著者
安川 香澄
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会機関誌えねるみくす (ISSN:24323586)
巻号頁・発行日
vol.98, no.2, pp.154-160, 2019-03-20 (Released:2019-03-29)
参考文献数
9

世界で3番目の地熱資源量を誇る日本では,3.11後に地熱開発を促進する政策が次々と打ち出されたが,大型の地熱開発はなかなか進まない。その主要因は地下資源特有の開発リスクと社会的受容性であり,周辺環境との共生と持続的な地熱発電のためには,地下探査技術の向上が不可欠である。そのための技術開発と,さらに将来の地熱発電量の飛躍的な増大に向けた超臨界地熱資源に関する調査研究について紹介する。
著者
青木 繁光 小垣 哲也 浅沼 則道 高野 裕文
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会機関誌えねるみくす (ISSN:24323586)
巻号頁・発行日
vol.97, no.2, pp.164-170, 2018-03-20 (Released:2018-03-30)
参考文献数
3

北太平洋上の強風海域において風力を利用して帆走しながら水中のロータ(水車)によって発電機を駆動し,海水から電気分解して得られた水素を貯蔵して自力で持ち帰る大型帆船を提案する。1ユニットあたり100メガワットを超えるシステムの開発が可能であり,水素キャリアとしてCO2を用いたケースではCO2フリー水素を供給しながらCO2リザーバとしての機能を有する,すなわち「資源・環境問題の同時解決」(1991年;向坊東大名誉教授)が可能となる。
著者
椿 範立
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会機関誌えねるみくす (ISSN:24323586)
巻号頁・発行日
vol.97, no.3, pp.203-208, 2018-05-20 (Released:2018-05-31)
参考文献数
18

C1化学は石油の代わりに,石炭,天然ガス,バイオマス等から化学品及びエネルギー製品を製造するキーテクノロジーである。既存の気相,液相FT合成(Fischer-Tropsch 合成)とは異なり,超臨界相FT合成技術を開発した。超臨界相FT合成において,炭化水素のASF分布を世界で初めて打破できた。固体触媒ペレット表面に酸性ゼオライト膜を有する「カプセル」触媒概念を提唱し,合成ガスからガソリンの直接合成に成功した。このカプセル触媒が複数の触媒反応を一括に遂行できるone-step合成に特に有効であることを確認した。触媒的なアルコールを生かした新規低温メタノール合成技術を発明し,低温有利な熱力学平衡メリットを維持すると共に,低温でも高い速度と高い転化率を実現した。既存の高温高圧メタノール合成工業プロセスの問題点を解決した。複合触媒を開発し,ジメチルエーテルからエタノールの直接合成を発明した。ナノ粒子の自己組織法に基づき,汎用的なバイモダル触媒調製方法を樹立した。これらの新技術はC1化学の発展に大きく貢献した。
著者
種田 英孝
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会機関誌えねるみくす (ISSN:24323586)
巻号頁・発行日
vol.96, no.4, pp.508-510, 2017-07-20 (Released:2018-03-30)
参考文献数
11

Lignin is the most abundant aromatic polymer and renewable resources. At present lignin mostly is burned in the pulping process for energy recovery. However, attractive market for lignin will be established towards the substitution of fossil resources. In this article, present markets for lignin are reviewed and promising markets are discussed.
著者
松澤 克明
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会機関誌えねるみくす (ISSN:24323586)
巻号頁・発行日
vol.96, no.1, pp.34-39, 2017-01-20 (Released:2018-03-30)
参考文献数
15

This article presents the status of development of microalgae production for renewable jet fuel. A special species of improved Botoryococcus braunii is cultivated in the pond for producing jet fuel. The species has great characteristics of large growth rate compared with wild species, high content of oil and large particle size. The open-pond cultivation has been succeeded through the scaled-up examinations using pond ranging from 100 m2- to 1500 m2-area in Japan without contamination troubles that other species attacked to it. In the meantime, the open-pond cultivation was also succeeded in low latitudes. The growth rate was larger than that in Japan, that revealed the strength of solar radiation has the tremendous effect of enhancement of growth on the species.
著者
原野 幸治
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会機関誌えねるみくす (ISSN:24323586)
巻号頁・発行日
vol.98, no.6, pp.676-682, 2019-11-20 (Released:2019-11-29)
参考文献数
9

最新の顕微鏡技術によって,有機分子の形を原子レベルの解像度で可視化することが可能となった。これにより,石炭や重質油に含まれるアスファルテン分子をひとつひとつ観察して構造決定することが実現された。
著者
坂 志朗
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会機関誌えねるみくす (ISSN:24323586)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.331-335, 2017-05-20 (Released:2018-03-30)
参考文献数
12

Global warming and depletion of fossil fuels are recently causing many problems. Under such a situation, a special attention has been paid to plant biomass for useful energy and chemicals. Therefore, in this study, phylogenic evolution and diversity of lignin in various biomass species in plant kingdom were first introduced so as to discuss topochemistry of lignin in plant cell walls such as chemical structure and distribution of lignin. In addition, chemical composition of various plant species on the earth were introduced to characterize taxonomically different biomass species. The lignocellulosics were then defined from a viewpoint of a role of lignin in plan kingdom.
著者
市川 真士 村田 崇 木野村 茂樹 鈴木 岐宣 三好 達也
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会機関誌えねるみくす (ISSN:24323586)
巻号頁・発行日
vol.97, no.3, pp.232-238, 2018-05-20 (Released:2018-05-31)
参考文献数
5

新型のプリウスPHVに搭載されている新開発プラグインハイブリッドシステムは,旧型のプリウスPHVと比べ,よりいっそうの高効率・低損失化と小型・軽量化を目指して開発を推進し,次世代環境車の柱となるにふさわしい省エネ性能を実現した。EV性能は,EV距離とEV出力ともに旧型より大幅アップを実現し,実使用でのEVカバー率の向上が可能となった。さらに,駆動用バッテリの充電は,ACおよびDC充電に加え,世界初のソーラー充電システムを採用した。駐車中のソーラー充電で,日当たり最大EV距離6.1 km分の充電が可能であり,よりCO2フリーなEV走行が可能となった。
著者
北田 剛
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会機関誌えねるみくす (ISSN:24323586)
巻号頁・発行日
vol.99, no.1, pp.53-58, 2020-01-20 (Released:2020-01-31)
参考文献数
1

メタウォーター株式会社は2019年3月にアナモックス反応を利用した消化汚泥脱水分離液の処理施設を大阪市平野下水処理場に納入した。本報では施設仕様及び運転状況について概説するとともに,メタウォーターが実施設納入に至るまでの開発経緯について紹介する。
著者
田中 博通
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会機関誌えねるみくす (ISSN:24323586)
巻号頁・発行日
vol.98, no.2, pp.147, 2019-03-20 (Released:2019-03-29)
参考文献数
8

海洋エネルギーの一分野である波力発電の研究開発は,わが国では世界に先駆けて1960年代から行われていたが,2000年以降,欧米で積極的に研究開発が行われ,実証試験から実用化に至っている。ここでは,波エネルギー全般と国内外の波力発電の研究開発状況およびその課題と展望について詳述する。
著者
中川 鉄水
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会機関誌えねるみくす (ISSN:24323586)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.726-733, 2021

<p>水素貯蔵材料アンモニアボランは米国などで車載用水素源として研究されてきたが,分散型電源の水素源としても大きな可能性がある。本稿ではアンモニアボランの基礎知識と課題,および沖縄県事業とNEDO事業等での本グループの取り組みを紹介する。 </p>
著者
岡田 至崇
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会機関誌えねるみくす (ISSN:24323586)
巻号頁・発行日
vol.96, no.2, pp.142-147, 2017

<p>In order to surpass the theoretical Shockley-Queisser limit of energy conversion efficiency of single-junction solar cells as well as to lower the cost, advanced concepts and new materials are emerging. By placing a dense array of quantum dots in the active region of a <i>pin</i> solar cell, which consequently leads to formation of a superlattice miniband or intermediate-band, the solar cell efficiency could reach 63% under full sunlight concentration. Recent status and future research opportunities are reviewed.</p>
著者
井関 康人
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会機関誌えねるみくす (ISSN:24323586)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.61-66, 2018-01-20 (Released:2018-02-28)
参考文献数
3

家電製品の破砕混合プラスチックから,湿式比重選別,静電選別により高純度のPP,PS,ABSを選別する。さらに,RoHSに適合させるため,X線を利用した選別により臭素系難燃プラスチックを除去する。三菱電機は,このようにして回収された高純度プラスチックを,再び家電製品で使用する,いわゆる自己循環リサイクルを推進している。
著者
市川 真士 村田 崇 木野村 茂樹 鈴木 岐宣 三好 達也
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会機関誌えねるみくす (ISSN:24323586)
巻号頁・発行日
vol.97, no.3, pp.232-238, 2018

<p>新型のプリウスPHVに搭載されている新開発プラグインハイブリッドシステムは,旧型のプリウスPHVと比べ,よりいっそうの高効率・低損失化と小型・軽量化を目指して開発を推進し,次世代環境車の柱となるにふさわしい省エネ性能を実現した。EV性能は,EV距離とEV出力ともに旧型より大幅アップを実現し,実使用でのEVカバー率の向上が可能となった。さらに,駆動用バッテリの充電は,ACおよびDC充電に加え,世界初のソーラー充電システムを採用した。駐車中のソーラー充電で,日当たり最大EV距離6.1 km分の充電が可能であり,よりCO<sub>2</sub>フリーなEV走行が可能となった。</p>
著者
松下 泰幸
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会機関誌えねるみくす (ISSN:24323586)
巻号頁・発行日
vol.96, no.4, pp.495-500, 2017-07-20 (Released:2018-03-30)
参考文献数
37

Klason lignin is generated by acid hydrolysis of woody materials with 72% sulfuric acid as a residue. This procedure is useful not only for the determination of lignin content but also for the production of sugar from woody biomass. In the acid saccharification process, Klason lignin is yielded as a byproduct. One of the key points in developing the acid saccharification process is to find the effective ways to utilize Klason lignin. In this review, the chemical conversion of Klason lignin into functional materials, such as surfactants, dispersing agents, bioactive agents was discussed.