著者
伊藤 好孝
出版者
日本アーカイブズ学会
雑誌
アーカイブズ学研究 (ISSN:1349578X)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.5-25, 2013

<p>2011年3月11日に東北地方を襲った巨大な地震と津波により、東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生し大量の放射性物質が環境へ放出された。事故直後から、政府・自治体、民間、個人のあらゆる層により放射線測定が行われ、そのデータの多くはインターネット上に公開されている。これら貴重で多種多様なデータのアーカイブ化を進めるために、データカタログとしてのメタデータアーカイブ構築の検討が進んでいる。本稿では福島原発事故以後の放射線測定データとそのデータベース化の現状についてまとめ、インターネット上に散在する民間・個人による測定データのメタデータベース構築とそのアーカイブ化について述べる。</p>
著者
ジェイムズ ノーマン 森本 祥子
出版者
日本アーカイブズ学会
雑誌
アーカイブズ学研究 (ISSN:1349578X)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.70-87, 2013

<p>イギリスでは、19世紀以来、民間アーカイブズ(所有権が民間にあるもの)の保存を王立手稿史料委員会(Royal Commission on Historical Manuscripts)および全国アーカイブズ登録局(National Register of Archives)が担ってきた。現在はその責務は国立公文書館民間アーカイブズ・チームに引き継がれている。イギリスには民間アーカイブズ全体をカバーする法制度はないため、全国規模で集約した情報を元に、アーカイブズの類型に応じた法制度を活用しつつ、その保存と活用を支援することとなる。本稿では、こうした取り組みを紹介する。</p>
著者
松本 保
出版者
日本アーカイブズ学会
雑誌
アーカイブズ学研究 (ISSN:1349578X)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.57-67, 2013

<p>国立国会図書館では、「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ構築プロジェクト」を行っている。東日本大震災に係る災害の記録を始め、発災前の被災地域の記録、復興過程の記録及び過去に発生した地震・津波・原子力発電所の事故の記録を積極的に収集・保存していく。また、国全体としての連携を実現するため、諸機関による収集・保存の呼び掛け・支援を行い、記録の所在情報など検索に必要な情報の集約を進めている。本稿では、その目標・基本理念、公開までに行ったコンテンツ構築の取り組み、東日本大震災アーカイブの概要、今後の課題について述べる。</p>
著者
古賀 崇
出版者
日本アーカイブズ学会
雑誌
アーカイブズ学研究 (ISSN:1349578X)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.110-117, 2012

国際アーカイブズ評議会(ICA)の4年に1度の世界大会として開かれた、2012年のオーストラリア・ブリスベン大会の参加報告。筆者の関心に沿って参加したセッションに関するまとめや、国立公文書館のとりまとめで開催された日本からのセッション-東日本大震災からの、文書館・アーカイブズ面での復興事業の報告を含め-の紹介、ならびにICAの運営に関する年次総会などについて記述した。