著者
小林 哲郎 弥生 恵司 梶 正博 宮内 昭 神前 五郎
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.127-131, 1983-02-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
13

われわれは最近3年間に4例の男子乳癌症例を経験し,同期間における老年期女性化乳房症52例と比較し,以下の結果をえた. (1) 男子乳癌は,傍中心性に発生することが多く,比較的早期より皮膚および乳頭の変化を来しやすい. (2) 一方,老年期女性化乳房性は,腫瘤が大きくなっても皮膚および乳頭の変化を来すことはまれで,内分泌療法によく反応する.
著者
水間 公一 西尾 昭彦 臼井 朋明 相川 真 後藤 幸夫 中山 豊 渋谷 均 古家 隆司 福井 四郎 戸塚 守夫 早坂 滉
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.1037-1041, 1980-12-01 (Released:2009-03-31)
参考文献数
20

甲状腺癌は他臓器の癌に比べ発症年齢のピークは若年者側にある.しかし小児症例は多くはないが著者らは教室における経験例を中心に診断,治療の面について検討を加えた.術前から癌の確診をえた症例は少なく,早期診断と治療が要求される小児例においては甲状腺腫に対して生検を含む積極的手段を構じ癌の確診をうるよう努力すべきであろう.また術式は,高い根治性と最小の合併症が要求されるため慎重に各症例に最適な術式を撰択すべきである.予後は成人とほぼ同様に良好と考えてよいと思われるが,死亡原因の大半を占める肺転移に対する対策は今後さらに検討・改善を加えてゆくべきと思われる.
著者
藤原 郁也 能見 伸八郎 内藤 和世 牧野 弘之 戸田 省吾 中路 啓介 大森 吉弘 岡 隆宏 松田 哲朗 赤木 重典
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.1451-1458, 1992-06-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
37
被引用文献数
1 9

最近9年間に著者らが経験したマムシ咬傷58例の治療について検討した.患者はマムシ咬傷後早期に来院する例が多く,初診の段階では軽症と診断されることが多い.しかし重症例では受傷後3日前後に腫脹の増強,眼症状の出現がみられ臨床検査ではCPK, GOT, GPT, AMLがピークとなり,多くは2週間以内に軽快した.初診時に重傷度を判断することは困難であった.治療は抗血清使用にて5例,非使用にて53例を治療したがそれぞれに1例ずつ重症化症例がみられた.重症例でも抗血清を使用せず治癒し,副作用を考慮すると,抗血清は必ずしも必要とはいえず,厳重な経過観察,全身管理こそが重要であると思われた.
著者
竹末 芳生 横山 隆 児玉 節 山東 敬弘 村上 義昭 宮本 勝也 津村 裕昭 立本 直邦 松浦 雄一郎
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.1921-1925, 1994-08-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
17

過去5年間において当科で経験した術後MRSA腸炎24例を対象とし,発症時期によりMRSAを分類し,その病態,発症機序につき検討した.術後6日以内の早期発症は16例, 7日以降の晩期発症は8例認められた.早期発症例は中等,重症例が75.0%を占め,また末梢血中白血球減少例が62.5%であり,晩期発症例の25.0%, 12.5%と比較し高率であった.これは早期発症例では術後腸管運動が回復しておらず, MRSAが産生した毒素が腸管内にとどまり血中に吸収されたためと考えた.晩期発症例の特徴は長期絶食(11.8±3.1日),抗生剤長期投与(13,9±8.2日)であった.これらは常在細菌叢の変化を生じ, MRSAへの菌交代現象をおこし易いが,腸管運動が正常のため毒素血症は稀であり,軽症例が多くを占めたと推察した.晩期発症例は内科領域で経験されるMRSA腸炎と類似の発症機序が考えられ,早期発症例が術後腸炎の特徴を有していると考えた.
著者
西村 好晴 竹中 博昭 岩瀬 和裕 矢倉 明彦 吉留 克英 大西 隆仁 高垣 元秀 石坂 透 別所 俊哉 大畑 俊裕 井上 匡美 大嶋 仙哉 田中 智之 片井 敦雄
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.2569-2573, 1992-11-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
11

術後MRSA腸炎の重症化に影響を及ぼす因子と補助診断法につき検索した.対象症例12例を重症群6例,軽症群6例に分けた.重症群とは腎機能障害を併発した症例, 39℃以上の発熱を認めた症例,あるいは維持輸液以外に1日2,000ml以上の輸液負荷を要した症例とした.術前,術中の諸因子に有意な(p<0.05)差はなかった.腸炎発症までの術後日数は重症群が3.7±1.1日と軽症群の7.1±2.7日に比し有意に短かった.腸炎発症時の白血球数は両群間で有意差はなかったが,核左方移動係数は重症群が72±26%であり,軽症群の6±4%に比し有意に高値であった. Toxic Shock Syndrome Toxin-1 (TSST-1)の最高希釈倍数は重症群が27.4±0.4倍であり,軽症群の26.6±0.5倍に比し有意に高値を示した.腸炎発症までの期間が4日以内であること,腸炎発症時の核左方移動係数が高値であること, TSST-1の最高希釈倍数が高値であることは重症化を示唆すると考えられた.