著者
佐藤 久泰
出版者
北海道農事試驗場北農會
雑誌
北農 (ISSN:00183490)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.240-250, 2009-04

2007年3月から2008年2月まで、海外で支援活動を行っているコンサルタント会社の契約社員として、パレスチナ自治区のJICAプロジェクトに参加致しました。パレスチナ自治区は、なかなか出かけることが出来ないところですが、小泉元首相が2006年7月イスラエル、パレスチナ、ヨルダンと4ヵ国協議を開催し、中東地域の「平和と繁栄の回廊」構想を提唱して、その取り組みを協議していくことで合意し、我が国が中東和平に貢献することになったのです。それ以後、パレスチナ自治区で幾つかのプロジェクトが立ち上げられ、JICAのプロジェクトとして活動が始まりました。しかし、中東は紛争地域であり、滞在も3ヵ月と制限されているため、他のJICAプロジェクトとは異なり、コンサルタント会社の委託事業として事業を推進しています。プロジェクトに参加することになったのは、ブラジルのプロジェクトで一緒に活動した方からぼくが参加するのにぴったりのプロジェクトがあるので、参加してみませんかと誘われたのです。それで窓口の会社と主に電子メールでやりとりをして、参加することになったのです。アラビア語と英語圏なので、英語で十分対応出来ませんと申したのですが、通訳を付けてくれるということになり、1年間の契約で参加致しました。ここでは、パレスチナ自治区の諸事情をご理解頂きたいことと、主に農業の実態について紹介したいと思います。
著者
山上 朝香
出版者
北海道農事試驗場北農會
雑誌
北農 (ISSN:00183490)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.349-357, 2014-10

平成25年のオホーツク管内の農耕期における気象は,4月上旬の気温は順調に推移し,融雪時期も地域差があったものの平年並に進み,春の農作業は順調に始まった。しかし,4月下旬から5月中旬にかけて,平年を大きく下回る気温や断続的な降雨・降雪により日照不足となり,ばれいしょ,てんさい,たまねぎなどの植え付け作業が約1ヶ月できなかったため,農作物の生育は大きな影響を受けた。5月下旬以降は天候が良好に推移し,農作物の生育も順調に回復していたが,7月上旬以降の高温・少雨で,約1ヶ月間ほとんど雨が降らない状況が続き,ばれいしょ,てんさい,たまねぎなどの生育が停滞し,収量にも影響がでた。このように,平成25年は,極端な気象に悩まされた年であった。ここでは,極端な気象による影響を最小限に止めるため,普及センター最高の決議機関である所長・支所長会議で段階的に所長から出される指示に基づき,農作業の進捗状況や農作物の生育状況を把握し,関係機関と情報を共有するとともに,普及センター6支所86名が一丸となって,農業者にタイムリーな技術情報を発信した網走農業改良普及センター(以下,普及センター)の普及活動を紹介する。
著者
中川 学
出版者
北海道農事試驗場北農會
雑誌
北農 (ISSN:00183490)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.302-304, 2016-07

ニュージーランド(NZ)は世界最大の乳製品輸出国であり,酪農は同国の基幹産業である。環太平洋経済連携協定(TPP)が発効すれば,日本は,バターおよび脱脂粉乳については新たに低関税の輸入枠を設定し,粉チーズおよびゴーダチーズ,チェダーチーズについては16年目に関税を撤廃する義務を負う。また,プロセスチーズは,現行の関税が維持されるが,NZには輸入枠が設定され,11年目に輸入枠内で関税が撤廃される。そのため,これらの乳製品は,NZから日本への輸入が増加し,国産と競合することが予想される。筆者は,2016年4月1日から7日までNZの北島を訪問する機会を得た。そこで,統計情報および現地で入手した新聞雑誌等に基づいて,同国酪農の最新の状況について報告したい。
著者
山上 朝香
出版者
北海道農事試驗場北農會
雑誌
北農 (ISSN:00183490)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.349-357, 2014-10

平成25年のオホーツク管内の農耕期における気象は,4月上旬の気温は順調に推移し,融雪時期も地域差があったものの平年並に進み,春の農作業は順調に始まった。しかし,4月下旬から5月中旬にかけて,平年を大きく下回る気温や断続的な降雨・降雪により日照不足となり,ばれいしょ,てんさい,たまねぎなどの植え付け作業が約1ヶ月できなかったため,農作物の生育は大きな影響を受けた。5月下旬以降は天候が良好に推移し,農作物の生育も順調に回復していたが,7月上旬以降の高温・少雨で,約1ヶ月間ほとんど雨が降らない状況が続き,ばれいしょ,てんさい,たまねぎなどの生育が停滞し,収量にも影響がでた。このように,平成25年は,極端な気象に悩まされた年であった。ここでは,極端な気象による影響を最小限に止めるため,普及センター最高の決議機関である所長・支所長会議で段階的に所長から出される指示に基づき,農作業の進捗状況や農作物の生育状況を把握し,関係機関と情報を共有するとともに,普及センター6支所86名が一丸となって,農業者にタイムリーな技術情報を発信した網走農業改良普及センター(以下,普及センター)の普及活動を紹介する。
著者
五十嵐 龍夫
出版者
北海道農事試驗場北農會
雑誌
北農 (ISSN:00183490)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.326-331, 2017-07

パラグアイでは自炊生活と聞いていた。イタプア県のエンカルナシオン市で,以前日本からの専門家やシニア海外ボランティア(S.V.)が間借りしていた日系人所有の家に住み,そこからカピタンミランダ市のCICM(カピタン・ミランダ研究センター)には路線バスで通勤することになった。家の台所には電気炊飯器や電子レンジがあり,自炊には不自由の無い環境である。以下,筆者の食生活に係わる農畜産物などについて報告する。筆者は自炊のために継続的に食料品を買っているが,買い物に慣れ始めた昨年の6月頃から買った物の価格を記録することにした。こちらでは小さい店では,商品に価格が付いていない場合やレシートが無い場合があるが,中規模以上のスーパーでは商品に価格表示が付き,レシートにはkg単位の価格と,買った商品の重量と価格が表示されている。それで1kg単位の価格の推移を見ることにした。尚,価格は110円=1ドル=5,500ガラニーで換算している。
著者
森 大
出版者
北海道農事試驗場北農會
雑誌
北農 (ISSN:00183490)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.473-477, 2009-10

農業分野をはじめとして、長年にわたり、空間的な情報の収集においてリモートセンシングの活用が進められている。その観測には、センサを搭載するためのプラットフォームが必要で、人工衛星、航空機から地上設置型まで、観測高度別に種々のものが使用されている。各プラットフォームにはそれぞれの特徴があり、適材適所に組み合わせて活用することで相互補完ができる。その中で、低高度から機動的で詳細な空中撮影や反復観測が求められる場面には、従来から無人飛行体(無人ヘリコプタや気球など)が活用されてきた。とくに農業分野では1980年代後半からの産業用無人ヘリコプタの普及もあり、ヘリコプタを利用したリモートセンシングが、機動性、即時性、地上分解能の点で精密農業の基盤技術として注目されている。一方、これまでは本格的な機能を持つ無人飛行体と言うと、導入コストや運用性の点で専門家のツールというイメージがあった。しかし、近年の自動制御用電子部品の小型化や、高効率なモーターの普及など技術的な進展を背景に、離陸重量5kg以下と小型ながら自律航行機能を備えた超小型無人飛行体が民生用に製品化され、海外では簡便な低高度プラットフォームとして普及が始まっている。本報では、そのような超小型無人飛行体であるドイツのマイクロドローンズ社のmd4システムを紹介する。
著者
松田 耕 二俣 直人 八田 洋 松本 卓也 上西 てつ子
出版者
北海道農事試驗場北農會
雑誌
北農 (ISSN:00183490)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.341-348, 2014-10

蘭越町は,「らんこし米」として,道内の良食味米産地にある。水稲をメインとした農業の町であり,近年ではハウス野菜(トマト,メロン)等の経営の複合化も進んでいる。しかし,水稲育苗後のハウス内後作物栽培はポジティブリスト制度を受け,事実上,栽培は困難な状況であった。そこで普及センターはポリポットを利用した高糖度トマト栽培を提案し,平成23年度から産地育成へ向け,北海道では初となる塩トマト栽培の生産組織の設立,栽培基準の作成,商品のブランド化,そして販売促進と,産地形成に至る一連のブランディング(価値向上)活動を普及センターが主体となり,展開した。
著者
当真 要 佐藤 翔平 泉 弥希 Fernandez Fabian G. Stewart J. Ryan 波多野 隆介 西脇 亜也 山田 敏彦
出版者
北農会
雑誌
北農 (ISSN:00183490)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.162-169, 2012-04

北海道苫小牧市のススキ地で地上部乾物生への制限因子を調査した。2008-2010年に窒素, リン, カリ施与の有無でのべ13処理区を設け, 草丈, 葉数, 乾物重と窒素, リン, カリ含量を測定した。乾物重は気温と降水量の高かった2010年に増加し, また処理区間でも差が見られた。乾物重への施肥効果はリン>カリ>窒素であり, 窒素とリンまたはカリの併用効果が大きかった。堆肥施与で増収効果があり, 畜産廃棄物等の有効利用が期待できる。