著者
江口 文陽
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ヒカゲシビレタケ菌糸体の生理学的特徴を明らかにした。また、ヒカゲシビレタケは、強迫性障害の治療に有用であることを明確にした。その作用機序の1つは脳内モノアミンの挙動へ与える影響であることを突き止めた。これらの結果は、催幻覚性きのこの基礎研究および強迫性障害をはじめとした神経系疾患治療の研究に貢献するものである。
著者
牧野 孝俊 栗田 佳江 池田 優子 杉原 喜代美
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.67-80, 2007-03

看護学生による高校生に対するピアエデュケーションの実践を振り返り、その効果を明らかにすることを目的とし、藤岡地域を中心とした2つの高等学校計3クラスの生徒92名を対象に、授業に対する態度と性に対するイメージ2項目についての無記名自己式質問紙調査をした。項目の内容は、授業に対する態度として「積極的な発言」、「人の意見を聞く」、「興味を持って参加する」、「相手の気持ちを考える」、「楽しく学ぶ」の5項目を、性に対するイメージとして「大切なもの」、「不潔なもの」、「すばらしいもの」、「めんどくさいもの」、「はずかしいもの」、「なくてはならいもの」、「いやらしいもの」、「自然なもの」の8項目である。その結果、授業に対する態度において2クラスのエデュケーション後に「人の意見を聞く」や「興味も持って参加する」、「楽しく学ぶ」の3項目で、有意な差が生じた。また性に対するイメージにおいて、3クラスともエデュケーション後に「大切なもの」「すばらしいもの」「なくてはならいもの」「自然なもの」の4項目で肯定的イメージを選択する学生に有意な差が生じた。
著者
眞保 智子
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究の調査の方法は予備調査を含めて30社へのインタビューと全国の特例子会社278社(回答数153社、回収率55.03%)に対するアンケートである。知的障害者の技能について、従来指摘されている仕事より、やや高度な仕事、すなわち判断を伴う仕事の一部をこなせることが明らかになった。能力開発の方法は、OJTが中心であるがoff-JTも行われていた。アンケート調査の結果から定着する労働者と早期に退職する労働者の分岐点が入社後3 年程度のところにあることが示唆されている。健常者が基幹的な仕事を担い、知的障害者が周辺業務を担う分業により、リーマンショック後においても助成金を加えることなく黒字である企業の割合は40%強存在した。
著者
板津 裕己 林 潔
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
no.16, pp.125-133, 2017-03-31

研究ノート・試論
著者
吉田 惠子
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 = Bulletin of Takasaki University of Health and Welfare (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
no.16, pp.91-105, 2017-03

音楽教育において,替え歌・パロディを表現活動としてどのように捉えるか,音楽教育における表現の諸問題を,以下の4点から論じたものである.1.日本における替え歌・パロディの歴史,2.昨今の教育現場における替え歌事件,3.パロディと表現の自由をめぐって-判例におけるパロディの解釈とフェアユース,4.文化としての替え歌・パロディ研究論文
著者
田邉 美佐子 神田 清子
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.13-23, 2008-03

本研究の目的は、発症後5年を経過した小児がんの子どもを持つ父親Aさんの語りから、Aさんの子どもとの闘病体験の意味を理解することである。研究方法は、面接によって語られた内容を逐語録にした後、当事者の視点からストーリーを記述し、Aさんに起こっている出来事の意味を解釈した。子どもの入院中、Aさんは家族の一体感を感じ、家族の生活を守ることを自らの主たる役割に据えて、主体的に生活調整を図り、子どもとの闘病体制を確立していた。退院後においては、治療に最善を尽くしたと納得することで、悪い事態への受け入れ準備をし、不確かな未来を案ずるのではなく、今を生きる子どもとの生活を大切にしていた。Aさんが小児がんの子どもとともに過ごした闘病体験は、辛いことのみでなく自己を成長させる意味のある体験として位置づけられていた。この価値観の獲得には、家族との一体化が大きな要因であり、看護支援の骨格には家族調整が重要であることが示唆された。
著者
宮崎 有紀子 芝山 江美子 大野 絢子 佐藤 久美子
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.25-37, 2008-03

【目的】室内の環境を清潔に保つことは、アレルギー疾患予防との関連はもとより、心身の健康を保つためにも重要である。我々は、人々が生活環境の清潔保持にどのように関心を寄せ、行動しているかを明らかにする目的で、群馬県内一般家庭の家事担当者を対象に、室内環境整備に関する関心度や清掃方法の知識習得、室内清掃や寝具管理の実状、アレルギーの有無などを調査し、その実態を明らかにした。【方法】家事担当者1,576人を対象として、清掃に関する意識や行動、居間、寝室、浴室、トイレなどの整備状況、寝具の種類と管理状況、室内塵埃中のダニに対する知識及びアレルギーの有無などに関する質問票を作成し、無記名自己記入式により調査した。調査結果は、SPSSによって統計処理した。【結果】調査結果は若年層(39歳以下)、中年層(40〜59歳)、高年層(60歳以上)の3グループに分けて分析した。自分を「きれい好き」と思う者は高年層に多く、清掃を行う理由は、各年齢層とも「清潔は気持ちかよいから」が多かった。掃除方法は「母から教わった」が各層とも過半数を占めたが、若年層では、「教わったことがない」が34.2%に上った。居間や寝室の整備状況では、項目によって高低の差がみられたものの各層ともかなりよく行われており、布団の目先乾燥、シーツの洗濯など寝具管理でも各層ともよく行われていた。大掃除は「年1回」が最も多く、「ほとんどしない」も10%以上みられた。ダニやダニカット製品に関する調査では、若年層が中、高年層と比較してより多くの知識を持っていた。【まとめ】本調査の結果から、ほとんどの対象者は室内環境整備への関心が高く、環境整備はかなりよく行われていることがわかった。若、中、高年層間に大きな差はみられなかったが、「専門的な指導を受けたことがない」との回答が多かったことから、整備行動の質を保つためには、今後室内環境整備の具体的方法を教育することが必要と思われる。
著者
松本 恭治
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

多くの地方都市で中心市街地の空洞化が進行している。既存マンションの足元の店舗も閉店・休業が多い。シャッター街、空き家群の中に新築の分譲マンションが建てられると市街地の再生を望む地域の人々は、これで活気が取り戻せるのではないかと淡い期待を持つ。しかし、期待を込められた新築マンションがたとえ完売しても、さして時間を置かずに低価格化し不良住宅化する懸念を抱かざるを得ない。一方目を郊外に転じると、市街化調整区域と隣接町村では官民が競って宅地造成と戸建て住宅建設に長く邁進してきた。大都市圏に比べて戸建ての敷地は広く価格も安い。住宅市場における分譲マンションの人気が低く、多数の住宅が賃貸住宅に転じている。20年経っても多くのマンションの修繕積立金は当初の低い金額に据え置いたままで大規模修繕を先送りしている。廃墟に等しいマンションも生まれた。群馬県では大都市圏より遅れて分譲マンション開発が進み、大都市圏より早く問題住宅化するが、個人資産の問題としてこれまで行政が積極的に対応したことはない。このような状況では健全な街づくりが困難である。そこで本研究は地方都市における分譲マンションが都市崩壊のキーワードとなるか、都市再生のキーワードとなるかを確認すべく実施した。願うべくは都市再生である。なお従来の分譲マンション研究の大半は大都市圏内で行われてきた。地方都市ではマンション戸数そのものが少ないだけでなくマンション研究者すら殆どいない。地方のマンション実態を明らかにすることはマンションと都市計画との関係を検証する機会となろう。群馬県における分譲マンションの状況について政府統計等の分析結果と現地確認等で得られた情報の分析結果を報告する。
著者
綾部 園子 平方 千裕
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

喫食者の咀嚼・嚥下機能に対応した粥を提供するために、各種副材料を添加した粥の性状とその変化を検討した。粥は、米・水・添加材料を加えて95℃60分真空調理した。10%粥は嚥下困難者用食品の許可基準に近く、ゼラチン、および一部のとろみ調整食品の添加は、遊離水分量、物性の変化を減じ、介護食用粥に適することが示唆された。冷凍保存後に解凍した粥の性状は、保存前の状態を保持していた。
著者
案田 順子 福島 祥夫 木村 憲洋 石坂 公俊 児玉 直樹
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

第1に「かなひろいテスト」の有効活用を目指し各母音位置による判別表を独自に作成、誤答および取りこぼしとの関係を明確にした。この判別表は早期発見と予防に新側面を齎した。第2に母音を均等に配し文脈の明解な「文字ひろいゲーム」を考案・作成した。第3にこのゲームを軽度認知症患者と健常者に実施、結果を分析し、文部省唱歌50曲をベースにした3~5拍の自立語の空所補入によるオリジナル脳リハビリテーションゲームを開発した。
著者
池田 優子 杉原 喜代美 栗田 佳江 牧野 孝俊 山下 博子 深沢 英子
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.169-183, 2007-03
被引用文献数
1

本研究の目的の第1は、ピアカウンセリングの歴史と活動を概括し、日本におけるピアカウンセリング・ピアエデュケーション活動に呼応して群馬県で初めて開催されたピアカウンセラー養成の概要を明らかにすることである。第2に、A高校で実施されたエデュケーションの効果について、受講した高校生からの評価及びピアカウンセラー自身による自己評価とピア活動の意味づけについて明らかにし、その継続性について考察する。質問紙調査の結果、エデュケーションは高校生から「面白く」「身近で」「分かりやすい」という評価を受けていた。学生達はエデュケーションを通して達成感と自信、更に仲間の力の素晴らしさを実感していた。そしてピア活動は自分を見つめなおし、成長させる場であることがわかった。またピアカウンセラー養成及びピアエデュケーションの効果的実施及び継続性を保証するものとして「地域におけるサポートネットワークの構築」「学生達のエンパワメントの持続」「大人達の継続的サポート体制」「エデュケーション側と高校側の連携」の必要性が示唆された。
著者
栗田 佳江 池田 優子 杉原 喜代美 牧野 孝俊
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.51-66, 2007-03

群馬県では平成17年度に初めて思春期ピアカウンセラーを養成し、高校生に対してピアエデュケーション活動を展開している。本研究では、思春期ピアカウンセラーのピアカウンセラー養成セミナー受講からピアエデュケーション活動過程での体験と自己の変化を明らかにするために、思春期ピアカウンセラーを対象としたグループインタビューを実施した。思春期ピアカウセラーは、傾聴能力と自己表現の上達など自己の変化を感じていた。そして、彼らはピアエデュケーション活動過程において仲間同士の信頼と協同の重要性を感じていた。また、この活動過程で得た傾聴能力は、臨地実習において患者とのコミュニケーションに役立っていた。
著者
清水 真紀
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

我が国の英語学習場面において音読活動は盛んに行われている。しかし、その学習者による音読パフォーマンスがいったいどのような言語技能と関連しているかということについてはこれまでも明らかにされてこなかった。コンポーネント・モデルの観点から、日本人英語学習者の音読パフォーマンスを検証したのが本研究である。この「コンポーネント・モデル」とは、リーディングが複数の互いに独立するコンポーネントから構成されるという仮定にたつものであり、また各コンポーネントが個別にどの程度リーディングに関わっているかを明らかにできるという点で有効なモデルである。本研究では、日本人大学生英語学習者を対象に、一連の課題およびテストを実施した(音読課題、音韻処理課題、正書法処理課題、リーディングスパンテスト、単語認知課題、語彙知識テスト、統語知識テスト、L2[第二言語]リーディング熟達度テスト)。そして、音読パフォーマンスとL2リーディング熟達度との関係、また音読パフォーマンスと各コンポーネントとの関係について相関分析を行った。結果は、音読パフォーマンスは、語彙知識、統語知識、単語認知の3つのコンポーネントとそれぞれ強い関係があり、さらにL2読解熟達度とも中程度の関係があることが示された。このことから、音読課題がこれまで考えられてきた以上に、学習者の語彙・文の意味に関する知識、あるいはそういった意味処理を反映したものであると言うことができる。また、単語認知は、特に音読パフォーマンスの発音・イントネーションに関連するものであり、したがってこのことが音読パフォーマンスの全体的な評価に影響を及ぼすとの可能性を示唆することができた。以上、本研究の結果が一部、第二言語習得のメカニズムの解明に、そしてまた効果的な英語学習指導法の開発につながっていくことが期待される。
著者
木村 典代
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

【目的】これまでに紫外線暴露による血中β-カロテン濃度の変化及び血中抗酸化能へ及ぼす影響については明らかにされていない。そこで紫外線暴露量の多いスポーツ競技者と少ない競技者ではUVBによって惹起されるDNA酸化傷害の程度が異なるか否かと血中抗酸化ビタミン濃度に変化がみられるかどうかを検討した。【対象・方法】研究協力の同意が得られた高校女子ソフトボール部員12名、高校女子バレーボール部員17名、コントロール群として大学女子学生11名を対象とした。平成18年夏期に早朝空腹時採血を行い、ヒトリンパ球を用いたCBMN assayを行った。HPLC法により血漿β-カロテン、アスコルビン酸、α-トコフェロール濃度を測定した。採血前の1週間は抗酸化ビタミンの摂取量調査、身体活動量および日常の紫外線暴露量を計測した。【結果および考察】自然誘発性の小核出現率はいずれの群でも低く、群間の差は見られなかったが、UVB照射を行ったリンパ球においては、バレーボール部(21.5±11.0%)がコントロール群(7.8±5.4%、p<0.01)やソフトボール部(9.5±5.7%、p<0.05)よりも有意に高かった。両運動群で身体活動量が同等であったにもかかわらず、バレーボール部のみ小核出現率がコントロール群よりも高値を示した原因の1つとして、α-トコフェロール濃度がコントロール群よりも有意に低値を示していたこと(p<0.05)が関係しているかもしれない。しかしながら、α-トコフェロール濃度と小核出現率の間には相関関係は認められず、さらに、β-カロテンの摂取量や血中濃度にも3群間で差が認められなかった。従って、ソフトボール部のように日常的に紫外線に暴露されている場合には、これらの抗酸化ビタミン以外の紫外線に対する何らかの耐性が高まっている可能性が考えられた。