著者
舟引 敏明
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.30(第30回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.213-218, 2016-11-28 (Released:2016-11-28)
参考文献数
2

本論は,複雑な都市公園制度における公共と民間の関係を把握するため,民間事業者の導入制度の成立経緯について時系列的に検証,考察し,明治期の公園制度の成立から都市公園法成立時までの時期,都市公園法成立から公園内の収益施設への参入方策の展開の時期,公共業務への参入方策の展開の3 つの時期に区分されることを示した。そして収益施設の参入と公共業務への参入が異なる動機と性格を持つことを示すとともに,民間事業者の法制度上の全体構造を示した。あわせて今後の民間事業者の展開の課題と方向性を考察した。
著者
上東 伸洋 坂部 創一 山崎 秀夫
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.30(第30回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.273-278, 2016-11-28 (Released:2016-11-28)
参考文献数
17

本研究ではSNS 交流が,共感力や現実の友人関係,QOL(Quality of Life)を連鎖的に向上させるという仮説を設定した。そして,情報系大学生を対象に集合調査法で調査し,共分散構造分析で検証した。その結果,SNS 交流がそれらの要素を向上させていることが検証された。また,SNS 交流のネットと現実の共感力へ及ぼす促進効果が現実友人関係やQOL に与える影響は,SNS 疲れやテクノ・ネット依存症傾向の悪影響よりもその向上効果が高いことが示された。さらに,ネット共感力が現実共感力を向上させる可能性も示唆された。
著者
山口 創 吉田 康子
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.30(第30回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.243-248, 2016-11-28 (Released:2016-11-28)
参考文献数
6

本研究は,農場実習の実習後に記述する「出席カード」の内容をテキストマイニングを用いて分析することにより,農場実習の学習内容把握手法としてのテキストマイニングの有効性を検討した。分析の結果,主に作物の生態的特徴,作物の栽培技術,農業の大変さの理解といった学習内容を抽出することができ,テキストマイニングの有効性が示された。また,実習内容と学習内容を比較することにより実習プログラムの改善点を示すとともに,分析プロセスから,学習内容の把握手法としてテキストマイニングを導入する上での留意点を示すことができた。
著者
佐藤 秀樹
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.30(第30回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.151-156, 2016-11-28 (Released:2016-11-28)
参考文献数
5

バングラデシュ・クルナ市では,「ウエイスト・ピッカー」と呼ばれるインフォーマルセクターの労働者が街のごみ集積場や最終処分場で有価廃棄物を収集し生計を立てている。手袋や長靴を身につけない人が多いため, 彼らの約70%は皮膚そう痒の疾患を患っている。彼らの労働衛生の環境改善に関する必要性は指摘されてきたが,能力向上を図るための衛生教育は十分でない。そこで,本研究では彼らの衛生教育の必要性と教材開発の内容に関する方向性を考察した。その結果,視覚教材開発や体験学習を通じて,「ごみ」,「安全管理」,「健康」の視点から,彼らの生活環境やメンタルケアを含めた教育の重要性が認識された。
著者
上河原 献二
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.30(第30回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.133-138, 2016-11-28 (Released:2016-11-28)
参考文献数
27

水陸両生の侵略的外来植物の対策事例に関し,早期対応が実際に行われたかどうかを確認した。その結果,ある程度問題が深刻化してから本格的な対策が行われたことを確認した。早期対応論に反し、政策過程では早期であるからこそ行政主体により問題が見過ごされている。その主な要因として,①科学的不確実性が大きいため過小評価されがちであること,②財源制約,③誰が対策を行うべきか法制度上明らかではないこと,④当初社会の関心が低く政治的圧力が弱いことが考えらえる。対策を促進する要因として,①事態の深刻化,②専門家や地域の有力環境団体からの働きかけ,③外部資金の提供,④協議会の設置,⑤政治的指導力が考えられた。
著者
山本 清龍
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.30(第30回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.73-78, 2016 (Released:2016-11-28)
参考文献数
19

本研究では,登山者数の上限設定に対する検討が行われている富士山を事例として取り上げる。研究目的は,①登山者の属性,登山特性を把握した上で,登山者数の上限設定に対する意向を明らかにすること,②登山者の属性,登山特性,登山者数の上限設定に対する意向の関係性から,登山者数の上限設定を検討する際の論点を整理し考察すること,の2点である。その結果,富士登山者の属性は,年齢が20~40代で77%を占め,登山目的では御来光を見ることが72%,頂上まで登ることが71%で最も多かった。また,登山者数の増加が自然と文化に悪影響を及ぼすという意識は登山者数の上限設定の賛否に関係していた。
著者
小林 貴 坂本 将吾
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.30(第30回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.323-328, 2016-11-28 (Released:2016-11-28)
参考文献数
10

本研究では,鉄道踏切における一時停止義務の廃止による環境負荷物質(CO2,NOx,PM)排出量の削減効果を検討した。一時停止義務廃止について2つのケースを設定し,交通量と列車間隔の異なる踏切における環境負荷物質の削減率を算出した。その結果,すべての環境負荷物質について,一時停止無・徐行有では交通量300 台/h以上・列車間隔3分未満の踏切において10% 以上,また,一時停止無・徐行無ではすべての交通量・列車本数の踏切において20%以上,最大70%程度,現状からの削減率が見込めることを示した。PM は交通量による削減率の変化が大きいなど,CO2,NOx,PM では削減率の高い踏切の条件(交通量・列車間隔)が異なることを示した。
著者
堤田 成政
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.30(第30回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.111-116, 2016-11-28 (Released:2016-11-28)
参考文献数
16

政府や科学の透明性を高める手段としてオープンデータが注目されるなか,希少種保全活動に関するデータのオープン化は生息環境と保全活動にいかなる影響を及ぼすのか。その影響を把握することは容易ではない。本研究では希少種の生息環境の撹乱リスクを高めることなく保全活動を加速させること目標とした,データのオープン化を戦略的に検討するためのツールとして,データ公開による保全活動への影響,生息環境撹乱のリスクを相対的に図示化したフレームワークを提案する。事例として,長崎県対馬に生息するツシマヤマネコの保全に関わる主体者から情報公開の状況やデータのオープン化への対応状況に関する聞き取り調査を実施し,提案したフレームワークの適用を試みた。
著者
岩田 優子
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.30(第30回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.25-30, 2016 (Released:2016-11-28)
参考文献数
12

兵庫県豊岡市と新潟県佐渡市は,それぞれコウノトリとトキの野生復帰事業の一環として,環境保全型農業の普及に取り組んできた。現状において,両市は,(1)環境保全型農業の作付面積の推移,(2)無農薬米の作付面積,の2点で違いがある。これらの違いを説明するために,本研究では,マルチアクター間の協働ガバナンスに焦点をあて,普及プロセスへの影響について比較分析を行った。両市の分析の結果,野生復帰事業における各アクターのリーダーによるネットワーク拡大の有無が,環境保全型農業普及における協働プロセスの循環,特に,最終フェーズである「成果達成」の点での大きな差異につながることが示された。
著者
山﨑 雄大 常松 展充 横山 仁 梅木 清 本條 毅
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.30(第30回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.43-48, 2016 (Released:2016-11-28)
参考文献数
10

本研究では2020年の東京五輪のマラソンコースを例に,その温熱環境を把握することを目的として,MRT(平均放射温度)とWBGT(湿球黒球温度)の計算事例を示した。その結果,猛暑日である2015年8月7日の事例では,9時~18時でコース上のすべての地点でWBGTが熱中症の「厳重警戒レベル」とされる28℃以上となった。またコース上にできる影によってWBGTが低下するため, 日陰を選んでコース取りをすることにより,ランナーが体感するWBGTを低く抑えられる可能性が示唆された。