著者
丹地 実子 渡遺 千里 松村 優花 代野 あやめ 木村 美智子
出版者
ヒューマンケア研究学会
雑誌
ヒューマンケア研究学会学術集会 プログラム/抄録集 (ISSN:2187283X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.18, 2016-10

看護学生にとって臨地実習とは、学内での学習した看護の知識・技術を実践する能力を習得する重要な場であるとともに、身についている生活習慣が崩れることにより、様々なストレス反応が現れる。我々も、実際に臨地実習を経験したなかで、体調を崩などの身体的変化が現れる者、憂欝な気持ちになるといった心理的変化が生じる者などストレスの感じ方や、ストレス反応が個々で異なると感じた。
著者
濱西 誠司
出版者
ヒューマンケア研究学会
雑誌
ヒューマンケア研究学会誌 = The Journal of Japanese Society of Human caring Research (ISSN:21872813)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.59-61, 2014-03-31

月経前に繰り返し生じる精神的あるいは身体的症状をP M S(月経前症候群)といい、特に精神症状が強く生じる重症例はP M D D(月経前気分不快障害)と呼ばれている。P M S / P M D Dは「人に対して不機嫌な態度をとる」「人にあたる」などの攻撃的な行動がみられることも多く、家庭や職場における対人関係に支障をきたすことがある。近年、精神症状に対してはS S R Iの有効性が確立してきており、身体症状に対しては漢方療法や低用量ピルが選択されることもある。「2012年P M S(月経前症候群)に関する男女の意識調査」(小林製薬)によると、20代以上の女性85.9%がP M S を経験していると報告されている。また、90%以上の女性がP M Sを経験したことがあるという報告もあり、P M Sは多くの女性に共通した問題であることがわかる。しかし、P M S は多くの女性が経験し、月経発来とともに症状が軽減ないし消失するため、疾病としての認識は低く、日常生活や社会生活が困難であるにも関わらず医療機関を受診していない女性も多数存在し、P M S / P M D Dの潜在的な患者は約18万人に及ぶと推定されている。また、同調査では働く女性の約1割がP M SあるいはP M D Dの症状のために仕事を休むことがあると報告されており、P M S / P M D D に対する支援は労働衛生の観点からも重要と考えられる。そこで本研究では、若年女性のP M S / P M D Dの重症度や治療に関する知識およびニーズに関する調査を実施し、P M S / P M D D に関する支援法を開発するための基礎的な知見を得ることを主な研究目的とする。
著者
江口 実希 國方 弘子
出版者
ヒューマンケア研究学会
雑誌
ヒューマンケア研究学会誌 = Journal of Japanese Society of Human Caring Research (ISSN:21872813)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.17-26, 2015-03-31

本研究の目的は、看護師のnegative な気分に影響を与える認知プロセスを明らかにすることである。看護師を対象に自記式質問紙調査を行い、回答に欠損値がない381 名のデータを分析に用いた。認知モデルとして「看護師のスキーマ、推論の誤り、自動思考、negative な気分の因果モデル」を措定し、共分散構造分析を行った。分析の結果、モデルのデータへの適合度は良好であり(CFI:0.958、RMSEA:0.041)、スキーマから推論の誤りに向うパス係数は0.542、推論の誤りから否定的自動思考は0.533、推論の誤りから肯定的自動思考は-0.217、否定的自動思考からnegative な気分へは0.738、肯定的自動思考からnegativeな気分へは-0.155 であった。以上よりnegative な気分は、スキーマ、推論の誤り、自動思考のプロセスを経て形成されることが示唆された。
著者
古谷 ミチヨ
出版者
ヒューマンケア研究学会
雑誌
ヒューマンケア研究学会誌 (ISSN:21872813)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.55-64, 2014

本研究の目的は、我が国における「性同一性障害当事者の性同一性」の概念分析を行って当事者への包括的支援の重要性に言及し、実践と研究における本概念の活用性を検討することである。便宜的に抽出された看護学、医学、心理学、社会学領域の文献・資料25 件を対象に、Walker & Avant の分析手法を用いて質的に分析した。その結果、本概念の定義は見当たらず、本分析によって二つの属性、三つの先行要件、三つの帰結が導き出された。分析結果から本概念を、「性別違和感が緩和された肯定的・客観的な自己意識と、自認する性で紡ぐ他者との相互関係において経験される性の共有感とが統合された感覚」と定義した。本研究によって性同一性障害当事者への包括的支援の重要性が示され、本概念は当事者の性同一性形成に向けた実践と研究への活用が可能であると考えられた。今後は当事者アイデンティティにまつわる研究を進行させ、本概念の充実と洗練を図る必要がある。
著者
増尾 美帆
出版者
ヒューマンケア研究学会
雑誌
ヒューマンケア研究学会学術集会 プログラム/抄録集 (ISSN:2187283X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.19-19, 2014-10

青年海外協力隊のイメージは、開発途上国の人々の生活に少しでも役に立ちたい、人々を救いたい等の熱い気持ちを持つ人が参加していると捉えられているのが一般的であると考える。しかし私の場合には、南米に行きたい、日本以外で看護師として働いてみたいということを友人に話していたら、青年海外協力隊を薦められ、青年海外協力隊とは何かということもあまり知らずに応募した。本当に安易な動機から参加した青年海外協力隊であった。派遣前の訓練時に派遣国の言語、青年海外協力隊事業のこと、政府開発援助のこと等を学んだ。青年海外協力隊の目的を「開発途上国の新しい国づくりに貢献する」と習ったときに、私にとってはあまりにも大きな目的で達成するための方法論がでてこなかった。ただ、看護師として派遣される以上、ボランティアとはいえ看護師としての責務を果たすことが大切であると考え活動を行った。その活動の一部を紹介し、海外や青年海外協力隊に興味がある人の少しでも参考になればとよいと考え報告する。
著者
井田 歩美 猪下 光
出版者
ヒューマンケア研究学会
雑誌
ヒューマンケア研究学会誌 (ISSN:21872813)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.7-13, 2014

本研究の目的は、ソーシャルメディア上における1 歳未満の児をもつ母親の育児に関する発言状況から利用実態を明らかにし、今後の育児支援に向けた研究の糸口を見出すことである。分析対象は株式会社 ベネッセコーポレーション『ウィメンズパーク』内「0 ~ 6 カ月ママの部屋」「7 ~ 11 カ月ママの部屋」での母親の発言である。1 年間34 万件超の発言を分析した結果、母親達がソーシャルメディアを利用する曜日は平日が多く、母親は児の月齢、性別、出生順位などの自己紹介から発言を始め、育児への疑問や不安、思いや本音などを語っていた。母親にとってのソーシャルメディアは、育児情報の収集や意見交換などに利用され、新たなコミュニティとしての機能を果たしていることが明らかになった。 今後、ソーシャルメディア上の母親の発言を詳細に分析することは、新たな育児支援策を検討する上で有益であると示唆された。