著者
中塚 正 大熊 茂雄
出版者
The Society of Exploration Geophysicists of Japan
雑誌
物理探査 = BUTSURI-TANSA Geophysical Exploration (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.451-459, 2005-10-01
参考文献数
4
被引用文献数
3 1

A helicopter-borne magnetic survey system was developed in use of a nose boom magnetic sensor, which enables safe and practical operation of low-altitude high-resolution survey even in mountainous regions of very steep topography and high elevation. The system consists mainly of airborne Cesium magnetometer, 3-axis fluxgate magnetometer, GPS receiver, navigation unit, data-acquisition PC, etc., incorporating with other equipment on the ground including base station magnetometer and reference station GPS receiver.<br>The nose boom magnetic sensor is situated rather near the helicopter body and cannot be free from its magnetic noise, though the boom itself is made non-magnetic. The 3-axis fluxgate magnetometer is the equipment to compensate aircraft's magnetic noise field. Theoretical consideration for passive magnetic compensation and the method of actual data processing for it are discussed. Then the software for magnetic compensation was developed and applied to the data of actual verification survey, and the procedure was proven to accomplish post-flight magnetic compensation properly.
著者
Yoo Hai-Soo Kim Su-Jeong Park Dong-Won
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 = BUTSURI-TANSA Geophysical Exploration (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.104-111, 2005-02-01
参考文献数
5

Dmitri Donskoi号 (1883年進水のロシア巡洋艦) は日露戦争に参戦中の1905年5月29日に韓国Ulleung島 (日本海) の近くで沈んだことが知られている。この船を見つけるために、その沈没位置に関する情報をロシアと日本の海事記録から得た。その船の沈没位置はおおよそ判明し、1999年から2003年まで5年にわたる物理探査が実施された。海底に関する三次元地形学踏査は、マルチ・ビーム音響測深器、海洋磁力計およびサイドスキャン・ソナーを使用して実行した。初期踏査により認識された異常体は、遠隔操作式無人有索探査船 (ROV) の深海カメラおよびミニ潜水艦『パスファインダー』を使用した詳細な調査によって確認された。得られたデータを解釈し、沈没船は海面下400mの急傾斜面に位置していることがわかった。その位置は、Ulleung島のJeodongから約2kmである。船の船体に残された152mmの艦砲、および他の戦闘資材が確認された。さらに、沈没時に燃上した操舵装置および他の機械類の残りが船体の近くで見つかった。調査エリアに分布する火山岩の強い磁性の影響を受け、磁気探査データから船の位置を正確に求めることはできなかった。船体のまわりの急峻な海底地形は、サイドスキャン・ソナー・データ中の反射波の拡散を増加させ、サイドスキャン・ソナーを用いた異常体 (船体) 検出を困難にした。それに対し、多重ビーム音響測深器を用いた探査では、探査船を最大限低速で運航したり、海底地形によりビーム角の調整行ったり等の工夫を行ったため、得られた海底イメージは船体位置の確認に非常に有効であった。
著者
鈴木 浩一 塩竃 裕三 久野 春彦 東 義則
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 = BUTSURI-TANSA Geophysical Exploration (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.515-526, 2007-12-01
参考文献数
10
被引用文献数
8 3

近年,山間部の地すべり斜面を対象とした降雨浸透水による地下水面の変動,産業廃棄物層内への降雨浸透水の挙動、地下水涵養試験時の涵養水の浸透、沿岸部での潮汐に伴う塩淡境界面の変動など, 様々な分野において電気探査法により地下水の流動状況をモニタリングする適用事例が増えている。しかし,従来の電気探査装置では未固結地盤中など流速の大きい地下水の挙動を3次元に展開した測線において数分程度の時間で測定することは困難であった。今回開発した電気探査装置は、最大240点の電位データを同時に受信することができ,アナログ系でのフーリエ変換処理により電位を計測し、高周波数(最大5kHz)の正弦波を送信する。例えば、120測点に対する二極法による全ての組み合わせのデータ(120×119=14280通り)を約5分間で測定することが可能である。本装置の性能を確認するため,当所構内にある陥没空洞箇所に塩水を注入中の比抵抗変化を連続的に測定した。陥没箇所を中心に60点の電極を1m間隔で配置した2測線を展開した。本空洞はローム層(下総層群常総粘土層に相当)内に掘削された旧防空壕が崩落したものと推測されている。測定は塩水を注入する直前より開始し,約2分半間隔で繰り替えし測定を行い,塩水の注入が完了した20分後に測定を終了した。塩化カルシウム溶液(比抵抗1.4&Omega;m)を110分かけて1000ℓを注水した。全測定回数は51回で,1回当たりの観測データ数は3540通りである。全計測データ(51回分)に対しインバージョンにより比抵抗断面を求め,塩水注入前の比抵抗断面を基準値とした各測定時の比抵抗変化率断面を求めた。その結果,塩水が埋没空洞部に徐々に浸透していく状況を連続的に変化する比抵抗断面として可視化することができた。本装置は,流速の大きい地下水挙動の3次元的なモニタリングに十分貢献できると考えられる。<br>