- 著者
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長岡 久人
- 出版者
- 日本鱗翅学会
- 雑誌
- やどりが (ISSN:0513417X)
- 巻号頁・発行日
- no.178, pp.2-18, 1998-10-10
- 被引用文献数
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日本のベニヒカゲ(Erebia niphonica)は,本州では標高の高い山岳地帯に生息している一方,北海道では比較的低標高の場所に生息している如く,国内での分布は広い。またその産地もミクロ的視点に立てば,数は限りなく多い。また,各産地毎で若干の斑紋変化があり,斑紋の差等でいろんな亜種名が付けられてもいる。従って,日本のベニヒカゲの産地をことごとく取り上げると,産地の数は,かなりの数にのぼるものと思う。全ての産地を自らの足で廻ることは不可能であろうし,また,日本の全ての産地のベニヒカゲをコレクションしようとしても,これまた,不可能ではなかろうか。ラベル集めという楽しみに入れば迷宮に迷い込んでしまう危険性もある。しかし,ベニヒカゲの世界は,若い女に狂うよりは,大人の「いぶし銀」の世界があるように思う。貴方は若い女を選ぶか,渋い世界で一人人生を楽しむか,どちらを選びますか。さて,以下では,ベニヒカゲについて,最低限コレクションしたり,観察してまわるべき(?)産地を整理してみた。無論,標題も産地も筆者の自己中心的な選定であるので,ピント外れの際はお許し下さい。さて,一生の内,どれ位廻れるでしょうか。深田久弥氏の名著「日本百名山」の山を1年で登破した方がいたが,このベニヒカゲ百名山を,必死で廻れば何年かかるでしょうか。