著者
建井 順子
出版者
学校法人山陽学園 山陽学園大学・山陽学園短期大学
雑誌
山陽論叢 (ISSN:13410350)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.151-163, 2021 (Released:2021-09-11)

新型コロナウイルス感染症が深刻化するにつれ、経済社会の根幹を支える人々を総称する「エッセンシャル・ワーカー」という用語が多用されるようになった。しかし、なぜそうした定義が存在するのか、また、そうした定義に含まれる人々に何が必要とされているのか、という点において、人々の理解は不十分である。本稿では、米国と英国を参考にしつつ、「エッセンシャル・ワーカー」という定義は何を目的として設けられ、具体的にどの産業に属する誰が該当するのか、またそうした労働者の特徴とは何かを検討する。こうした作業を行うことにより、定義の目的を明確化できると考えるからである。さらにこれにより、他のOECD諸国に比べて国家主導の包括的政策が弱く、各自治体、各医療機関の現場の裁量幅が大きい我が国のコロナ対策への示唆を得る。
著者
林 由佳 千田 好子 狩山玲子 光畑 律子
出版者
学校法人山陽学園 山陽学園大学・山陽学園短期大学
雑誌
山陽論叢 (ISSN:13410350)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.145-153, 2009 (Released:2018-11-28)

気管内吸引カテーテル(カテーテル)は単回使用を原則とするが,在宅ケアにおいては再使用されることが多い。本研究では,カテーテルの洗浄および保管方法に関するエビデンスを得ることを目的として実験研究を行った。Pseudomonas aeruginosa PAO1株を10^6cfu/mLに調製した試験痰で汚染カテーテルを作製し,水道水20mLまたは100mLで吸引洗浄した。続いて、洗浄後のカテーテル付着菌を解離させ、生菌数を測定した。次に,洗浄後のカテーテルを,0.01%グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)500mLに24時間浸漬したのち不活化剤で処理したもの,蓋付容器に24時間乾燥保管したもの,それぞれのカテーテル付着菌を解離させて生菌数測定した。その結果,水道水20mLで洗浄した場合の生菌数(cfu/mL)は、洗浄直後2.6×10^7,CHG浸漬後27,乾燥保管後1.2×10^5と,CHG浸漬保管後の生菌数が最も少なかった。水道水100mLで洗浄した場合の生菌数(cfu/mL)は,洗浄直後4.2×10^6,CHG浸漬後0.8,乾燥保管後2.3×10^4であった。水道水100mLで汚染カテーテルを洗浄した場合,浸漬・乾燥保管とも20mLを使用した場合の生菌数に比較して1オーダー少なかった。以上の成績より,使用後のカテーテルは,100mL以上の水道水で洗浄後,消毒剤に浸漬保管する方法が適当と考えられた。106
著者
梅崎 みどり 富岡 美佳
出版者
学校法人山陽学園 山陽学園大学・山陽学園短期大学
雑誌
山陽論叢 (ISSN:13410350)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.67-75, 2011-12-15 (Released:2018-11-28)

本研究の目的は、中学3年生から大学4年生までの男子を持つ母親が、恋愛に関する話題を子どもから伝えられた時に、母親が抱く気持ちのあり様を明らかにすることである、研究対象は、中学3年生から大学4年生までの男子がいる母親10人であった。データ収集方法は、半構成的インタビューとし、質的帰納的に分析を行った。その結果、子どもの成長に伴い交際を知ったときの母親の気持ちは中学生・高校生・大学生の時期により変化をしていた。家庭における性に関する親子間のコミュニケーションでは、中学生では、子どもの成長過程を理解したうえで、男女交際でのエチケットやお互いを思いやることの大切さ、高校生では、性の自己決定ができるアドバイス、さらに、大学生では、社会人としての自覚が育まれるような発達段階に応じた親子間コミュニケーションを行うことが重要であることが示唆された。
著者
建井 順子
出版者
学校法人山陽学園 山陽学園大学・山陽学園短期大学
雑誌
山陽論叢 (ISSN:13410350)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.125-135, 2020 (Released:2020-04-22)

本稿は、内閣府(旧経済企画庁)の『経済白書/経済財政白書』を対象に、そこで使用されるイノベーション概念とその変遷を考察しようとするものである。内閣府のウェブサイト上に掲載されている1954年度(昭和29年度)から2019年度(令和元年度)までの66年間分を対象とし、ウェブサイト上の検索機能を利用し、「イノベーション」の単語を抽出した。そのうえで、「イノベーション」の単語を含む行を抜き出し、独自の一覧表を作成した 。本稿におけるイノベーション概念の分析は、この一覧表にもとづいて実施したものである。その結果、以下の三つを明確にした。第一に、国が捉えるイノベーションは、比較的最近まで「技術革新」のことであった。第二に、当初は概ね組織レベルのイノベーションに焦点が当てられていたが、近年は個人によるイノベーションの重要性へと焦点が移っている。第三に、従来の日本型イノベーション・システムは、産業構造の変化に対応できなくなっており、再構築が必要なシステムとして認識されている。
著者
権田 あずさ
出版者
学校法人山陽学園 山陽学園大学・山陽学園短期大学
雑誌
山陽論叢 (ISSN:13410350)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.217-230, 2019 (Released:2019-08-24)

【目的】本研究の第1の目的は,女子短大生が現在まで親とどのように関わり,親からの愛情をどう認識しているかを明らかにすることである。また,そのことが,女子短大生の結婚や出産に対する考え方と関連があるかについて検証することを第2の目的とした。 【方法】A短期大学の女子学生(1年生と2年生)に質問紙調査(無記名自記式)を実施した。 【結果】①学生と親との日常的な関わりは,学生が低年齢の時期に最も多く,年齢が上がるにつれて少なくなった。②学生は,幼児期から現在まで父親よりも母親と日常的に関わることが多かったと認識していた。③学生は,「意見や考え方を尊重してくれる」ことで両親からの愛情を感じていた。④母親との日常的な関わりが多かった学生は,様々な形で母親から愛情を感じてきたと認識していた。⑤親から愛されていると感じている学生は,結婚や出産を主体的に考えていたのに対し,そうではない学生は,客観的な指標によって結婚や出産を考えていたことが明らかとなった。
著者
室津 史子
出版者
学校法人山陽学園 山陽学園大学・山陽学園短期大学
雑誌
山陽論叢 (ISSN:13410350)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.133-143, 2009 (Released:2018-11-28)

核家族化した現代の育児において,父親の果たす役割は大きく父親への支援について考えることは母子保健分野において重要なことである。それは,母親が主体となる母乳育児においても同様と考える。そこで本研究では,母乳育児における母親と父親の意識について検討した。調査は,1歳6か月児健康診査に来所し,調査に協力の得られた287組を対象として,無記名自記式質問紙調査を行った。調査内容は、対象の属性と先行文献を参考に作成した母乳育児像についての31の質問項目である。母乳育児像については,母親・父親別に因子分析を行った。その結果,母親の母乳育児像においては,『母の満足・幸福』,『母乳育児志向』,『母乳育児の簡便さ・楽しさ』,『母乳の利点』,『母乳育児の方法』の5つの因子が抽出された。父親の母乳育児像においては,『母子を見守る満足』,『母乳育児志向』,『母乳の利点』,『母乳育児の簡便さ』,『妻の満足』,の5つの因子が抽出された。質問項目別に平均得点で比較すると,父親よりも母親の得点が高い項目が多かったが,母乳育児を支えることは夫のつとめであるという意識は母親よりも父親の方が高かった。母乳育児に対する母親と父親の意識は,共通するキーワードをふくみながら、異なる因子構造が示された。母親の意識が,実施者である自分自身と子どもとの相互作用に向くのに対して,父親の意識は,妻への思いやりや子どもへの利益といった拡がりをもつことが示唆された。
著者
松浦 美晴
出版者
山陽学園大学
雑誌
山陽論叢 (ISSN:13410350)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.117-127, 2003-12
被引用文献数
2
著者
梅崎 みどり 富岡 美佳
出版者
山陽学園大学
雑誌
山陽論叢 (ISSN:13410350)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.67-75, 2011-12-15

本研究の目的は、中学3年生から大学4年生までの男子を持つ母親が、恋愛に関する話題を子どもから伝えられた時に、母親が抱く気持ちのあり様を明らかにすることである、研究対象は、中学3年生から大学4年生までの男子がいる母親10人であった。データ収集方法は、半構成的インタビューとし、質的帰納的に分析を行った。その結果、子どもの成長に伴い交際を知ったときの母親の気持ちは中学生・高校生・大学生の時期により変化をしていた。家庭における性に関する親子間のコミュニケーションでは、中学生では、子どもの成長過程を理解したうえで、男女交際でのエチケットやお互いを思いやることの大切さ、高校生では、性の自己決定ができるアドバイス、さらに、大学生では、社会人としての自覚が育まれるような発達段階に応じた親子間コミュニケーションを行うことが重要であることが示唆された。
著者
新田 義之
出版者
山陽学園大学
雑誌
山陽論叢 (ISSN:13410350)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.130-123, 1997-12