著者
風間 正喜 小俣 正朗 小原 功任
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第61回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.211, 2012 (Released:2012-03-28)

SPH法などの粒子法は計算格子を必要としない計算手法であり, 表面波など移動境界を伴う問題に多く適用されている. 特に水しぶきを有限要素法で計算する場合, 計算格子の再生成が必要となるなど計算上の困難を伴うが, 粒子法では比較的容易に計算することが可能となるため, 液滴の分裂や合体のような現象の計算に多く適用されてきた. 液滴の運動を計算する際に重要な表面張力を表現するために様々な方法が 開発されているが, 表面エネルギーを基礎とした計算方法はそれほど多くないように思われる. 表面エネルギーを基礎とした方法では, 接触角を表面エネルギーの差として簡単に表現することができる. 本研究では表面エネルギーを基礎とした粒子法による 表面張力計算方法を開発したのでその計算結果を報告する.
著者
長尾 大道 小林 直樹 深尾 良夫 冨澤 一郎 樋口 知之
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第61回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.47, 2012 (Released:2012-03-28)

大地震が起こった際には、それによって励起された波動が電離層内を伝搬していくことが、観測的に示されている。著者はこれまでに、固体地球‐大気結合系1次元モデルのノーマルモードを利用した数値シミュレーションにより、2008年に起こった岩手・宮城内陸地震によって励起された気圧変動を説明することに成功した。本研究では同じ手法を用いることにより、やはり同地震の際に菅平のHFドップラー観測で捉えられた電離層の上下変動を、中性大気を伝搬する音波波動として理解できることを示した。講演においては、他の地震の場合に得られたさらに多くの観測点で得られたHFドップラーデータを総合的に解析することにより、大地震によって励起される大気変動の時空間構造を包括的に理解することを目指す。
著者
小林 智紀 高木 通俊 高倉 葉子
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第61回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.202, 2012 (Released:2012-03-28)

本研究は高揚力装置の一種であるGurney Flapの空力特性を,NACA4412形状翼を用いて実験的に求めたものである.Gurney Flapは高速走行する自動車に装着されることの多い高揚力装置であり,1970年代にDan Gurney氏によって考案された装置である. 実験条件はRe=6.5×105であり,Gurney Flapの大きさは翼弦長に対して0%,1%,2%,3%,4%,5%,6%の高さの装置を装着する.実験よりC<>L</>曲線の変化の傾向を維持した状態での揚力係数は高さが4%のものが最も高く,翼のみの状態に比べ2倍の効果を発揮した.また変化の傾向が異なるが揚力係数がより高くなるFlapもあった.抗力係数は高揚力装置の高さを高くするほど同じ迎角でも上昇する傾向を示した.揚抗比はFlap高さが低い状態ほど高く,4%の高さの装置を装着している状態では装着していない状態と比較して74%まで減少した.これらの結果よりGurney Flapは翼重量の増加を最小限として揚力係数を得たい場合や動力の余力があり抗力係数を考慮する必要性が低い場合に最大限の能力を発揮する.
著者
田中 真人 藤川 正毅 儀間 麻衣
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第61回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.88, 2012 (Released:2012-03-28)

本発表では,丸め誤差のない新たな数値微分近似手法として複素数階微分法を提示する.本手法を大変形材料構成則の応力および整合接線剛性の導出に応用した事例を紹介する.ここでは,陰的解法の代表的な汎用FEMソフトウェアであるAbaqus/Standardの材料構成則のユーザサブルーチンUMATを例にとり,その実装方法について示す.また,いくつかの数値計算例を通して,本手法の有効性を示す.
著者
小菅 直人 金川 秀也
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第61回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.137, 2012 (Released:2012-03-28)

多次元反射壁ブラウン運動を用いて複数の株価モデリングを行う.反射壁ブラウン運動はスコロホド方程式と呼ばれる関数方程式から導出された確率微分方程式によって定義されるが、まずその近似解をランダムウォークを用いて構成する。この近似解から株価過程のモデリングを行う。複数の株価はそれらの企業の経済的な関係が強ければ相関が強くなり、ある一定の期間株価を観測すると、近似的に反射壁ブラウン運動と同様の振る舞いをする.このことから、多次元反射壁ブラウン運動によるモデリングとその有効性について考察する.
著者
遠藤 廣太 中山 司
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第61回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.210, 2012 (Released:2012-03-28)

2次元通路を歩行する群集の移動パターンに関する数値シミュレーションを報告する.本研究では群集の移動を流体の流れに見立て,流れの支配方程式を粒子法の一つであるSmoothed Particle Hydrodynamics(SPH)法で解く.一つの粒子を一人の人間に見立てることで,粒子の移動をラグランジュ的に追跡しながら計算する.群衆を目的地に誘導する計算テクニックとしてポテンシャルフィールドという考え方を採用し,ポテンシャルフィールドの勾配に比例する仮想的な力を外力として個々の粒子に作用させる.また,粒子に対して視野に相当する情報を与えるために,SPH法におけるカーネル関数の形状を変える.カーネル関数の形状や流体の動粘性係数に相当する係数の大きさなどの違いによる群集の行動パターンを考察するとともに,複雑な形状の通路にポテンシャルフィールドを張る方法を考案した.
著者
箱山 智之 桑原 利彦
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第61回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.111, 2012 (Released:2012-03-28)

金属板材から円管試験片を製作し,サーボ制御円管バルジ試験機を用いて,軸力と内圧を負荷することにより,線形応力経路における大ひずみ塑性変形特性を測定する試験方法を考案した.本試験方法を590MPa級高張力鋼板に適用し,二軸引張応力下での塑性変形特性を詳細に測定すると同時に,最適な降伏関数の同定を行った.その結果以下の知見を得た.(1)590MPa級高張力鋼板において相当塑性ひずみ換算で16%までの等塑性仕事面の測定ができ,最大主ひずみ0.24までの応力-ひずみ曲線の測定に成功した.(2) 次数6又は次数8のYld2000降伏関数が本供試材の変形挙動を概ね良く再現できることがわかった.実験値の再現精度をさらに向上させるためには,異方硬化の定式化が必要と考える.