著者
井上 慧 松原 茂樹 長尾 確
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ICS, [知能と複雑系] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.10, pp.1-7, 2015-03-13

議事録を閲覧して議論内容を振り返ることは,今後の活動を円滑に行うための有効な手段である.研究室のゼミのような,ある研究テーマについて定期的に議論する種類の会議では,発表者は議事録を閲覧して今後の課題を確認する必要がある.そこで本稿では,今後の課題となる助言や要望 (以下,課題発言) を議事録から自動抽出し,発表者に提示する手法を提案する.提案手法では,発言の属性や言語的特徴などを利用して,発言が課題発言であるか否かを統計的に判定し,課題発言を抽出する.また,抽出結果から課題発言リストを自動生成し,発表者に提示する.発表者は,リスト上の課題発言にタグやメモを付与することにより,課題の進捗状況を管理できる.実験によって,提案する抽出手法の効果を確認した.
著者
小野 哲雄 今井 倫太 江谷 為之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ICS, [知能と複雑系] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.114, pp.43-49, 1998-10-02
参考文献数
17

本稿では、人間とロボットの間に円滑なコミュニケーションを成立させるための方法について述べる。まず、擬人化エージェントを用いたロボットインタフェースを提案する。ユーザは、このエージェントと携帯端末上でインタラクトすることにより関係性を構築する。その後、必要に応じて、エージェントはロボットへ移動するが、この関係性は継承されるため、ユーザはロボットの指示にしたがってナビゲートされるようになる。ロボットに移動したエージェントは、ユーザの情報と要求モデルをすでにもつため、同様の内部状態をもつロボットを出会うと、惹き込み合いコミュニケーションを始める。これらのロボットにナビゲートされてきたユーザ同士もコミュニケーションを始めるため、マッチメイキングが促進される。さらに本稿では、今後の研究として、人間とロボットの役割行動などの、ロボットの社会性について考察する。
著者
長尾 光悦 川村 秀憲 山本 雅人 大内 東
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ICS, [知能と複雑系] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.78, pp.23-28, 2005-08-01
被引用文献数
2

本稿では, 効果的な観光振興を実現するため, GPSログからの周遊型観光行動情報の抽出法を提案する.また, 本研究では, レンタカーを利用した周遊型観光に焦点を当てる.提案法では, GPSに基づき収集された旅行者の位置情報を含むログデータから各旅行者の滞在及び移動に関する基本行動情報の抽出を行う.この基本行動情報に基づき, 現在の周遊型観光の実態を把握するための分析を行う.更に, 北海道における実際の周遊型観光旅行者からGPSログを収集し, これを用いた実験を通して提案法の有効性を検証する.最後に, 提案法により抽出された基本行動情報に基づき, 現在の北海道における周遊型観光を分析し, その考察を行う.
著者
小松 孝徳 森川 幸治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ICS, [知能と複雑系] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.71-78, 2004-10-28
参考文献数
7

円滑なコミュニケーションを行っている二者間には,自ら表出した情報が相手のそれに対して相互的に同調していく「引き込み現象」がよく観察される.そこで本研究では,人間が簡便に表出できる音声の「発話速度(話速)」に注目し,人間同士の対話状況において話速に関する引き込み現象が観察されるのか,また,インタラクションの相手が人工物となった場合で観察されるのかを確認する実験を行った.まず,人間同士の対話における話遠の引き込み現象の有無を観察するために,英会話の教材のような10種類の原稿を10人の被験者同士で交互に読みあっている際の話遠を計測した.その結果,録音された計90発話の約63%にあたる57発話において,相手の話速に自分の話速を合わせようという『話遠の引き込み現象』が観察された.続いて,あらかじめ録音された様々な話速の音声を再生する自動応答システムと被験者とが同様の対話文を読みあう実験を行った結果,27人の被験者の計243発話のうち約76%における186対話において,話速の引き込み現象が観察された.
著者
福田 洋治 佐野 工 白石 善明 森井 昌克
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ICS, [知能と複雑系] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.125, pp.69-76, 2001-07-23
参考文献数
20

ネットワークのサービス品質(Quality of Service; QoS)を保証するQoS制御技術は, ネットワーク・ポリシーに基づいてトラヒックをいくつかのクラスに分類してそれぞれ異なった扱い方をする, 差別化されたサービスクラスを実現する.したがって, QoS制御に利用されるパケットの識別情報(IPヘッダやTCP/UDPヘッダの情報)は, ネットワーク上で閲覧できなければならない.しかし, ESP(Encapsulating Security Payload)やSSL(Secure Socket Layer)などのアプリケーション層に属さない, 暗号化をともなうセキュリティ・プロトコルは, 元パケットの識別情報を秘匿または隠蔽し, ネットワーク上のQoS制御を妨げてしまう.そこで本稿では, ネットワーク上のQoS制御を考慮したセキュリティ・プロトコル(ESP considered QoS, ESPQ)を提案し, その安全性と有効性を検討する.
著者
野田 五十樹 太田 正幸 篠田 孝祐 熊田 陽一郎 中島 秀之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ICS, [知能と複雑系] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.131, pp.31-36, 2003-01-29
被引用文献数
5

利便性の高い公共交通手段としてデマンドバスは注目されているが、現状では小規模な運営にとどまっており、採算性の問題を抱えている。本稿ではデマンドバスの大規模運営の可能性を探るため、シミュレーションによりデマンドバスと従来の固定路線バスの利便性と採算性の関係を解析した。その結果、次のようなことが示された。(1)デマンドバスはデマンドの増加に従い急速に利便性が悪化する。(2)デマンド数とバスの運用台数を一定に比率に保つ場合、規模の拡大に従いデマンドバスの利便性は固定路線バスより早く改善する。(3)十分な利用者がいる場合、同じ採算性でも固定路線バスよりデマンドバスの利便性をよくすることができる。
著者
小川 浩平 小野 哲雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ICS, [知能と複雑系] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.150, pp.9-16, 2008-01-22
参考文献数
9

本論文において我々は,インタラクティブシステムの間を移動可能なエージェントを用いたITACOシステムを提案する. ITACOシステムとは,エージェントがインタラクティブシステムの間を移動することにより,人間とインタラクティブシステムとの間に,感情をともなった関係を築くことが可能なシステムである.我々は, 2つの実験を通じてITACOシステムが人間とロボットやテーブルランプなどのインタラクティブシステムとの間に感情をともなった関係を築くことができるかどうかを検証した.実験の結果より,感情をともなった関係が築かれることによって人間の認知能力や行動に対して一定の影響を与えることがわかった.
著者
木村 昌弘 斉藤 和己 上田 修功
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ICS, [知能と複雑系] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.85, pp.155-162, 2004-08-04
参考文献数
12

Web上で日々流通する大量の情報に基づいて,米国同時多発テロのようなある種の例外的な社会現象を検出する問題を考察する.本稿では特に,あるカテゴリーに属する文書群の時系列データに基づいて,その中でアウトブレークしたトピック(ホットトピック)と,その存在期間を抽出する手法を提案する.社会ニュースの実データおよび,国際ニュースの実データを用いた実験により,提案法の有効性を検証する.