著者
寄藤 晶子
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.245-256, 2012-01

「女性」を描くことから出発したフェミニスト地理学は生産/再生産/、公的/私的という二元論的知が世界を構成し、「男性」ですら排除や抑圧の対象となることを示した。ジェンダーは歴史・地理的な状況を通して再生産され、その過程では道徳的言説を伴う差異の空間を弁証法的に構築する。規範的な「男性」像を作り出す過程と空間の関係を分析するには、規範を脅かすものとして表象される空間・場所に対する道徳的言説と排除の地理にも注目する必要がある。
著者
真次 宏典
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-7, 2014-03

軟性憲法と硬性憲法という概念は日本の憲法学においても基礎概念となっている。まず、この概念について、実質的意味の憲法、近代的意味の憲法、立憲的意味の憲法という憲法の諸概念の検討と確認を行う。そして、軟性憲法と硬性憲法という概念が日本憲法学でどのように受容されてきたかを検討し、日本の憲法秩序は、制定後60年以上にわたって「憲法改正」を経験していない憲法典(日本国憲法)と国会の制定する法律以下の憲法附属法によって形成されていることを分析するための理論的基礎作業を行う。

2 0 0 0 IR 「超」の用法

著者
中村 純子
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
no.11, pp.205-216, 2013-01

本稿は「超」の用法より、長く、広く使用されている要因を明らかにすることを目的とする。「超」は漢字熟語の前項、接頭辞的用法、副詞的用法とその用法を広めてきた。副詞的用法は新しく、主に若者に使用されている。付属語としての制約から自由になったため、生産性が高くなったと言える。さらに、「超」の文体的価値は若者ことばであっても、それほど低くない。これらが「超」の汎用性を高めた要因だと思われる。
著者
清水 聡子
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.159-175, 2014-03

2013年9月7日、東京2020オリンピック・パラリンピック開催が決定した。プレゼンテーションで取り上げられた「お・も・て・な・し」の一言は日本の良さを端的に表現し、大きなインパクトを与えた。東京オリンピック招致に成功し、ソチ冬季オリンピックが開催された今こそ、長野県内スキー場の現状を把握し、考察することが求められている。オリンピック開催地であった志賀高原を本稿では取り上げ、事例研究とする。
著者
船越 克己
出版者
松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.105-125, 2006-01-15

製造業(以下企業)が、「プロダクト・イノベーション」を重視した研究開発方針にシフトすることを求められて久しいが、未だに機能してきた様に窺えない。本論文では、この要因を職務発明の特許訴訟事案から探るとともに、推進する方策として「セレンディピティ」について研究した。研究開発力は、企業競争力を支える中核の「見えざる経営資源:Invisible Assets」であるが、最近それを揺るがす"技術者の反乱"と言える民事訴訟が多発している。技術者が、元の勤務先企業で出願した特許に対して、改めて「相当の対価」を請求した訴訟事件で、背後に組織に潜む不文律の影響が強く想定される。特に、昨年1月に東京地裁が被告企業に200億円の支払を命じた「青色LED(発光ダイオード)事件」が、今年9月に東京高裁の上告審で8.4億円の高額和解判決に終わったことに、多くの関係者から賛否両論の見解が交錯している。本報では、まず一連の訴訟事案が提訴された要因を探った。訴訟が提起された要因として、一般的には特許法第35条の影響が指摘されているが、筆者はプロダクト・イノベーションの研究における"セレンディピティ価値"を、経営者が理解し、個人の能力を真撃に尊重する意識が欠けているため、企業価値の向上に貢献した技術の本質を評価する文化が育たなかったことが根本的な問題と考えている。これは、経営者が述べた勝利宣言などからも窺えるが、原告の感情を逆撫でした発言により、他の研究者がモチベーションを無くしたことが懸念される。また、裁判の争点が、事業利益に対する原告と特許技術の貢献度について定量的評価の方法論に終始して、肝心の技術の本質や、企業価値へのシナジー効果は考慮されず、真因を言及できない民事裁判の限界を示したことは、当事者間の問題に止まらず他企業の研究開発力や競争力に致命的な影響を与えたと考えている。また、一連の訴訟事案も検討して、多くの企業も同様に建前の"技術立社"の戦略を掲げているに過ぎないように見える。したがって、これらの視点を踏まえて、本論文では研究における「セレンディピティ評価方法」の概念を考察し、提起した。これに関連して、昨年末アメリカ「競争力評議会」が発表した『21世紀の国家政策』を示唆していると言われる通称"パルミザーノ・レポート"は、イノベーションの必要性とともに先端研究分野で、日本等を仮装競争国とした行動も示しており、産業戦略の重要性が窺える。日本でも、経済産業省でカウンターポリシーが検討されているが、企業の競争力を推進するために、改めて研究開発における"セレンディピティ価値を評価し、個人の能力を尊重する企業文化を育成"することが、最重要な課題であると確信する。
著者
小林 俊一
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.95-104, 2012-01

二値関数と集合の分割に関する述語論理について成り立つ定理を提案し、その定理の厳格な証明を行った。ここでの述語論理とは「すべての~について」や「ある~について」に関する一階述語論理を指す。本研究の目的の一つは、二値関数に集合の分割の考え方を導入することで、コンピュータの内部で行われる論理動作を、数学的にモデル化することである。デジタルの世界での論理動作を、数学的にモデル化している。
著者
中山 文子 藤岡 由美子
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.139-153, 2011-01

本研究では、大学生と高校生の食事を主とした生活習慣と精神的健康について検討した。大学生(同居)・大学生(一人暮らし)・高校生の3郡比較をした結果、一人暮らしの学生は生活習慣・食事内容が低得点だったが、精神的健康度は一番高かった。関係を検定すると、特に一人暮らしの学生に生活習慣・食事内容と精神的健康度の相関関係が多く認められた。
著者
太田 勉
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
no.11, pp.39-56, 2013-01

長野県経済を取り巻く内外の情勢変化は目まぐるしい。円高や消費増税のほか、TPP(環太平洋経済連携協定)参加問題や原発ゼロ社会指向の行方は、県内産業や市民生活にも大きな影響を及ぼすとみられる。今後の成長産業分野としては、環境(エネルギーを含む)、健康(医療・介護・高齢者ビジネス)、観光の「新3K分野」に加え、農業分野などが挙げられるが、課題も少なくない。内外の情勢変化を踏まえ、長野県経済の未来を展望してみたい。
著者
矢内 和博
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.155-167, 2011-01

上諏訪温泉において食事調査を実施し、食事について問題点の抽出、メニュー開発および提案を目的とした。食事調査の結果、肉、魚の使用量および野菜の使用量に大きなばらつきが見られた。肉魚を多用することで華やかなイメージを持たせるが、野菜の使用量が少なくなり、タンパク質、脂質の摂取量が多くなる傾向がある。観光客が長野県に来てたべたい食事内容についてさらに検討すべきである。
著者
鈴木 尚通 葛西 和廣 田中 正敏
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.119-143, 2012-01

2010年度の調査では、前年同様、木曽福島地区、開田高原、日義木曽駒高原道の駅の3調査地点で、観光客に対し木曽地域の魅力を探るためにアンケート調査を行った。昨年度までの調査項目「木曽地域でお気に入りの場所」を「今回の旅行で訪れた、または訪れようとしている場所」に変更し、旅行の目的地がよりはっきりするようにした。また、食に関する質問をいくつか入れ、食の面でどんな魅力があるかを探ることをも目指した。