- 著者
-
石田 靖彦
- 出版者
- 愛知教育大学教育臨床総合センター
- 雑誌
- 愛知教育大学教育臨床総合センター紀要 (ISSN:21860475)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, pp.17-23, 2017-07
本研究では,大学生117名を対象に小学校から高校までの学級内の人間関係を回想させた上で,グループ間における非公式なステイタスの序列として定義される「スクールカースト」が,(1)各学校段階でどの程度あったか,(2)序列があった場合は,その序列の内容や理由を自由記述により回答を求めた。同性グループに対する序列化の認識率は,中学校でもっとも高く男子で77%,女子で87%が少しはあったと回答した。小学校でも男子で54%,女子で72%が少しはあったと回答しており,女子では小学校でもグループ間の序列化が行われていることが示された。高校では男子で67%,女子で62%で中学校よりも低下していた。一方,異性グループに対する序列化の認識は,同性グループに対する序列化の認識とは異なるとともに,その理由についても,男女で異なることが示された。以上の結果から,男女においてグループ間の序列が認識として共有されているのかどうか,また実態としてスクールカーストが存在するのかどうかについて議論した。