 川本 哲也 藤井 俊彰 梶田 将司 平野 靖
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.3C41, 2010

<p>ものづくり技術の過程の訓練映像や、スポーツ映像において、多視点映像技術は有力視されているが、視聴者は 自由な視点から興味深い映像を探す事が困難である。本稿では、多視点視聴が可能なツール(Peg-Scope Viewer)上での利用者の視聴ログから、重要映像を抽出する手法を提案し、抽出した重要映像を繋いでビデオを作成した。それを、他の方法で抽出したビデオと比較し、評価する方法を検討する。</p>
著者
石川 彰夫 奥井 誠人 山本 健詞 井ノ上 直己 寺谷 メヘルダド 高橋 桂太 藤井 俊彰
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.J174-J182, 2018 (Released:2018-09-26)
参考文献数
26

近年,臨場感を高めるため,人物を等身大で表示できる大型のディスプレイが注目されている.さらに大型の裸眼立体ディスプレイも研究開発が進められており,臨場感のある視聴体験が期待されている.しかし,大型ディスプレイで裸眼立体のための運動視差を実現するためには,100~200視点の映像が必要になる.一方,2020年頃に第5世代移動通信システム(5G)の実用化が予定されており,この通信帯域で数百視点の映像を視覚的な劣化が少なく伝送できれば,場所を限らず視聴できることになる.筆者らは数百視点の映像を圧縮伝送するアルゴリズムSecond-MVDを開発し,既に開発していた200視点の多視点映像伝送システム「REI」に実装して,5Gで想定されている大量のデバイスとの同時通信環境における平均スループットである100Mbps以下の環境を想定した主観評価実験を行った.その結果,想定環境下で4以上のMOSを達成する結果が得られた.
著者
前田 哲汰 パナヒプル テヘラニ メヒルダド 高橋 桂太 藤井 俊彰
雑誌
研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:21888582)
巻号頁・発行日
vol.2017-AVM-96, no.3, pp.1-6, 2017-02-17

我々は,サッカーなどの広大な空間を用いて行うスポーツを対象として,疎に配置した多数のカメラでシーンを撮影し,visual hull 法を用いてその 3D モデルを生成し,可視化する研究を行っている.Visual hull 法では微小なボクセルの集合によって 3D モデルを表す.扱う空間が広大かつ多数の選手が存在する場合,処理時間の削減やボクセル同士のオクルージョンの効率的な扱いが課題となる.そこで本稿では,処理時間を削減するために,8 分木構造を用いてボクセル群を多重解像度化し,内部を削りながらモデルを生成した.また,オクルージョンを明示的に扱わずに各ボクセルに対して矛盾のない色付けを可能にするために,仮想視点の角度に応じて表示色の変化をフーリエ級数で近似した.この表示色の推定において,周辺のカメラから得た色の中央値を用いることで比較的正しい色付けを行うことができた.
著者
福嶋 慶繁 丹羽 健太 圓道 知博 藤井 俊彰 谷本 正幸 西野 隆典 武田 一哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.8, pp.2039-2041, 2008-08-01
被引用文献数
7 2

本論文は,三次元の音声・映像を統合した新たなメディアを提案する.まず,多数のカメラ,マイクロホンを並べたカメラアレー,マイクロホンアレーで,多視点・多聴点データを撮影した.次にそのデータより自由視点映像,自由聴点音声を生成し,自由視聴点映像の生成に成功した.
著者
谷本 正幸 藤井 俊彰 圓道 知博
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、3次元空間情報を「光線」によって表現し、映像システムを構成する入力系・処理系・表示系を光線ベースで統一的に捉え直すことによって画像工学の体系を再構築し、新しい学理である光線画像工学の創成することを目指したものである。このためには、入力・処理・表示の全てに関して光線ベースで取り扱う技術が必要となる。このうち、表示に関しては光線を再現する方式のディスプレイが提案されてきており、我々の研究室でも光線空間データを実際の光線として再現することに既に成功している。このため本研究では主に光線空間の取得(入力)および処理に関する基盤技術の確立に注力した。光線空間の取得については、マルチカメラによる光線情報の取得を基盤技術と捉え、マルチカメラシステムを高効率・高精度で構築するための位置合わせの手法と、得られた多視点画像群を補正し、光線空間を構築する手法を開発した。これらにより、マルチカメラシステムを用いて光線空間を構築する基礎技術を確立した。光線べースの画像信号処理としては、光線空間の信号処理によって、シーンの分離および合成と、光学現象の再現を含む特殊映像効果の生成を実現した。また、光線情報の通信に必要な情報圧縮・符号化についても多視点画像間の類似性を利用することにより従来の動画像圧縮を超える効率を実現し、光線情報の圧縮符号化の基礎を確立した。さらに、3次元画像情報を光波面として記述するホログラムと光線空間との相互変換を実現した。ホログラムは究極の3次元画像表示方式であると言われており、光波とその伝播という物理現象に基づく記述方式である。このホログラムと光線空間とが理論的に等価な情報を表現し、相互に変換可能であることが示されたことは、光線空間が入出力方式に依らない普遍的な3次元空間情報の記述法であることを裏付けただけでなく、これに物理的な意味を与えた点においても画期的である。
著者
ナ・バンチャン プリム 藤井 俊彰 谷本 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.517, pp.1-4, 2002-12-10
被引用文献数
4

我々はリアルタイムの画像光線空間データ獲得とその処理を行うシステム、「自由視点テレビ」を提案する。このシステムを用いて、ユーザはリアルタイムに実世界で視点を移動するかの如く自由に視点を変更することができる。この手法は実画像を元に視点修正を行う光線空間法を基本としており、我々の試作システムでは一直線上に配置した16台のCCDカメラを使用してこれを実現している。補間は光線空間データ補間フィルタリングを基本に行っている。我々の試作システムは民生機のみの使用であるが、処理速度と画質の双方において良好な結果が得られている。
著者
中西 敦士 藤井 俊彰 木本 伊彦 谷本 正幸
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.1321-1327, 2002-08-01
被引用文献数
33 14

A new method for interpolating ray-space data is described that uses block matching and one-sided extension of the locus of corresponding points for arbitrary-view image generation. The block detects straight lines for interpolation. The one-sided extension interpolates occluded pixels. Testing showed that the proposed method generates intermediate images well even when occlusion occurs
著者
福嶋 慶繁 松本 健太郎 圓道 知博 藤井 俊彰 谷本 正幸
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.564-571, 2008-04-01
被引用文献数
3

We have developed an effective rectification method that has a pixel error of less than 0.25 of a pixel for use in two-dimensional multi-camera arrays. Rectification and correction are important for free view-point imaging and multi-view coding in the field of image-based rendering (IBR). In the computer vision field, a number of rectification methods for binocular/trinocular stereo camera setups have been develpopd and used. However, not many multi-camera array rectifications methods have been developed.