著者
渡辺 宗孝 岩田 清二
出版者
The Japanese Society for Animal Psychology
雑誌
動物心理学年報 (ISSN:00035130)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.75-82, 1956-04-25 (Released:2009-10-14)
参考文献数
10
被引用文献数
17 15

(1) ダンゴムシにおいては交替性転向反応が明らかに認められる。(2) 予め撰択的に転向させた場合と強制的に転向させた場合とでは, その後の撰択反応に差が認められない。(3) 撰択反応に先んじて, 同じ方向に強制的に2回転向せしめた場合には, 1回だけ転向せしめた場合に比較して, 交替性が更に高率に現われる。(4) 先行転向1回の場合には, 撰択点と先行転向点との間の距離が増すに従つて交替性が減少し, 距離を16cmにすると対照との問に有意の差が認められなくなる。(5) 先行転向2回の場合には, 撰択点とその直前の転向点との間の距離を増大せしめたときのみならず, 両先行転向点間の距離を増大せしめても交替性が減少する。しかしこれらの場合直線路を16cmとしても, 猶その前の転向の影響が見られる。(6) 以上の結果はいづれもHULLの反応性制止の原則を是認すれば, それから期待されることである。
著者
山田 宗視
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学年報 (ISSN:00035130)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.21-25, 1966-10-30 (Released:2009-10-14)
参考文献数
9

ニホンザルの表情を 18 の類型に分けた。そしてそれは, 4つの系列にまとめられ, これらは感情の質的ちがいによってもたらされたものであった。同一の系列内のものには, 同一感情の量的ちがいによるものと, これに異質な感情要素の附加されたものがあった。そしてまた, 単一の感情要素によってあらわされている表情と, 多数の感情要素が同時にはたらいているものもあった。
著者
丸山 浩
出版者
The Japanese Society for Animal Psychology
雑誌
動物心理学年報 (ISSN:00035130)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.61-68, 1954-04-25 (Released:2009-10-14)
参考文献数
9

以上この実験では, cue-reversal techniqueを用いて弁別学習に於ける連続説と非連続説の対立を吟味したのであるが, 被験動物が異つたのみでその他の実験条件を等しくしながら, 連続説の期待に反して, 先行訓練の最終学習過程に及ぼす正又は負の波及を認めることは出来なかつた。連続説の側で得た結果との不一致は, ここでは, 位置習性の機構が, 単に位置に対する興奮傾向の優越にもとずくものでなく, 何等かの他の要因に基くことを暗示させる結果となつた。最後に実験結果そのものは非連続説の期待と一致したが, それだからといつて, このことから直ちにいわゆる解決前期の特徴的反応様式-例えば位置習性等-が動物の “仮説” を示すと断定することは困難であることが示された。従つてこの論争を解決する為には更に異つた手続による案験の結果をまつ必要がある。
著者
前田 嘉明
出版者
The Japanese Society for Animal Psychology
雑誌
動物心理学年報 (ISSN:00035130)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.83-91, 1964-04-25 (Released:2010-01-28)
参考文献数
18

Eine Übersprungbewegung kann auftreten, wenn im Tier zwei Triebe zu gleicher Zeit erregt werden, deren Handlungen antagonistisch sind. Ein zweiter Umstand, der zu Übersprungbewegungen Anlass gibt, ist das zu plötzliche Erreichen des Zieles. Drittens kann das Ausbleiben der notwendigen äusseren Reizung irgend wo in der Handlungskette Übersprungbewegungen hervorrufen. Allgemein darf man wohl erwarten, dass ein Drangüberschuss, der keinen Ausweg finden kann, zu Übersprungbewegungen Anlass gibt. Wenn eine Übersprungbewegung während eines Konfliktes zwischen zwei Instinkten auftritt, könnte diese z. B. entweder von einem oder von beiden gehemmten Drängen allochthon gespeist werden. Es bleibt aber ausserdem noch die Möglichkeit, dass infolge der antagonistischen Wirkung der Instinkte zwei in Konflikt geratene Instinkte ihre hemmende Wirkung auf einen dritten verlieren, der nun seinerseits die Übersprungbewegung bewirkt. SEVENSTER und IERSEL haben der Drangüberschusstheorie von TINBERGEN und KORTLANDT gegenüber eine neue Enthemmungshypothese aufgestellt und die Vorstellung vom “Überspringen” aktionsspezifischer Impulse abgelehnt. Es gilt zu entscheiden, ob die als Übersprung auftretende Bewegung in der Tat zu einem anderen (allochthonen) Drang gehört, oder ob die Handlung nur ein Ablauf desselben (autochthonen) Instinktes darstellt. Es wäre sehr wertvoll, dieses Problem experimentell genauer zu untersuchen.
著者
今西 錦司
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学年報 (ISSN:00035130)
巻号頁・発行日
no.3, pp.11-31, 1953
被引用文献数
3

i) 冬季における御崎馬の社会では, 1 頭または 2 頭からなる小世帶を, 形成しているものが多い。<BR>ii) これらの小世帶の中には, お互いにその行動圏の overlap しているものがあつて, その間には neighborhood 関係の認められるものもある。<BR>iii) 大世帶で生活しているものは, グループとして独立している;すなわち他の世帶と, neighborhood 関係で結ばれていない。交尾期になつても, 交尾集団の成立のために, グループを解散するようなごとはない。<BR>iv) 大世帶グループには, nelghborhood 関係というよりも, 知己関係といつた方がよいような馬が, 客員としてはいつてきている。<BR>v) 大世帶グループでは, その中にいるリーダー格の馬が, アトラクションの中心となつている。その馬を中心に, 血縁的な結びつきの存在することも考えられるが, 必らずしもそれだけでにないらしい。客員は, このリーダーにひかれて, グループに入つてきているように見える。<BR>vi) 〓の行動圏は一般にひろい。その中には大世帶の行動圏も, 小世帶の行動圏もふくまれる。そこに〓を介した community 関係ともいうべき, 一つの社会関係が認められる。<BR>vii) しかし, 大世帶と小世帶とで, 〓に対する関係がちがう。〓は小世帶をリードできても, 大世帶をリードすることはできない。ゆえに大世帶に対しては, 〓も客員となつてそのリードにまかすか, あういはその中かち結合の弱いものを, とりこにするの他はない。<BR>viii) 以上から, この馬の社会では, 〓の地位と, 大世帶グループのリーダーとなつている〓の地位とが, social organization の key point をなすものである, といえよう。<BR>ix) われわれはこれで, 春の交尾期と冬の疎開期との, 概況を知つたから, つぎには, イワクラと小松が辻の草地に, ほどんどすべての馬が出そろうという, 夏の集中期をえらんで調査してみたいのである
著者
岩田 清二 渡辺 宗孝
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学年報 (ISSN:00035130)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.53-56, 1957-04-25 (Released:2009-10-14)
参考文献数
1
被引用文献数
4 6

(1) 交替性転向反応の顕著な, ダンゴムシArmadillidium vulgareを用いて, 強制転向後の直進性と転向性とをしらべた。(2) 出発点から強制転向点を通り4cm程直進した後に十字路にでた虫は, そこで強制転向点における転向方向と反対方向の横路に入るものがかなりあるが, それよりもそのまゝ直進路に入りこむものの方が遙かに多い。(3) そのまゝ直進路に入りこんだものでも更に4cm直進させてからT字路につき当らせると, 強制転向点における転向方向と逆方向に曲るものの方が同じ方向に曲るものよりも多い。(4) 強制転向点を通り4cm直進してから開放面にでた虫の転向角は強制転向の方向と逆方向の15°~45°をmodeとする分布を示す。上述の結果はこの分布から説明される。
著者
小川 隆
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学年報 (ISSN:00035130)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.70-76, 1955-04-25 (Released:2009-10-14)
参考文献数
15
被引用文献数
4 1

伝書鳩を用いて行動の実験的分析をする試みは近来, SKINNER B.F. (10, 11, 12) らによつて努力されている。この方法はネズミを用いる場合と並んで, 問題によつてはそれ以上に有効なようである。筆者らの若干の実験からしても, 条件反応の形成が比較的容易であること, 色彩の弁別などでは鋭敏な能力のあることが認められる。筆者らの実験は広い意味で弁別道具条件づけoperant discriminationに属しているが, 実験の成果については他の機会にゆずり本稿ではその手続, 方法, 条件つげの経過にみられる特徴などについて若干の考察をなし, 鳩を使用して今後, 実験される方々の参考にしたい。
著者
永丘 智郎
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学年報 (ISSN:00035130)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.79-83, 1953-04-30 (Released:2009-10-14)
参考文献数
18
著者
小笠原 信一郎 大津 起夫
出版者
The Japanese Society for Animal Psychology
雑誌
動物心理学年報 (ISSN:00035130)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.85-96, 1984-03-25 (Released:2010-01-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

The purpose of this study is to investigate the adjustment mechanism on the inter-individual distance operating to minimize social conflicts in a group. Nonoverlapping territorial system is one of the most famous examples of such mechanisms.Five adult golden hamsters (Mesocriecetus auratus) were used as a group, consisting of three females named F1, F2 and F3, and two males named M1 and M2. A specifically designed open-field (OF) was used to observe social interactions and to measure individual activities and the distances between each pair of subjects (Fig. 1). The experement was run for 17 days. On the fifth day, the female hamster F1 established her dominance in that group, and began to restrain the activities of the others (Fig. 2). She formed an exclusive territory of her own on one of the quarters of the open-field, and the others were vigorously expelled from it (Fig. 3, Fig. 4).Aggressive and submissive behaviours were commonly observed among them, with a number of violent attacks occurred especially between males. One female F3 who had experienced long term isolation from weaning showed a tendency to flee from all of the others (Tables 1 and 2).An index of proximity Pr was used to measure spatial relations between individuals, which is approximately the inverse of the absolute distance (Fig. 5). The average proximity of the dominant female (F1) toward the others and that of the isolated female (F3) were both small (Fig. 6). This result should be explained in terms of the facts that F1 was avoided by every other, and that F3 avoided every other. Though the activities of the four subordinate members were almost the same, this did not hold for their average proximities (Fig. 7). It seemed that F3 and M2, suffering from persistent attacks by F1 and M1, adjusted their distances from the dominant subjects meticulously. So it is our conclusion that an adjustment mechanism on inter-individual distance is operating even among subordinate subjects who could not afford to have a unique territory.
著者
森山 哲美
出版者
The Japanese Society for Animal Psychology
雑誌
動物心理学年報 (ISSN:00035130)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.101-113, 1981

従来, 刻印づけにおける追従反応は, 離巣性の種 (non-altricial species) の新生児が, その親に対して示す愛着行動の1つとして解釈されてきた。さらに, LORENZzは, その初期の見解 (7) の中で, この刻印づけによる新生児の行動と一般の学習行動とを, 次の2点を基にして区別した。1), 刻印づけは, 不可逆性 (irreversibility) を有する, 2), 刻印づけには, 臨界期 (critical period) が存在する。<BR>LORENZ以降, この2点に関して様々な議論が展開され (1, 5, 6, 9, 10, 12, 13), 現在のところ, この過程については, 「個体のごく限られた時期に獲得形成され, 比較的永続性のある学習の一部である」と解釈されている (8) 。しかし, 追従反応が子の親に対する愛着行動の一種であるとするならば, 個体の, 後の成長過程で受ける様々な社会的刺激 (例えば, 仲間の個体) によって, 何らかの変容をこの反応は受けるものと思われるし, さらに愛着行動に影響する要因として, 親にあたいする刺激対象との接触回数を考えるのであれば, その回数の多少が, 愛着の強さの程度に影響し, 追従反応にも何らかの変化が生ずるものと思われる。もし, このような反応の変容が, 後の個体の成長過程で生ずるのであれぼ, LORENZの主張した不可逆性は, 成立しにくいものと思われる。さらに, 臨界期に関しては, それが過ぎてからも刻印づけの形成が可能であるという報告があり (3), その存在について明確な結論が出されていない。<BR>そこで, 本研究は, ニワトリのヒナの刻印づけの指標として, 刻印刺激への追従時間量ならびに追従出現頻度を用い, 約1ケ月間, 飼育条件 (単独・集団), 刺激呈示条件 (呈示回数) を変化させることによって追従反応に如何なる変化が生ずるかを調べ, さらに臨界期を過ぎた個体でも刻印づけ形成が可能であるか否か検討することを目的とした。
著者
森本 肇
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学年報 (ISSN:00035130)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.91-97, 1956-04-25 (Released:2009-10-14)
参考文献数
13

一般にandrogenは優位性を高め, estrogenは攻撃性を弱めるか, または影響しないことが認められているようである (1) 。魚類での性ホルセンと行動についての研究はただツルギメダカXiphophorus helleriで行われているだけのようである (1) 。メダカOryzias latipesの行動については色々な実験が行われている (2, 6, 8, 9, 10, 11, 12, 13) が, その行動に及ぼすホルモンの効果の研究は, まだ行われていない。そこで筆者は, メダカの2個体社会の行動に及ぼす去勢の影響について実験的分析を企てた。