著者
牧野 孝俊 栗田 佳江 池田 優子 杉原 喜代美
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.67-80, 2007-03

看護学生による高校生に対するピアエデュケーションの実践を振り返り、その効果を明らかにすることを目的とし、藤岡地域を中心とした2つの高等学校計3クラスの生徒92名を対象に、授業に対する態度と性に対するイメージ2項目についての無記名自己式質問紙調査をした。項目の内容は、授業に対する態度として「積極的な発言」、「人の意見を聞く」、「興味を持って参加する」、「相手の気持ちを考える」、「楽しく学ぶ」の5項目を、性に対するイメージとして「大切なもの」、「不潔なもの」、「すばらしいもの」、「めんどくさいもの」、「はずかしいもの」、「なくてはならいもの」、「いやらしいもの」、「自然なもの」の8項目である。その結果、授業に対する態度において2クラスのエデュケーション後に「人の意見を聞く」や「興味も持って参加する」、「楽しく学ぶ」の3項目で、有意な差が生じた。また性に対するイメージにおいて、3クラスともエデュケーション後に「大切なもの」「すばらしいもの」「なくてはならいもの」「自然なもの」の4項目で肯定的イメージを選択する学生に有意な差が生じた。
著者
板津 裕己 林 潔
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
no.16, pp.125-133, 2017-03-31

研究ノート・試論
著者
田邉 美佐子 神田 清子
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.13-23, 2008-03

本研究の目的は、発症後5年を経過した小児がんの子どもを持つ父親Aさんの語りから、Aさんの子どもとの闘病体験の意味を理解することである。研究方法は、面接によって語られた内容を逐語録にした後、当事者の視点からストーリーを記述し、Aさんに起こっている出来事の意味を解釈した。子どもの入院中、Aさんは家族の一体感を感じ、家族の生活を守ることを自らの主たる役割に据えて、主体的に生活調整を図り、子どもとの闘病体制を確立していた。退院後においては、治療に最善を尽くしたと納得することで、悪い事態への受け入れ準備をし、不確かな未来を案ずるのではなく、今を生きる子どもとの生活を大切にしていた。Aさんが小児がんの子どもとともに過ごした闘病体験は、辛いことのみでなく自己を成長させる意味のある体験として位置づけられていた。この価値観の獲得には、家族との一体化が大きな要因であり、看護支援の骨格には家族調整が重要であることが示唆された。
著者
宮崎 有紀子 芝山 江美子 大野 絢子 佐藤 久美子
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.25-37, 2008-03

【目的】室内の環境を清潔に保つことは、アレルギー疾患予防との関連はもとより、心身の健康を保つためにも重要である。我々は、人々が生活環境の清潔保持にどのように関心を寄せ、行動しているかを明らかにする目的で、群馬県内一般家庭の家事担当者を対象に、室内環境整備に関する関心度や清掃方法の知識習得、室内清掃や寝具管理の実状、アレルギーの有無などを調査し、その実態を明らかにした。【方法】家事担当者1,576人を対象として、清掃に関する意識や行動、居間、寝室、浴室、トイレなどの整備状況、寝具の種類と管理状況、室内塵埃中のダニに対する知識及びアレルギーの有無などに関する質問票を作成し、無記名自己記入式により調査した。調査結果は、SPSSによって統計処理した。【結果】調査結果は若年層(39歳以下)、中年層(40〜59歳)、高年層(60歳以上)の3グループに分けて分析した。自分を「きれい好き」と思う者は高年層に多く、清掃を行う理由は、各年齢層とも「清潔は気持ちかよいから」が多かった。掃除方法は「母から教わった」が各層とも過半数を占めたが、若年層では、「教わったことがない」が34.2%に上った。居間や寝室の整備状況では、項目によって高低の差がみられたものの各層ともかなりよく行われており、布団の目先乾燥、シーツの洗濯など寝具管理でも各層ともよく行われていた。大掃除は「年1回」が最も多く、「ほとんどしない」も10%以上みられた。ダニやダニカット製品に関する調査では、若年層が中、高年層と比較してより多くの知識を持っていた。【まとめ】本調査の結果から、ほとんどの対象者は室内環境整備への関心が高く、環境整備はかなりよく行われていることがわかった。若、中、高年層間に大きな差はみられなかったが、「専門的な指導を受けたことがない」との回答が多かったことから、整備行動の質を保つためには、今後室内環境整備の具体的方法を教育することが必要と思われる。
著者
池田 優子 杉原 喜代美 栗田 佳江 牧野 孝俊 山下 博子 深沢 英子
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.169-183, 2007-03
被引用文献数
1

本研究の目的の第1は、ピアカウンセリングの歴史と活動を概括し、日本におけるピアカウンセリング・ピアエデュケーション活動に呼応して群馬県で初めて開催されたピアカウンセラー養成の概要を明らかにすることである。第2に、A高校で実施されたエデュケーションの効果について、受講した高校生からの評価及びピアカウンセラー自身による自己評価とピア活動の意味づけについて明らかにし、その継続性について考察する。質問紙調査の結果、エデュケーションは高校生から「面白く」「身近で」「分かりやすい」という評価を受けていた。学生達はエデュケーションを通して達成感と自信、更に仲間の力の素晴らしさを実感していた。そしてピア活動は自分を見つめなおし、成長させる場であることがわかった。またピアカウンセラー養成及びピアエデュケーションの効果的実施及び継続性を保証するものとして「地域におけるサポートネットワークの構築」「学生達のエンパワメントの持続」「大人達の継続的サポート体制」「エデュケーション側と高校側の連携」の必要性が示唆された。
著者
栗田 佳江 池田 優子 杉原 喜代美 牧野 孝俊
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.51-66, 2007-03

群馬県では平成17年度に初めて思春期ピアカウンセラーを養成し、高校生に対してピアエデュケーション活動を展開している。本研究では、思春期ピアカウンセラーのピアカウンセラー養成セミナー受講からピアエデュケーション活動過程での体験と自己の変化を明らかにするために、思春期ピアカウンセラーを対象としたグループインタビューを実施した。思春期ピアカウセラーは、傾聴能力と自己表現の上達など自己の変化を感じていた。そして、彼らはピアエデュケーション活動過程において仲間同士の信頼と協同の重要性を感じていた。また、この活動過程で得た傾聴能力は、臨地実習において患者とのコミュニケーションに役立っていた。