著者
内田 照久 大津 起夫
出版者
日本テスト学会
雑誌
日本テスト学会誌 (ISSN:18809618)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.77-84, 2013 (Released:2022-03-12)
参考文献数
21
被引用文献数
1

大学入試センター試験に代表される大学入学共通テストは,受験者の処遇を左右するハイ・ステイクスな試験である。このセンター試験への英語リスニングテストの導入については,センター試験の前身である共通第一次学力試験の時代から,幾度となく検討が繰り返されてきた。本報告では,その四半世紀余りに及ぶ議論の経緯を整理すると共に,長きに亘ってリスニングテストの導入が見送られてきた背景,その一方, 2003年に急転直下, リスニングテストの実施が発表された経緯を概括する。そして,現在行われているリスニングテストの課題を考えると共に,導入後の評価に関しても検討する。そして,大規模試験における望ましい変革のあり方を探る。
著者
荘島 宏二郎 大津 起夫
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.89-106, 2004-09-30
参考文献数
38
被引用文献数
1

1. 目的 項目反応理論(item response theory, IRT;Lord, 1980;Hambleton & Swaminathan, 1985;芝, 1991;池田, 1994)は, テストを運営する上で非常に強力な理論体系であり, 前川(2003)が報告しているように, 我が国でも医師国家試験(厚生労働省), 情報処理技術者試験(通商産業省), 日本留学試験(日本国際教育協会)などの実際の大規模テストでも実用化が達成されている. IRTモデルの1つに連続反応モデル(continuous response model, CRM;Samejima, 1973, 1974)がある. CRMは連続得点のためのIRTモデルとして応用上重要なモデルである(Shojima, 2003). CRMの項目母数の推定法はWang & Zeng(2000), あるいはShojima(2004)で提案された. また, Shojima(2003)がCRMの共通項目計画(common item design;e. g., Haebara, 1980;Stocking & Lord, 1983)と共通被験者計画(common examinees design;e. g., 野口, 1986;Ogasawara, 2001)におけるテスト等化法を論じている. Shojima(2003)の共通被験者計画における等化法は, 野口(1986), Ogasawara(2001)に準ずるものである.
著者
小笠原 信一郎 大津 起夫
出版者
The Japanese Society for Animal Psychology
雑誌
動物心理学年報 (ISSN:00035130)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.85-96, 1984-03-25 (Released:2010-01-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

The purpose of this study is to investigate the adjustment mechanism on the inter-individual distance operating to minimize social conflicts in a group. Nonoverlapping territorial system is one of the most famous examples of such mechanisms.Five adult golden hamsters (Mesocriecetus auratus) were used as a group, consisting of three females named F1, F2 and F3, and two males named M1 and M2. A specifically designed open-field (OF) was used to observe social interactions and to measure individual activities and the distances between each pair of subjects (Fig. 1). The experement was run for 17 days. On the fifth day, the female hamster F1 established her dominance in that group, and began to restrain the activities of the others (Fig. 2). She formed an exclusive territory of her own on one of the quarters of the open-field, and the others were vigorously expelled from it (Fig. 3, Fig. 4).Aggressive and submissive behaviours were commonly observed among them, with a number of violent attacks occurred especially between males. One female F3 who had experienced long term isolation from weaning showed a tendency to flee from all of the others (Tables 1 and 2).An index of proximity Pr was used to measure spatial relations between individuals, which is approximately the inverse of the absolute distance (Fig. 5). The average proximity of the dominant female (F1) toward the others and that of the isolated female (F3) were both small (Fig. 6). This result should be explained in terms of the facts that F1 was avoided by every other, and that F3 avoided every other. Though the activities of the four subordinate members were almost the same, this did not hold for their average proximities (Fig. 7). It seemed that F3 and M2, suffering from persistent attacks by F1 and M1, adjusted their distances from the dominant subjects meticulously. So it is our conclusion that an adjustment mechanism on inter-individual distance is operating even among subordinate subjects who could not afford to have a unique territory.
著者
内田 照久 大津 起夫 伊藤 圭 内田 千春
出版者
独立行政法人大学入試センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

近年,世界的なグローバル化が進む社会情勢の中で,直接的な対話のためのコミュニケーション能力が問われるようになってきた。そこで,対話場面で必要とされる能力を検証し,音声コミュニケーション能力の教育測定のためのテスト開発に係わる研究を行った。本研究期間中は,(1)大学入試センター試験へのリスニングテストの導入に至る歴史的経緯と評価,(2)音声の韻律的特徴と話し方の評価・話者の性格印象の関係性の定量的モデル化,(3)声質変換音声を用いた英語リスニングテストの評価実験,を行った。
著者
大津 起夫 橋本 貴充 荘島 宏二郎 石塚 智一
出版者
日本行動計量学会
雑誌
日本行動計量学会大会発表論文抄録集
巻号頁・発行日
vol.34, pp.174-177, 2006-08

大学入試センター試験は約50万人の受験者を有する大規模な試験である.センター試験を採用する大学には、利用する受験科目の裁量が可能である.また同一時間に同一教科に属する複数科目の試験が実施されるため、受験者ごとに様々な科目パターンが発生し、一貫した基準による受験者の比較が難しい.ここでは、欠測値に対応した、非線形因子分析を用いることにより、これら受験者の学力比較のひとつの基準を提案し、またこれを用いてセンター試験における受験者の科目選択の状況の概要を把握する。
著者
大津 起夫 宮埜 壽夫
出版者
独立行政法人大学入試センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

心理学をはじめとする行動諸科学の研究においては,多変量統計データの統計的分析が,研究を進める上で重要であり,適用領域の拡大とともに分析対象となるデータの規模も急速に大型化してきている。本研究においては,近年進展の著しいコンピュータの並列処理機能(マルチコア化)を前提に,これまで心理統計および心理測定分野で開発されてきた統計モデル(特に,大規模な非線形の潜在変数モデル)の推定法の高速化をおこなった。また,大規模なテストデータを対象としてモデルの推定を行い,特に試験問題の潜在構造と難易度比較についての分析例をした。非線形因子分析モデルの推定においては,6コアPC上で,3倍超の高速化を実現した。