著者
古川 勝彦 阿世知 昌弘 八木 信幸 小林 幸治
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.398-407, 2008 (Released:2008-09-01)
参考文献数
4

研究開発に関わる情報は企業にとって経営の根幹ともなる機密情報である。大学にとって,産学連携は重要な取り組みであるが,これまで大学ではこうした研究情報の管理体制が脆弱(ぜいじゃく)であり,それが産学連携の推進を妨げる要因ともなっていた。本論文では,記録情報管理システムを取り入れることによって研究情報の管理体制を強化した九州大学知的財産本部の産学連携に関する情報管理の現況を報告した。目録管理と所在管理が適切に行われるような仕組みを作ることが重要であり,文書種類別に機密度を設定するなど,実践しやすさを心がけている。その実践の上で,産学連携をさらに発展させるために必要となる要件を整理し,今後情報管理に求められる課題について展望した。
著者
松浦 智佳子 小河 邦雄
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.408-417, 2008 (Released:2008-09-01)
参考文献数
5

Web of Scienceは,引用文献の検索や分析ができるデータベースとして有名であるが,2004年にその競合製品であるScopusが発表された。それぞれ特徴を持った機能を有しているが,実際にどのような違いがあるのかを評価した情報は少ない。今回,2社で共同評価を行い,両データベースの基本的な機能の比較,検索システムの特性などについて考察した。前編では,ライフサイエンス系のキーワードで実際に検索を行い,その結果を分析する。
著者
松原 茂樹 加藤 芳秀 江川 誠二
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.251-259, 2008 (Released:2008-07-01)
参考文献数
5
被引用文献数
3

英文作成支援を目的に開発された英文検索システムESCORTについて述べる。ESCORTは,キーワード系列を入力とし,キーワード間に構文的な関係が存在する英文を出力する。単にキーワードを含む文を出力する従来システムと異なり,ユーザの検索意図に合致した用例が検索結果として提示されるため,精度の高い英文検索を遂行できる。また,提示される英文は,キーワード間の関係の種類に応じてグループ化されるため,検索作業を効率的に遂行できる。ESCORTは,英文論文から取り出された文を格納しており,研究者が英語で論文を作成する場面で,参照するにふさわしい用例を提示する。現在,約71万文を対象とする用例検索を実現しており,英文論文作成のためのツールとして活用されている。
著者
原田 英二 渡辺 怜子 児嶋 紀子 水野 充
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.770-780, 2003

インターネット時代の到来により,電子ジャーナル出版は加速され,学術雑誌の世界では一般的なものとなってきた。電子出版には従来の冊子体ベースの出版物にはないさまざまなメリットが見られるが,電子化により,雑誌に縛られない,論文単位での扱いが容易となった点もそのひとつである。そして,それに応じて論文の個別売り,いわゆる一部売りサービスが登場してきた。一部売りサービスによる論文の購入は,出版社だけでなく,アグリゲータ,二次データベース経由によっても可能となってきている。ここではそれら一部売りを扱う業者を出版社,アグリゲータ,二次データベースサービスに分けて整理し,それぞれの特徴をまとめた。さらに,提供業者ごとの価格を調査し,比較を行った。
著者
マクネイリー デイヴィッド ミューレン アレクサンダー:共著 高木 和子:訳
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.518-529, 2003 (Released:2003-11-01)
参考文献数
15

本記事では,情報の爆発的増大とヨーロッパにおける情報産業の出現を概略し,次にP-D-R(Pharma Documentation Ring)企業グループの活動を説明する中で製薬業界の情報・ナレッジマネジメントに関する昨今のトピックを深く掘り下げる。P-D-Rは,この分野における経験の交流・共有に取り組む法人組織であり,多国籍製薬企業トップ20社がそのメンバーの多数を占める。P-D-Rは,高水準の商業情報と関連サービスを追求する力強い団体であり,新規に更なる商業情報,およびサービスの導入も奨める。この目的のために,P-D-Rは保健分野の国際的情報産業にたずさわる諸機関と密着な関係を維持している。本記事では,P-D-Rの最近の活動の主な内容を述べ,それがヨーロッパおよびその他の地域の科学情報分野にどのようなインパクトを及ぼしているか,紹介する。
著者
中村 三春
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.55-65, 2008 (Released:2008-04-01)
参考文献数
4

2004年に発足した大学コンソーシアムやまがた(愛称・ゆうキャンパス)は,現在,山形県内すべての大学等11の高等教育機関と山形県とから成り,広報・高大連携・教職員交流・合同入試説明会・単位互換・学生活動・委託事業などを展開している。「ゆうキャンパスリポジトリ」は,山形県内高等教育機関が発行する紀要等の電子化とデータベースの構築・公開を行うプロジェクトである。国立情報学研究所から山形大学への委託事業として整備されたこのプロジェクトを,本コンソーシアムでは,地域大学間連携の重要な契機として位置づけ,参加機関の協力のもとに強力に推進している。
著者
南 亮一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.816-824, 2008 (Released:2008-03-01)
参考文献数
18

学術情報の利用に関する著作権制度の改善の動向につき,2006年12月に新設された特許審査等における文献の複製および薬事行政手続における文献の複製における権利制限規定の制定過程を,2004年8月の文化庁著作権課による法改正要望事項の募集,2005年の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会における検討,2006年12月の国会審議,2007年からの文化審議会著作権分科会法制問題小委員会における検討を中心に,詳細に解説する。
著者
長谷川 雄彦
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.113-122, 2006 (Released:2006-06-01)

公共図書館では,ICタグの利用が新設館を中心に広がっており,その機能を生かした利用が行われている。神戸市立図書館では,2003年3月にICタグを導入した。既設館で初めてICタグを使ったBDSを導入した事例を紹介し,その導入方法と効果について述べる。また将来のICタグの有効利用のため,導入時に考慮すべきタグレイアウトの具体例を提示し,段階的機能拡張の可能性について考える。
著者
小谷 允志
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.276-282, 2005 (Released:2005-08-01)

世界初の記録管理の国際標準ISO15489は2001年9月に制定された。この標準は国際的な記録管理のベストプラクティスとして,官民を問わずすべての組織の記録管理のガイドラインとなるものだが,「説明責任」が基調となっているのが特長である。ISO15489は近々,日本語化されJIS X 0902として発行される。日本での活用の方向としては,筆者が「記録管理のパラダイムシフト」と呼ぶこれからの記録管理,「説明責任のための記録管理」の遂行に役立つことが期待される。
著者
岩崎 治郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.733-738, 2005 (Released:2005-02-01)
参考文献数
3
被引用文献数
1

1990年代初頭に登場した電子ジャーナルは,それまでの冊子体の時代にはなかった購読契約上のさまざまな問題を生み出した。価格設定方式の多様さはそのひとつであり,出版社によるさまざまな試みの結果,1990年代末に価格体系は一応の基本形を確立したが,今なお新たな展開が跡を絶たない。その他,マルチサイト契約,購読中止後のアーカイバルアクセス,バックファイルへのアクセス,パッケージ購読,図書館コンソーシアム契約といった電子ジャーナルの購読契約に特有の重要なポイントについて,歴史的な変遷を盛り込みつつ概観する。
著者
青山 紘一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.155-163, 2003 (Released:2003-06-01)

研究開発や企業活動の推進には,知的財産制度の有効な活用が不可欠である。知的財産制度は,特許制度,著作権制度をはじめとして,多数の法制度からなり,しかも,それぞれ異なる法制度設計のもとに構成されており,それぞれの制度を適切に使い分けてその活用を図ることが重要である。そこで,本連載では,研究開発や企業活動の推進に資するために,知的財産に関する法制度の現状と利用の実態,今後の課題等について,各制度の体系,現状と活用状況等について,分析し,報告することとし,第1回目として,知的財産法制度の中核である特許法制度の現状と課題について報告する。
著者
小谷 允志
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.602-609, 2005 (Released:2005-12-01)

内閣府「公文書等の適切な管理,保存及び利用に関する懇談会」を契機に,アーカイブズに関する関心が高まっている。それに伴い,各省庁から国立公文書館への移管がうまくいかないなど日本の公文書館制度の問題点もクローズアップされている。基本的な問題は現用文書と非現用文書管理の管轄が違い,上流から下流まで一貫した考え方でライフサイクル管理が行われていないことが挙げられる。また現用・非現用ともにレコードマネジャー,アーキビストという専門職体制が確立していないことが問題である。質の高いアーカイブズは適切な現用文書の管理に懸かっている。これらの点は地方自治体,民間企業にも共通する課題である。