著者
吉岡 恒生
出版者
愛知教育大学
雑誌
治療教育学研究 (ISSN:09104690)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.13-21, 2010-02

本論では,子どもを援助する者の「心の傷」が援助プロセスへ与える影響について論じた。子どもを援助する者の「心の傷」が子どもの「心の傷」に触れる際に,どのようなプロセスが起こりうるか,またその癒しの効果と危険性はどのようなものかについて,「傷ついた癒し手」「メサイア・コンプレックス」等の概念を用いて論じた。また,特別支援学校教員への記述式アンケートにより,自身の子ども時代の「心の傷」をめぐるエピソードが,特別支援学校教員としての職業選択・教育実践に影響しているかもしれない,と半数近い者が感じていることがわかった。またアンケートの記述をもとに,「心の傷」が職業選択・教育実践にどのように影響するかについて,7事例を紹介しつつ考察した。以上を踏まえて最後に,特別支援学校における「子どもたちの心の傷とその対応」について論じた。
著者
川瀬 実咲 吉岡 恒生
出版者
愛知教育大学教育臨床総合センター
雑誌
愛知教育大学教育臨床総合センター紀要 (ISSN:21860475)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.81-87, 2011-02

2007年度より特別支援教育がスタートし,障害をもつ児童・生徒に対して生涯に渡っての支援が求められている。また, 2009 年度の保育所保育指針の改定により,保育所児童保育要録の送付が義務づけられる等,就学前と就学後の連携を目指した取り組みが始まってきている。本研究は,保育園・幼稚園等から特別支援学級,特別支援学校への移行期を筆者が約1年に渡って縦断的に観察を行う事で,中,重度の知的な発達の遅れを伴う発達障害児にとっての必要な移行支援について検討していくものである。今回は,第一報として保育園での観察記録,就学直後の記録をもとに現時点での考察を①保育園と学校の連携②各事例の観察記録から見えてくること③保育士からの話④学校外の様子への配慮の4点から行った。
著者
吉岡 恒生
出版者
愛知教育大学
雑誌
治療教育学研究 (ISSN:09104690)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.13-21, 2010-02-26

本論では,子どもを援助する者の「心の傷」が援助プロセスへ与える影響について論じた。子どもを援助する者の「心の傷」が子どもの「心の傷」に触れる際に,どのようなプロセスが起こりうるか,またその癒しの効果と危険性はどのようなものかについて,「傷ついた癒し手」「メサイア・コンプレックス」等の概念を用いて論じた。また,特別支援学校教員への記述式アンケートにより,自身の子ども時代の「心の傷」をめぐるエピソードが,特別支援学校教員としての職業選択・教育実践に影響しているかもしれない,と半数近い者が感じていることがわかった。またアンケートの記述をもとに,「心の傷」が職業選択・教育実践にどのように影響するかについて,7事例を紹介しつつ考察した。以上を踏まえて最後に,特別支援学校における「子どもたちの心の傷とその対応」について論じた。
著者
吉岡 恒生
出版者
愛知教育大学教育臨床総合センター
雑誌
愛知教育大学教育臨床総合センター紀要 (ISSN:21860475)
巻号頁・発行日
no.2, pp.79-86, 2012-03

発達相談を担当する際,まずはアセスメントが求められる。アセスメントについて考える前に,「発達障害とは何か」について考えねばならないが,「発達障害」については,行政上の定義と学術上の定義が異なり,後者がより多くの障害を包括した概念となっている。我々臨床心理士は,職場に応じて「発達障害」という用語を使い分けている。「発達障害」という用語をはじめ,グレーゾーンと見なされる子どもの診断名は時代によって変遷する。それゆえ,この時代の「発達障害」近縁の概念を把握・整理し,その概念を相対化し「 」にくくった上で,目の前の子どもに対する支援の手立てを探っていくことが大切である。また,就園前母子療育施設において発達障害児のアセスメントをする際には,母親の心理状況を把握した上で支援方針を立て,定期的に母子に接する保育士のフォローへとつなげていくことが求められる。
著者
吉岡 恒生
出版者
愛知教育大学教育臨床総合センター
雑誌
愛知教育大学教育臨床総合センター紀要 (ISSN:21860475)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.79-86, 2012-03

発達相談を担当する際,まずはアセスメントが求められる。アセスメントについて考える前に,「発達障害とは何か」について考えねばならないが,「発達障害」については,行政上の定義と学術上の定義が異なり,後者がより多くの障害を包括した概念となっている。我々臨床心理士は,職場に応じて「発達障害」という用語を使い分けている。「発達障害」という用語をはじめ,グレーゾーンと見なされる子どもの診断名は時代によって変遷する。それゆえ,この時代の「発達障害」近縁の概念を把握・整理し,その概念を相対化し「 」にくくった上で,目の前の子どもに対する支援の手立てを探っていくことが大切である。また,就園前母子療育施設において発達障害児のアセスメントをする際には,母親の心理状況を把握した上で支援方針を立て,定期的に母子に接する保育士のフォローへとつなげていくことが求められる。
著者
吉岡 恒生
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教育創造開発機構紀要 (ISSN:21860793)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.183-190, 2011-03-31

本論は、臨床心理士の経験と知識を踏まえて、教育現場の問題に主体的に参画し、教育の場における問題を検討していくという臨床教育学の視点から、「叱ること」について論じたものである。実践報告という形式を取り、ある小学校での保護者向けの子育て相談会と教員向けの研修会において、筆者が講師として「叱ること」について当事者との対話を通して検討していった。保護者との間では、「きょうだいのなかで叱ること」「どこまでを叱るべきなのか」について、教員との間では、「叱ったあとの失敗感を分かち合う」「叱られたら子どもも苦しむ」「子どもの変容についていけない大人たち」「子どもの言い訳を封じてはいないか」「叱ることができない悩み」「発達障害児への特別な叱り方はあるのか」「それぞれの子どもに応じた叱り方」「自分のことを棚に上げていないか」などについて検討がなされた。
著者
吉岡 恒生
出版者
愛知教育大学実践総合センター
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センタ-紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
no.13, pp.251-258, 2010-02

発達障害児の支援について,前半は乳幼児期の支援,後半は小学校期の支援について論じた。前半は,乳幼児期の発達障害児への支援は基本的に母子支援であること,母親の揺れる気持ちを否定せずに聴くことが支援につながることを,筆者が担当した3事例を通して例証した。なかでも「うつ」状態の母親を支援する際には配慮が必要である。また,後半ではまず,小学校における特別支援教育の現状について,X市教育委員会の特別支援教育コーディネーターへの調査を元に紹介した。次に,特別支援教育支援員の活用,学校支援ボランティアの活用について述べ,最後にボランティアにあたる者の心構えについて論じた。