著者
金子 勝司 東野 充成 村田 敦郎
出版者
共栄学園短期大学
雑誌
共栄学園短期大学研究紀要 (ISSN:1348060X)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.91-108, 2008-03-31

幼児向けのサッカー教室に子どもを通わせている保護者を対象に質問紙調査を実施した。サッカー教室に子どもを参加させることによって、子どもにどのような効果が得られたと感じているのか、保護者の視点を通したサッカー教室の教育的効果を以下の視点から明らかにした。その主な内容は、地域スポーツにおける子どもの人間関係、地域スポーツを通して子どもの社会化過程の分析等である。結果、子ども向けの地域スポーツ活動の場合、保護者の意味づけが子どもの参加や脱退、活動へのかかわり方に大きな影響を及ぼしていることがわかった。それは、ひいては子どもの発達や社会化にも影響を及ぼすということである。その意味で、今後、それぞれの活動が足りない部分を補っていくということが重要になるであろう。
著者
柊崎 京子 人見 優子 畠山 千春
出版者
共栄学園短期大学
雑誌
共栄学園短期大学研究紀要 (ISSN:1348060X)
巻号頁・発行日
no.27, pp.17-49, 2011-03-31

本研究は、「身体障害のある施設利用者の生活ニーズ」を把握するために実施した質問紙調査(先行研究)における「自由記述回答」を分析し、統計的データのみでは把握することのできない個別的なニーズや、主観的ニーズの背景要因について把握することを目的とした。 自由記述を45 サブグループ別に整理した結果、ニーズは一人ひとり個別性があるとともに、施設利用者のニーズは共通性もあることが示唆された。7 領域別に自由記述を分析し、以下の結論を得た。(1)主観的ニーズは、本人要因及び本人以外の要因により発生するとともに、同要因の影響を受けて判断・表出されることが示唆された。(2)本人以外及び本人と環境との相互作用を含む要因は、a)他利用者との関係性や、職員の支援体制及び職員との関係性を含む人的環境、b)施設の物理的環境や物理的な面での構造的問題、c)施設の方針や規則、支援体制などの施設内における内的体制、d)施設の地域環境や地域資源、e)福祉制度である。(3)自由記述に記された要望・意見は、支援の方向性を検討する上で示唆深い。
著者
木村 貴紀
出版者
共栄学園短期大学
雑誌
共栄学園短期大学研究紀要 (ISSN:1348060X)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.133-155, 2006

ハイドンによって確立されたソナタ形式という概念は、その当時の背景にある啓蒙思想と呼応して急速に定着した。その後様々な作曲家によって試みられた「ソナタ」の名を冠する楽曲では、ベートーヴェンの作品を契機としてその概念が広げられていくが、それはたがが緩んでいる状態が潜伏的に進行しているという見解もなし得、20世紀には既に行き詰まりを見せていた。一方、対位的書法はJ.S.バッハによってその頂点を極められた本来高度に組織された厳格な技法であるが、バッハの死後は各声部が限定的に音程関係を築くことから開放され、広義な使用がなされるようになる。多楽章を擁するピアノ・ソナタ中でのある楽章に対位的楽章が充当された事例は数多い。しかしベルクは対位的書法を単一楽章のピアノ・ソナタに取り込み、そのことでどのような局面を切り拓くことができたか。ここではその作品で用いられた手法とその意図を検討した。