- 著者
-
三木 一彦
- 出版者
- 文教大学
- 雑誌
- 教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, pp.7-24, 2017-12-20
本稿は,筆者が高校での模擬授業時に生徒たちに記入してもらった「自分にとっての原風景」を主題別に提示した上で,その背景や意味について,主に空間的な側面から考察を試みたものである.検討にあたり,高校生の原風景を,①家,②環境,③学校,④非日常・非風景,の大きく4つに分類した.自分が育った家や家族・親戚,あるいは自然環境を記述する回答は多く,それらが原風景の核としての役割を果たしていると推察される.一方で社会環境や学校などをえがく回答もあり,とりわけ学校を取り上げた回答に関しては,教育系の模擬授業受講者という回答者の志向も考慮する必要があろう.今日,高校においては,より早い段階から進路を意識させる指導を行なう傾向が強いが,現在の高校生活を充実させたり,過去の自分の原風景と対話したりするような方向性ももっと重視されてよいと考える.