著者
伊達木 澄人 中富 明子 渡辺 聡
出版者
長崎大学
雑誌
長崎医学会雑誌 (ISSN:03693228)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.39-43, 2014-03

アレルギー性鼻炎に対して、セレスタミンRを長期内服した結果、Cushing症候群と続発性副腎機能不全をきたした11歳女児例を経験した。患児は、セレスタミンR1日2錠(ベタメタゾンとして0.5mg)を少なくとも8か月間毎日内服していた。Rapid ACTH試験にて内因性コルチゾール分泌能は低下していたため、セレスタミンR中止後、生理的維持量のコートリルRを開始した。その後、コートリルRを漸減し、1か月で中止可能であった。セレスタミンRは、強力な抗アレルギー作用を有することから、多科において広範囲に使用されている薬剤である。しかし、本剤がステロイド合剤であるという認識が乏しく、長期服用による副作用が問題となる例が跡を絶たない。安易な長期処方を避け、使用する際には、適切な患者・家族への情報提供と副作用に対する十分な注意・対応が望まれる。
著者
佐藤 健一 冨田 哲治 大谷 敬子 佐藤 裕哉 原 憲行 丸山 博文 川上 秀史 田代 聡 星 正治 大瀧 慈
出版者
長崎大学
雑誌
長崎医学会雑誌 (ISSN:03693228)
巻号頁・発行日
vol.87, pp.186-190, 2012-09

平成20年度に広島県・市が主体となり黒い雨を含む原爆被爆体験による心身への健康影響や黒い雨の体験状況に関するアンケート調査が行われ,平成22年に「原子爆弾被爆地域の拡大に関する要望書」が厚生労働省に提出された.しかしながら,「黒い雨」そのものを危険因子として死亡危険度を評価した疫学的研究は未だない状況である. 一方で,黒い雨を含む放射性降下物などによる間接被爆あるいは内部被爆の影響を評価する試みとして,被爆時所在地の位置情報を用いた死亡危険度の評価が考えられる.