著者
坂下 吉弘 竹末 芳生 横山 隆 大毛 宏喜
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.173-177, 2000 (Released:2009-06-05)
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

潰瘍性大腸炎に対し,大腸全摘,回腸嚢肛門吻合術を行った若年女性患者の妊娠出産を含めた術後のquality of lifeについて,女性患者23例のうち,20~39歳の12例に対してアンケート調査を行い検討した.術後の出産症例は5例で,計7児出産していた.回腸瘻閉鎖から初回出産までの平均期間は3年8カ月(1年7カ月~8年3カ月)であった.分娩方法は帝王切開が3例計5回,経膣分娩が2例計2回であった.帝王切開の理由は,児逆位,胎児仮死,早期剥離で,いずれも産科的な適応によるものであった.児性別は男児4例,女児3例で,7例とも妊娠週数は,正期産であった.生下時体重は2,638g~3,778gで,いずれも正常児で身体的異常を認めなかった.妊娠中に排便回数の増加を認めた症例はなかったが,2例で妊娠後期に漏便の増加を認めた.しかし,分娩後,妊娠前の状態に戻り,機能低下を残す症例はなく,回腸嚢肛門吻合術後の妊娠,出産は安全であると結論した.
著者
内野 基 池内 浩基 竹末 芳生 冨田 尚裕
出版者
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 = Journal of abdominal emergency medicine (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.1033-1039, 2012-09-30

潰瘍性大腸炎(UC)手術では貧血,ステロイド使用など手術部位感染(SSI)のリスクが高い。そこでUC手術でのSSI危険因子を検討した。【方法】創分類2のUC192手術症例のSSI危険因子について検討した。さらに創分類3,4を含む準緊急,緊急手術90症例のSSI危険因子についても検討した。【結果】創分類2では皮切部SSI12.5%,体腔/臓器1.6%であった。ASAスコア≧3(Odds ratio(OR):3.5,p=0.03),プレドニン総投与量≧10,000mg(OR:3.3,p=0.04)が皮切部SSIの危険因子であった。緊急,準緊急手術90例では皮切部SSI:31.1%,臓器/体腔SSI:6.7%であった。皮切部SSIの危険因子は術直前プレドニン≧50mg(OR:3.0,p=0.049),創分類≧3(OR:12.3,p<0.01)であった。また創分類≧3(OR:11.7,p=0.04),ハルトマン手術(直腸断端)(OR:15.7,p<0.01)が体腔/臓器SSIの危険因子であった。【結語】UC手術では高用量ステロイドが皮切部SSIの危険因子であった。体腔/臓器SSIの予防に緊急,汚染手術では粘液瘻造設を第1選択とすべきである。
著者
竹末 芳生 横山 隆 児玉 節 山東 敬弘 村上 義昭 宮本 勝也 津村 裕昭 立本 直邦 松浦 雄一郎
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.1921-1925, 1994-08-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
17

過去5年間において当科で経験した術後MRSA腸炎24例を対象とし,発症時期によりMRSAを分類し,その病態,発症機序につき検討した.術後6日以内の早期発症は16例, 7日以降の晩期発症は8例認められた.早期発症例は中等,重症例が75.0%を占め,また末梢血中白血球減少例が62.5%であり,晩期発症例の25.0%, 12.5%と比較し高率であった.これは早期発症例では術後腸管運動が回復しておらず, MRSAが産生した毒素が腸管内にとどまり血中に吸収されたためと考えた.晩期発症例の特徴は長期絶食(11.8±3.1日),抗生剤長期投与(13,9±8.2日)であった.これらは常在細菌叢の変化を生じ, MRSAへの菌交代現象をおこし易いが,腸管運動が正常のため毒素血症は稀であり,軽症例が多くを占めたと推察した.晩期発症例は内科領域で経験されるMRSA腸炎と類似の発症機序が考えられ,早期発症例が術後腸炎の特徴を有していると考えた.