著者
中塚 正 大熊 茂雄
出版者
The Society of Exploration Geophysicists of Japan
雑誌
物理探査 = BUTSURI-TANSA Geophysical Exploration (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.451-459, 2005-10-01
参考文献数
4
被引用文献数
3 1

A helicopter-borne magnetic survey system was developed in use of a nose boom magnetic sensor, which enables safe and practical operation of low-altitude high-resolution survey even in mountainous regions of very steep topography and high elevation. The system consists mainly of airborne Cesium magnetometer, 3-axis fluxgate magnetometer, GPS receiver, navigation unit, data-acquisition PC, etc., incorporating with other equipment on the ground including base station magnetometer and reference station GPS receiver.<br>The nose boom magnetic sensor is situated rather near the helicopter body and cannot be free from its magnetic noise, though the boom itself is made non-magnetic. The 3-axis fluxgate magnetometer is the equipment to compensate aircraft's magnetic noise field. Theoretical consideration for passive magnetic compensation and the method of actual data processing for it are discussed. Then the software for magnetic compensation was developed and applied to the data of actual verification survey, and the procedure was proven to accomplish post-flight magnetic compensation properly.
著者
名和一成 村田泰章 駒澤 正夫 森尻 理恵 広島 俊男 牧野 雅彦 村上 文敏 岸本 清行 大熊 茂雄 志知 龍一
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5-6, pp.183-208, 2005-08-15 (Released:2014-10-25)
参考文献数
41
被引用文献数
1 2

産総研地質調査総合センターでは,20 万分の1重力図の系統的整備を行っている.新たに測定したものを加えた陸域の重力データと,地質調査所GH83-1航海で測定した海域の重力データを統一的に処理・編集して,「宮崎地域重力図(ブーゲー異常)」を出版した.この重力図には,宮崎沖堆積盆地や九州外帯の屈曲構造に対応する長波長の異常や,人吉・小林・都城盆地に対応する短波長の異常が見られる.また,短波長を抽出したフィルター図では,宮崎平野下の負異常や,過去の研究でも指摘された宮崎平野北部と西部の高重力異常が確認できる.一方,九州山地にも高重力異常が分布するが,重力補正に用いた仮定密度と実際の山体の密度との差から生じる見かけのものである.このため,基盤構造推定に利用する際には,地形の影響を考慮する必要がある.
著者
大熊 茂雄
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.236-254, 2020 (Released:2020-12-04)
参考文献数
38

日本での物理探鑛の始まりについて,文献資料をもとに検証を行ってきた。当学会では,京都帝国大学の山田賀一が,大正8年(1919年)兵庫県高野鉱山で磁鉄鉱を調査するために磁気探鉱を実施したのが日本で最初の物理探鉱であるとされている(編輯委員会,1948)。一方,佐藤(1985)は,地質調査所の関野修蔵が明治24年(1891年)に釜石鉱山で鉄鉱床の調査のため磁気測量を行ったことを紹介し,これが日本で最初の物理探鉱であったろうと述べている。当時としては国際的にも先駆的な調査ではあったが,観測点が僅か9点で,磁気測量も伏角,偏角のみしか観測されておらず,また観測結果の表示や解釈も十分ではなかった。特に報告書に添付されているはずの観測箇所が記された地質図が図書館を通じた文献調査でも入手できなかったことは成果の評価を困難としている。ただし,当時,観測手続や観測点の環境が記された野帳は地質調査所に保管されており,関野による釜石鉱山での磁気測量の際の野帳もあったに違いない。しかし残念なことに,地質調査所の庁舎は大正12年(1923年)の関東大震災により焼失し野帳を含む多くの諸資料が失われてしまった。また,関野自身も本業の地形課の業務に忙殺されるとともに,関野が関わった第一次全国磁気測量結果に基づく恩師ナウマンの論文に係わる地質学的論争の影響を受けて,磁気測量へのさらなる関与に躊躇した可能性がある。このようなこともあり,釜石鉱山における関野の調査は忘れ去られ,日本で最初の磁気探鉱(物理探鉱)とは認定されなかったと考えられる。釜石鉱山では,関野の調査に遅れること35年後の大正15年(1926年)に京都帝国大学の藤田義象による磁気探鉱が実施され,新鉱床の発見に至ったという(藤田,1928)。奇しくも新鉱床が発見されたのは,関野の調査で偏角異常が観測された佐比内峠のすぐそばであった。