著者
鳥山 和宏 八木 俊路朗 高成 啓介 小野 昌史 筑紫 聡 西田 佳弘 亀井 譲
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.196E-202E, 2014 (Released:2014-10-01)

「創傷」4巻4号収載の原著につき,著者のご所属に誤りがございましたので訂正させていただきます。筑紫聡氏・西田佳弘氏のご所属誤 : 名古屋大学医学部形成外科 → 正 : 名古屋大学医学部整形外科
著者
綾部 忍 三木 綾子 永松 正代 元村 尚嗣
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.27-33, 2014 (Released:2014-01-01)
参考文献数
8

基底細胞癌 (basal cell carcinoma : 以下,BCC) は,外鼻にみられる悪性腫瘍では最も多く,局所破壊性は強いが転移をきたすことはきわめてまれであり,腫瘍の完全切除により根治が期待できる。 鼻部皮膚欠損創の再建には周囲からの局所皮弁が選択されることが多いが,顔面に新たな瘢痕が形成されること,デザインに熟練を要することなどが問題となる。 今回われわれは,鼻部BCC切除後の皮膚欠損創 3 例に対し,2007年にHanらが報告した dermis graft で再建を行った。この方法は分層植皮片を脱上皮したものを移植し,周囲からの上皮化させるというものである。 色調・質感の点で良好な結果を得ることができたが,殿部という荷重部が採取部となることが問題であると考え,鼠径部から採取するよう修正した。 われわれの方法は手技が簡便で非荷重部から採取し,顔面に新たな瘢痕を形成することがないため,鼻部 BCC 切除後の再建方法として有用であると思われた。
著者
松山 周世 伊東 大
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.109-117, 2022 (Released:2022-07-01)
参考文献数
9

遊離組織移植後の血行動態をモニタリングし,血行動態を早期に判断し,移植組織を救済することは手術の成功率を高めるうえで重要である。術後のモニタリングには種々の方法が報告されているが,統一された血流の評価方法は確立されていない。今回われわれは,指装着型近赤外線組織オキシメータを用いて術後の移植組織のモニタリングを行い,その有用性を検討した。集積したデータでは,組織酸素飽和度(rSO2)が 30% 以上かつ総ヘモグロビン指数(T-HbI)が 0.48 以下であれば移植組織は全例生着していた。しかし,生着した移植組織と健側とでは,測定値に有意差がみられるタイムポイントも存在していた。rSO2とT-HbIの明確なカットオフ値はないが,手技が簡便,非侵襲的,再現性が高いといったさまざまな利点があり,臨床所見での評価に難渋する症例に対して,補助的なモニタリングとして有用な方法の一つと考えられる。
著者
古川 雅英 佐藤 精一 松本 健吾 澁谷 博美
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.129-138, 2012 (Released:2012-07-01)
参考文献数
13

足関節より近位での切断を大切断といい, 重症下肢虚血 (critical limb ischemia : CLI) の治療において, 救命や除痛, 再建不能などの理由で救肢ができず, 大切断を余儀なくされることがある。しかし, 病状によってはその大切断でさえ安全ではない。私たちは当科で大切断を目的に血行再建術を施行した 5 例について検討した。その結果, 全例再手術することなく創治癒していた。また 4 年以上の経過観察期間において死亡例は 1 例であり, いわゆる重症下肢虚血における大切断後の予後よりもよかった。大切断が必要な症例においても切断部位の血流精査を行い, 切断に耐えられる血行再建術を施行することは, 生命予後の改善においても有用であると思われた。
著者
川上 善久 大山 拓人 高木 誠司 大慈弥 裕之
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.55-64, 2016 (Released:2016-04-01)
参考文献数
20

植皮術は比較的簡便に,さまざまな創を閉創することが可能な優れた手術である。近年,陰圧閉鎖療法 ( NPWT ),塩基性線維芽細胞増殖因子 ( bFGF ) といった新しい創傷治癒を促進させる機器や薬剤が開発されており,従来の適応をこえて植皮術を安全に行うことが可能となった。それらの有用性を確認する目的で,当科における 214 例の植皮術について検討した。術前に NPWT や bFGF を使用したかどうか,また,植皮片の固定に NPWT を使用したかどうかにつき,植皮の生着率を比較した。術前の wound bed preparation については,NPWT と bFGF を併用した群において有意に植皮の生着率が高かった。また,植皮片の固定を NPWT で行った群は,それ以外の群に比較して植皮の生着率が有意に高かった。しかし,NPWT や bFGF は創傷を万能に治癒させる機器・薬剤ではないため,適応を正確に判断することが重要である。
著者
恋水 諄源
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.133-140, 2021 (Released:2021-07-01)
参考文献数
26

足病診療においては,「治る見込みが薄くても,足は切断しないで欲しい」という患者の強い希望にしばしば遭遇する。その希望が医学的に実現困難であったとしても,医療者が現実的な治療法を強制することはできず,医療者は本人の意向と医学的適応の間で板挟みになる。このような状況をどのように受け止め解決していくべきだろうか。 本稿では,仮想事例として「少しでも長く足を残す治療をして欲しい」と希望する虚血肢患者を取り上げ,生命倫理四原則に沿った倫理的検討を行う。本事例では,無危害原則と善行原則の両方が自律尊重原則と対立し,原則を適応するだけでは結論に至らない。より実践的な方策を見出すには,患者の価値観を繰り返し問うとともに医療者の価値観を問い直し,真に患者の Well-being を中心に置いた選択肢を考える必要がある。加えて,足病治療に関するエビデンスの蓄積,社会制度設計に貢献するための長期的・巨視的視野が必要となる。
著者
李 有姫 武井 明日香 岡田 雅 上田 晃一
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.115-120, 2020 (Released:2020-07-01)
参考文献数
11

リストカットによる瘢痕は,度重なる受傷により広範囲の瘢痕となる。精神安定後も,瘢痕に対する社会的なマイナスイメージのために精神的苦痛が継続するため治療が望ましい。色調や質感の再現のために隣接組織による再建が望ましく,ティッシュ・エキスパンダー(以下TEとする)は手術法の選択肢の一つと考えられる。上肢の皮膚伸展は困難であるが,われわれの考案したラムダ切開を用いることで伸展皮膚を効率的に展開でき,最大限に利用することができる。そこで当科で治療したリストカット後瘢痕の5症例,6部位について検討した。筋膜上にTEを挿入し,全症例に1~4ヵ所のラムダ切開を加えた。TE挿入による合併症として血腫,TEの破損・露出・移動などを認めたが,ラムダ切開を加えたことによる血流障害等の合併症は認めなかった。TEで治療した傷は術後広がりやすい印象であり,十分なfull expansionの期間が必要であると考える。