- 著者
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茂木 清夫
- 出版者
- 一般社団法人 照明学会
- 雑誌
- 照明学会誌 (ISSN:00192341)
- 巻号頁・発行日
- vol.81, no.Appendix, pp.40, 1997-03-28 (Released:2011-07-19)
日本は世界有数の地震国であり, これまでたびたび大震災を経験してきた. 先進国の中で国全体が活発な地震帯の中にある国は日本だけである. 従って, いかにして地震災害を軽減するかという問題は, とりわけ我が国において重要な問題であり, その対策の一つとして, 地震予知計画が30年前にナショナルプロジェクトとしてスタートし, 今日に至っている.その間, 国内・国外において地震予知の可能性について, ある時には極端な楽観論が台頭し, ある時には悲観論が主張され, 今日なお地震予知の可能性についての対立した議論が続いている. 極端な悲観論も楽観論も適当でない.一昨年の阪神大震災はここ50年の間では際立って大きい災害をもたらした. この地震は, 予知されずに突発的に起こったが, 地震発生後収集された前兆現象をまとめて見ても, 微弱であり, 予知が困難なケースであった.最後に, 1978年に制定された大規模地震対策特別措置法 (大震法) によって, 予知できることを前提とした東海地震対策が進められているが, その重大な問題点を指摘し, その早急な再検討が必要である.