著者
赤羽 裕
出版者
日本国際経済学会
雑誌
国際経済 (ISSN:03873943)
巻号頁・発行日
pp.kk2021.f05, (Released:2021-09-07)
参考文献数
34

本稿は,コロナ禍での米中対立下における国際通貨体制の現状をふまえて,その将来と日本・中国の位置する東アジア域内の通貨制度を「バスケット通貨」と「決済システム」をキーワードに考察するものである。アジアおよび世界における国際通貨制度ならびに民間における貿易・資本取引における通貨選択の両方の視点から,アジアのAMU(Asian Monetary Unit),世界におけるIMFのSDRの実利用の可能性まで展望する。
著者
伊藤 恵子
出版者
日本国際経済学会
雑誌
国際経済 (ISSN:03873943)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.1-25, 2020 (Released:2020-11-17)
参考文献数
28
被引用文献数
1

本稿は,グローバル・バリューチェーン(GVC)の進展の中,途上国がより高度な工程を担うようになってきたのかどうかを論じる。多くの途上国がGVCへの参加度を高め,特にアジア諸国ではGVC内でより高付加価値の工程を担うケースが増えてきた。しかし,事務・管理機能や物流・マーケティング機能へのシフトは見られても,研究開発機能への特化が進んだケースは中国,韓国,台湾など東アジアの一部の国に限られている。
著者
松林 洋一
出版者
日本国際経済学会
雑誌
国際経済 (ISSN:03873943)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.65-90, 2015-07-30 (Released:2016-02-03)
参考文献数
14

本論文では, 1980年から2014年までの我が国経常収支の長期的変動と短期的変動を, 多面的なアングルから俯瞰, 展望する。およそ30年近くの経常収支の変動には, 構造的な要因, 循環的な要因, その他要因が重層的に作用している。特に現下の経常収支減少には, これらすべての要因が影響しており, それゆえ変動の解明を困難なものにしている。計量分析に基づけば, 我が国の経常収支は2020年代半ばには赤字化する可能性もある。
著者
石黒 靖子
出版者
日本国際経済学会
雑誌
国際経済 (ISSN:03873943)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.44, pp.197-201, 1993-10-01 (Released:2010-07-07)
参考文献数
1
著者
浜中 慎太郎
出版者
日本国際経済学会
雑誌
国際経済 (ISSN:03873943)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.1-26, 2017 (Released:2017-10-27)
参考文献数
22

FTA交渉を含む国際交渉では,主導権を主張する複数の国々が自国に有利な交渉分野,交渉参加国を提案するため,交渉分野,交渉参加国構成,主導権を発揮できる国の全てが不明確な混沌とした状況が続く。どのような駆け引きを通じてそのような混沌状況から脱却し,国際ルール形成が行われてゆくのであろうか。本稿ではFTAAP,TPP,RCEPの3つのケースを用いて,交渉分野の設定および交渉参加国の限定を企てる国々の駆け引きを分析する。
著者
童 適平
出版者
The Japan Society of International Economics
雑誌
国際経済 (ISSN:03873943)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.67-87, 2014

人口ボーナス,政府の強力なリーダシップと金融システムのサポートという,これまで中国経済成長を支えてきた要因は消えつつある。特に低金利と預貸金利利ザヤによって守られている金融システムは対外均衡優先経済政策を可能にし,漸進的な中国改革を護送してきた基本条件であるが,金利政策失効の副作用を持ち,ディスインターミディエションに脅かされ,対外均衡優先経済政策の修正も余儀なくされ,安定重視から効率重視への改革は必要になる。