著者
宮田 Susanne 伊藤 恵子 大伴 潔 白井 英俊 杉浦 正利 平川 眞規子 MACWHINNEY Brian OSHIMA-TAKANE Yuriko SHIRAI Yasuhiro 村木 恭子 西澤 弘行 辰巳 朝子 椿田 ジェシカ
出版者
愛知淑徳大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

1歳から5歳までの日本語を獲得する子どもの縦断発話データに基づき発達指標DSSJ(Developmental Sentence Scoring for Japanese)を開発し、この日本語の発達指標を84人の子どもの横断データ(2歳~5歳)にあてはめ、標準化に向けて調整を行った.DSSJはWWW上のCHILDES国際発話データベースの解析プログラムCLANの一部として一般公開されている.
著者
伊藤 恵子
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.1-11, 2012 (Released:2013-09-18)
参考文献数
32
被引用文献数
1

本稿は、自閉症スペクトラム障害(ASD)児の指示詞理解における非言語情報の影響を調べることを目的とした。対象は10名のASD児、対照群は10名の定型発達(TD)者であった。方法は、まず言語教示のみで、つづいて言語教示と異なる対象に視線を向けて、最後に言語教示と異なる対象に指さしをして指示対象を特定する指示詞理解実験を行った。その結果、ASD児はTD者に比べ、話し手の非言語情報を指示対象特定の手がかりとして活用しない者が多く見いだされた。これには、話し手の視線方向の特定や、視線からの話し手のコミュニケーション意図の理解などが関連していると推察され、語用論的能力とも深くかかわる可能性があった。このように対人的情報の処理に多くの困難を抱えるASD児の語用論的能力への支援に際し、その場に即した適切な言語や話しことばの獲得といった表層的行動を扱うだけでは十分でなく、言語獲得の基礎になる社会性の育成への働きかけの重要性が示唆された。
著者
伊藤 恵子
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.342-352, 1998-08-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
37

健常人末梢血より分離した好中球を, G-CSF, GM-CSF, TNF-α, IFN-γの4種のサイトカインで24時間処理したところ, サイトカイン添加により, K562細胞に対する細胞傷害活性が増強した。また, これらのサイトカインでprimingすると, FMLP刺激による好中球からのスーパーオキサイド (O2-) 産生量が増した。しかし, どのサイトカイン処理でも, K562細胞に対する細胞傷害活性とスーパーオキサイド (O2-) 産生量との間に相関を認めなかった。K562細胞のみを24時間培養, またK562細胞に好中球を添加して24時間培養, さらに好中球をG-CSFで刺激してK562細胞と24時間培養すると, いずれの条件でも, K562細胞のアポトーシスを認めたが, その出現頻度に差はなかった。好中球をK562細胞と24時間混合培養すると, 上清中のIL-1, IL-8, TNF-αが増加した。好中球の抗腫瘍活性は, 好中球からのスーパーオキサイド (O2-) を含む活性酸素の産生, サイトカインの産生, アポトーシスなど多彩な因子が関与していることが示唆された。
著者
伊藤 恵子
出版者
日本国際経済学会
雑誌
国際経済 (ISSN:03873943)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.1-25, 2020 (Released:2020-11-17)
参考文献数
28
被引用文献数
1

本稿は,グローバル・バリューチェーン(GVC)の進展の中,途上国がより高度な工程を担うようになってきたのかどうかを論じる。多くの途上国がGVCへの参加度を高め,特にアジア諸国ではGVC内でより高付加価値の工程を担うケースが増えてきた。しかし,事務・管理機能や物流・マーケティング機能へのシフトは見られても,研究開発機能への特化が進んだケースは中国,韓国,台湾など東アジアの一部の国に限られている。
著者
大橋 恵 坪井 寿子 藤後 悦子 伊藤 恵子 山極 和佳 府川 昭世
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.65-75, 2011-03-18 (Released:2019-01-18)
参考文献数
15

本稿では,小学校や教師と,心理学部の教員や学生とを大学が連携,活用し,コンサルテーションを行った実践例を報告する。具体的には,小学校生活において主に社会性のつまずきを抱えている小学校2,3年男児4名を対象に,小集団によるソーシャルスキル・トレーニング(SST)を実施し,その効果を検討した。その特徴として,日常子どもたちが生活している小学校内で行ったこと,子どもたちの様子に応じて内容を適宜変更したこと,プログラム内での行動の変化だけではなく内面的側面や教室での様子の評定など多面的に効果測定を行ったことなどが挙げられる。その結果,SST活動中の行動には,ルール違反や不適切な発声や身体の動きにおいてSST実施前後で改善がみられた。一方,教室内の行動においては,その効果の般化は示されなかった。
著者
檜作 進 伊藤 恵子 前田 巌 二国 二郎
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
澱粉科学 (ISSN:00215406)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.70-75, 1972-09-15 (Released:2011-07-01)
参考文献数
5
被引用文献数
6 6

1)玉蜀黍,小麦,馬鈴薯,甘藷,糯玉蜀黍,糯米の5%でんぷん糊を,0~70℃ の定温(10℃ ごと)に1時間保存し,老化の温度依存性を調べた。糊化度は,グルコアミラーゼによる消化法(A法)と電流滴定による結合ヨード量の測定(I法)で行なった。でんぷん糊は,5%のでんぷん懸濁液を100℃ に5分および30分間加熱して調製した。 2)調製時の糊の糊化度は,甘藷や馬鈴薯でんぷんでは,糊化時間の長短,測定方法にかかわらず完全糊化(糊化度97%以上)と判定された。小麦や玉蜀黍でんぷんは,30分の糊化で,A法では完全に糊化しているとみられたが,I法では90%程度の糊化度を示し,アミロース分子の糊化が十分でないことが示唆された。玉蜀黍でんぷんの5分糊化の糊では糊化度はさらに悪く,82%であった。 3)いずれのでんぷんも,5分加熱の糊のほうが30分加熱の糊よりも老化しやすく,低温ほど老化が速やかで,0℃ が最も老化しやすかった。 4)糯質のでんぷんは最も老化し難く,0℃ においても老化は感知されなかった。ついで甘藷でんぷんが老化し難く,30分加熱の糊では0℃ においてもほとんど老化を起こさなかったが,5分加熱の糊では0~10℃ でわずかであるが老化がみられた。馬鈴薯でんぷんも甘藷でんぷんと同様な結果を示したが,甘藷よりは少し変化を起こしやすい性質が認められた。小麦でんぷんは,いも類でんぷんよりもはるかに老化しやすく,40~50℃以下の温度で老化が速やかになった。玉蜀黍でんぷんは小麦でんぷんと優劣をつけ難いが,50~60℃ 以下の温度で老化が速やかであった。 5)いずれの場合も,老化によってI法による糊化度の低下が顕著で,アミロース分子が老化を主導していることが示唆され,でんぷんの種類により,アミロース分子の老化の温度依存性に明らかな特徴がみられた。
著者
稲津 脩 渡辺 公吉 前田 巖 伊藤 恵子 長内 俊一
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
澱粉科学 (ISSN:00215406)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.115-119, 1974-06-15 (Released:2011-02-23)
参考文献数
12
被引用文献数
12 15

北海道および本州産の粳米について1969~1971の3ヵ年にわたり,延18品種56試料について,米澱粉のヨウ素親和力およびアミロース含有率を測定した。測定方法はアミロースの基準ヨウ素親和力を19と仮定し,この値を用いて各試料の米澱粉のヨウ素親和力からアミロース含有率を計算した。 1)供試した56試料のアミロース含有率は,90%の信頼区間で18.6~24.8%の範囲にあり,平均21.7%であった。また,北海道産米は21.1~24.5%,平均22.8%であり,本州産米の17.6~21.6%,平均19.5%に比較して平均値で3.3%高かった。しかし,この差が本州と北海道の環境の差によるものか,あるいは品種の遺伝的特性によるものかは明らかでなかった。 2)本州で最高値を示した青森のフジミノリと,北海道で最低値を示した厚真産のほうりゅうは類似の含有率を示した。 3)北海楢内においては,品種,栽培地,年次間にいずれも有意差が認められた。とくに,品種間の分散は栽培地および年次間の分散よりはるかに大きく,アミロース含有率は品種によって最も大きく支配された。その品種間差異は,ゆうなみ> ユーカラ> しおかり>ほうりゅうの関係が有意であった。 4)農林20号はほうりゅうよりさらに低いアミロース含有率を示した。 5)栽培地では泥炭地が高く,また,高温年よりも低温年で高まった。 6)これらのことから,北海道産米の改善の一つの方向として,低アミロース品種の重要性が暗示された。
著者
伊藤 恵子 田中 真理
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.73-83, 2006-04-20
被引用文献数
2 3

指示詞コ・ソ・アの理解という点から,自閉症児の語用論的機能の特徴を検討した。具体的には,指示詞「こっち・そっち・あっち」に対して言語教示のみによる理解実験を行い,(1)一般的な指示詞使い分けとの一致率,(2)反応パターンの分析,(3)行動観察の三つの視点から分析を行った。その結果,以下の点が見出された。(1)定型発達児では,実験者(話者)と対象児(聞き手)が同じ側に並ぶ同側条件と,両者が向かい合う逆側条件で,指示詞コ・ソ・アの理解の標準反応一致数に差がなかった。しかし,自閉症児では逆側条件で,この標準反応一致数が同側条件に比べても,定型発達児の逆側条件に比べても有意に少なかった。(2)逆側条件の「そっち」に関しては,従来から他者視点の取得を特に要すると言われているが,逆側条件の「そっち」に関する自閉症児の成績は「こっち」と「あっち」の指示詞理解の成績と差がなかった。(3)逆側条件における自閉症児の反応は,視点固定型が定型発達児に比べ有意に多かった。この視点固定型とは,話者の視点変換を行わず,先に実施した条件での話者視点からの反応を繰り返す反応型である。(4)言語のみで指示対象を特定するといった状況で,曖昧情報を補うために実験者(話者)の顔の向きや視線を手がかりにすることも,指示対象特定に迷うことも,自閉症児は定型発達児に比べ少なかった。