著者
猪下 光 内海 滉
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.4_17-4_23, 1992-09-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
26

1) 裸眼への光刺激の人体に与える影響を色覚正常な健康成人女性15名の皮表における微小循環血流量の変化にて観察した2) 光刺激の強度を,黄色光刺激の100ルクスの場合と,同じく600ルクスの場合とで比較すると,前者は後者に比して,その変動は大であった。3) 色彩別光刺激による血流変化量は,刺激となる光の波長に関係し,赤・黄・緑・青の順であった。4) 顕在性不安尺度(MAS)を用いて不安のレベルより観察すると,同一色彩,同一強度による光刺激の負荷においても血流変化量は異なり,高不安群は低不安群に比して,緑を除き大なる変動を示していた。
著者
井田 歩美 猪下 光
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.471-478, 2014-07

本研究の目的は,ソーシャルメディア上の発言内容を分析することで乳児をもつ母親の予防接種に対する不安・疑問の詳細を明らかにすることである。研究対象は,株式会社ベネッセコーポレーションが管理する口コミサイトに2011年4月から2012年3月までに書き込まれた乳児をもつ母親の発言42,325件とした。発言内容を「予防接種」に着目して係り受け頻度解析を行った結果,係り先単語には「受ける」「行く」「予約」「予定」という単語が高頻度に出現し,「受ける+ない」「受ける+?」「考える」「悩む」「相談」など困惑している状況を表す単語の出現が目立った。一方,係り元単語には「肺炎球菌」「ヒブ」「インフルエンザ」という具体的なワクチンの種類に関する単語が高頻度に出現した。現在,ワクチンデビューは生後2カ月からとの啓発がなされているが,乳児の母親は我が子に予防接種を受けさせるべきか,受ける場合には何をいつからどの順序で受けるのかなど多くの自己決定を迫られている。その際,母親は同じ月齢の子どもをもつ母親のアドバイスを求め,ソーシャルメディアを利用していることが明らかになった。
著者
井田 歩美 猪下 光
出版者
ヒューマンケア研究学会
雑誌
ヒューマンケア研究学会誌 (ISSN:21872813)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.7-13, 2014

本研究の目的は、ソーシャルメディア上における1 歳未満の児をもつ母親の育児に関する発言状況から利用実態を明らかにし、今後の育児支援に向けた研究の糸口を見出すことである。分析対象は株式会社 ベネッセコーポレーション『ウィメンズパーク』内「0 ~ 6 カ月ママの部屋」「7 ~ 11 カ月ママの部屋」での母親の発言である。1 年間34 万件超の発言を分析した結果、母親達がソーシャルメディアを利用する曜日は平日が多く、母親は児の月齢、性別、出生順位などの自己紹介から発言を始め、育児への疑問や不安、思いや本音などを語っていた。母親にとってのソーシャルメディアは、育児情報の収集や意見交換などに利用され、新たなコミュニティとしての機能を果たしていることが明らかになった。 今後、ソーシャルメディア上の母親の発言を詳細に分析することは、新たな育児支援策を検討する上で有益であると示唆された。
著者
猪下 光
出版者
岡山大学医療技術短期大学部
雑誌
岡山大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:09174494)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.69-76, 1997-09-10
被引用文献数
2

本研究の目的は,臨床看護婦の離職の実態と離職願望およびその背景因子との関連性について実証分析を行うことである。2箇所の地方都市の公立病院で働く看護婦582名を対象として,離職と転職の意志と理由ならびに個人要因と職場要因についての調査を実施した。その結果,次のような知見を得た。 1) 地方都市の大規模公立病院で働く看護婦の8割が卒業後ずっと同じ病院で勤務していた。 2) 実際の離・転職者は調査対象者の約15%であり,その7割を20代が占めた。 3) 20歳代の離職には2つの理由が見られた。一つは結婚・出産および家族の世話による離職であった。職業と家庭の両立は困難と考えていた。もう一つは未婚の看護婦による他の看護職への転職であった。 4) 約6割が離職願望をもっていた。離職願望の背景として,仕事要因と個人要因および年齢的な特徴が見られた。すなわち,20代では自分の適性や能力への不安。30歳代では子育てと労働条件の負担。40歳代以降では健康上の理由であった。しかし給料との関連は低かった。 5) しかし地方都市の公立病院においては離職者は減少傾向にあり,就労形態は「若年短期未婚型」より「中高年継続就労型」へと以降しているものと考えられた。The purporse of this study is finding existing situation and those reasons of nurses who would resign or desired to resign from their jobs. A survey was conducted to 582 nurses in two public hospitals located in the province. The following results were obtained. 1. 15% of all the target nurses would segign soon. 70% of which was in age of twenties. 2. There were two main reasons of resignation among nurses in age of twenties. One was getting married, having child or family care ; they felt it is difficult to continue both their working life and family one. The other was they were planning to be qualified for another nursing professional. 3. 60% of all the target nurses desired to resign from their jobs. 4. The reason was different by age group. Each had own reason ; Anxieties for their aptitude and ability as nurses in the twentie, responsibility for their children and family menbers in the thirties, and anxieties for health in the forties and fifties. But amont of salaries did not affect their disire.
著者
山下 早苗 猪下 光
出版者
一般社団法人日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.7-15, 2005-09-05
被引用文献数
2

外来通院している小児がん患者の親15ケースを対象に、Mishelの不確実性理論を基盤に、子どもへの告知に対する親の意向を明らかにし、告知に対する意向を評価する認知の過程で生じている不確かさについて分析した。親の意向は「告知するつもりはない」「聞いてきたら隠さないが,敢えて告知するつもりはない」「告知せざるを得ないが踏ん切りがつかない」「隠す必要はない」であった。親は子どもへ告知するかしないかを決定するにあたって、まず「告知の必要性」や「告知の条件」について不確かさを生じており、多くの親が、自己管理の必要性から告知を肯定的に評価するのは、子どもの巣立ちの時期であった。告知する必要があると評価した親は、「告知の方法」や「告知後のサポート」、「家族の意向」や「医療者の意向」について不確かさを生じていたが、告知について気兼ねなく相談できる機会や場、人材の不足により、子どもへの告知を躊躇していた。