著者
木谷 哲 吉村 真奈 新保 宗史 山田 崇裕 本田 憲業
出版者
一般社団法人 日本放射線腫瘍学会
雑誌
The Journal of JASTRO (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.155-158, 2009-12-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
6

今回われわれは,疼痛緩和目的に,塩化ストロンチウム-89(Sr-89)を投与した後に大腿骨頸部病的骨折を受傷し,投与81日後に大腿骨頭置換術を施行した乳癌多発骨転移の症例を経験したので,報告する.手術施行にあたっては,事前に放射線量を推定し,Sr-89を含む骨からの被ばくを減らすため,十分な注意を払った.術前に推定した線量ならびに,線量計を用いて計測した線量は,ともに線量限度に比べ,低値であった.今回のわれわれの報告は,今後の同様の症例に対し,参考になる報告であると考えられる.
著者
荒木 不次男
出版者
一般社団法人 日本放射線腫瘍学会
雑誌
The Journal of JASTRO (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.53-63, 2005 (Released:2008-02-08)
参考文献数
17
被引用文献数
2

本研究では, 実際的な光子ビームの詳細な特性, すなわち線量分布, エネルギースペクトル, 角度分布, フルエンス分布, 平均エネルギー分布の分析について報告する. この分析は, エネルギーと照射野サイズの違いによる光子, 一次光子, 混入電子と陽電子の総合的な情報を含んでいる. Varian Clinac 2100C加速器の4MVと10MV-X線のシミュレーションにはEGSnrc/BEAMnrcモンテカルロコードを用いた. 光子ビームのシミュレーションにおいて, 粒子が存在する場所あるいは粒子が相互作用を生じる場所を含む各粒子のすべてのヒストリーに関する情報はPhase space filesに保存される. 各粒子の線量分布 (深部量曲線と線量プロファイル) の計算には保存されたPhase space filesを用いた. ファントム表面における各粒子成分のエネルギースペクトル, 角度分布, フルエンス分布, 平均エネルギー分布の分析にもPhase space filesを入力データとして繰り返し使用した. シミュレーションした光子ビームの精度は実測の線量分布との比較から検証した. モンテカルロシミュレーションと実測の深部線量曲線は, 10MVの照射野40×40cm2のビルドアップ領域を除いてすべてのビームで良い一致であった. 実測の深部量曲線の算出においては, 測定した電離量曲線を水/空気制限衝突質量阻止能比を用いて変換した. 4MVでの混入荷電粒子による表面線量は, 照射野10×10cm2と40×40cm2でそれぞれ最大線量の6%と26%であった. 同様に, 10MVではそれぞれ7%と23%であった. しかしながら, ファントム表面における混入荷電粒子のフルエンスは, すべての場合において入射光子フルエンスの1%未満に過ぎなかった.
著者
広田 佐栄子 清水 雅史 久保田 智之 内田 伸恵 平塚 純一 高田 康弘 宮脇 大輔 辻野 佳世子 金岡 徳芳 泉山 一隆 祖父江 慶太郎
出版者
一般社団法人 日本放射線腫瘍学会
雑誌
The Journal of JASTRO (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.109-116, 2007-06-25 (Released:2007-08-31)
参考文献数
19

【目的】乳癌の胸壁または残存乳腺に対する放射線治療後の肺有害事象とアレルギー素因との関連性を探る. 【対象と方法】当院および協力医療機関 8 施設において, 1980年12月から2005年10月までの間の任意の期間において連続して乳癌の胸壁または残存乳腺に対する放射線治療を施行した1,173症例1,177乳房を解析対象とした. アレルギー素因としては, 喘息, アレルギー性鼻炎, アトピー性皮膚炎, 接触性皮膚炎, 食物または薬剤過敏の履歴があることを定義とした(全症例のうち111例が有素因例). この111例のうち, 6 カ月以上経過観察できたか, それまでに肺有害事象を惹起した症例は85例であり, これをA群(アレルギー素因例)とした. また, 当院の症例でアレルギー素因の有無にかかわらず, 6 カ月以上経過が観察できたか, それまでに肺有害事象を惹起した症例は113例であったが, これをB群(アレルギー素因を問わない群)とし, B群のうち, アレルギー素因のないもの92例をC群(非アレルギー素因群)とした. 【結果】NCI-CTCAE(v.3.0)のGrade 3 以上の肺有害事象を呈したのはA群8.2%(7 例), B群2.7%(3 例), C群1.1%(1 例)であり, A群とC群の間に有意差を認めた(p = 0.0293). A群の 7 例のうちclassical pneumonitis(炎症が照射野内にほぼ一致するもの)が 3 例で, sporadic pneumonitis(炎症が照射野外にも広がるもの)は 4 例であった. 当院において, 組織学的に確認されたsporadic pneumonitisであるところの特発性器質化肺炎(COP)の 1 例と慢性好酸球性肺炎(CEP)の 1 例を経験したが, どちらもアレルギー素因を有していた. これらの詳細な臨床経過は本文内に記載した. 【結語】アレルギー素因を有することは, 乳癌の胸壁または残存乳腺に対する放射線治療後の肺有害事象の危険因子のひとつである可能性が示唆された.
著者
西村 哲夫 山下 孝 広川 裕 井上 武宏 築山 巌 渋谷 均
出版者
一般社団法人 日本放射線腫瘍学会
雑誌
日本放射線腫瘍学会誌 (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.35-38, 2006

【目的】JASTRO小線源治療部会では,わが国では初めての小線源治療の事故に関するアンケート調査を行ったのでその結果を報告する.<br>【対象・方法】密封小線源を保有する国内の254施設に対して,2002年 9 月から2004年 8 月までの 2 年間に発生または判明した事例の報告を依頼した.<br>【結果】回答は224施設からあり,事故の事例は13 施設より14 件の報告があった.内容は1)分割照射の1 回線量が処方線量の50%を超える過剰照射または50%未満の過少照射:6 例,2)アプリケータ装着後の装置のトラブルにより治療開始ができない事例:3 件,3)線源移送のトラブル:2 件(いずれもコバルトラルス),4)その他 3 例(作業者の被曝,一時装着低線量率線源の体内残留,操作エラー)であった.<br>【結論】今回わが国で初めて小線源治療に関する事故の調査を行い14件の報告があった.その原因は治療計画や操作のエラーによるものが多く,事故の発生予防の上で示唆に富むものであった.今後同様の調査が継続して行われることが望まれる.
著者
馬場 祐之 西村 龍一 水上 直久 村上 龍次 森下 昭治 冨高 悦司 野津手 志保 村田 友佳 山下 康行
出版者
一般社団法人 日本放射線腫瘍学会
雑誌
日本放射線腫瘍学会誌 (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.171-175, 2003

【目的】肺野の小結節の線量分布計算における散乱補正の有用性をファントムモデルにより検証する.<BR>【方法】肺野の結節を摸したファントムモデル (1×1×0.7cmおよび3×35×5cm) を作成し, 胸部ファントムに装着して撮影したCTデータをもとに線量分布計算装置にて4MVX線および10MvX線での線量分布をsuperposidon法 (散乱線に対する密度補正あり) および不均質補正ありのClarkson法で算出した. 同じファントムモデルでMarcuschamberおよびフィルム法で実際に線量を測定し, superposition法およびClarkson法で算出された照射野中心での推定線量と実測値の差異とX線のエネルギーおよび結節の大きさ毎に検討した. また, 線量分布図および結節平均線量についても大小の結節についてsuperposidon法およびClarkson法で各々算出し, 両者の比較を行って線量分布および結節平均線量の線量計算方法による差異を検討した.<BR>【結果】照射野中心推定線量と線量計よる実測線量との比較ではsuperposition法での計算結果と実測線量の差は5%以下と僅かであったのに対して, Clarkson法では実測線曇に対して小結節において7%(4MVX線) および32%(10MVX線), 大結節でも6%<BR>結簸の平均線量の比較ではCI訂kson法はsupeosition法での推定線量に比較して小結節では29%(4MVX線) および48%(10MVX線), 大結節でも12%(4MVX線) および13%(10MVX線) の過大線量評価 (いずれもp<0.001) を認めた.(4MVX線) および7%(10MVX線) の過大線量評価を認めた.<BR>【結語】肺野の小結節におけるsuperposition法による計算結果が信頼性の高いものであることが確認された. 特に10MVX線で1cm程度の肺野小結節に照射する場合には従来一般的に用いられている散乱線に対する密度補正を行わないclarkson法では実測値に対して32%の線量過大評価をしており, 注意が必要と思われた.
著者
小泉 雅彦 西山 謹司 山崎 秀哉 長谷川 義尚
出版者
一般社団法人 日本放射線腫瘍学会
雑誌
日本放射線腫瘍学会誌 (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.157-163, 2004

頭頸部腫瘍にstereotactic radiotberapy (SRT), conformal radiotherapy (CRT) を用いた症例に対し, 唾液腺シンチを使って定量的評価をし, 唾液腺障害の軽減の効果について検討した. 対象は大阪府立成人病センターにて1999年9月-2002年9月にSRT, CRTを行った上咽頭癌7例, 中咽頭 (扁桃) 癌3例である. 年齢は17-71歳 (中間値48歳), 男性7人, 女性3人で, 左右全耳下腺へ約40Gyの通常外照射後, 30-36Gyのブースト照射を健側耳下腺を可及的に照射野から除外したSRTまたはCRTで行った. 放射線治療後8ヶ月以降に耳下腺シンチグラフィーを行い, 摂取率, 分泌率を測定した. 放射線治療前の頭頸部腫瘍患者18例をコントロールとして測定して, 平均摂取率, 分泌率は, それぞれ0.40%, 40%であった. 対象8例の耳下腺50%体積線量 (D50) は健側44.3±3.8 (39.2-49.1, 中央値44.6) Gy, 患側58.8±8.6 (47.3-70.5, 中央値60.8) Gyとなった. 放射線治療後の平均摂取率は健側0.44%, 患側0.47%と, 両側とも変化しなかった. 平均分泌率は健側11.0%, 患測39%であり, 両側とも低下したが, 患側が健側より有意に低くなった (p=0,023). D50と摂取率には相関はなかったが, 分泌率は負の相関を示した.D50が40Gyを超えても55Gy未満に留まった14耳下腺では分泌率は平均10%程度あり, 55Gy以上の6耳下腺で平均2%と著しい低下を示したのに対し分泌率をより保持していた. 頭頸部腫瘍に対しブースト照射としてSRT・CRTを用い耳下腺への照射線室を低減させ, 健側の唾液線分泌障害を若干軽減できた.
著者
渡邉 祐子 末藤 大明 小島 和行 辻 千代子 服部 睦行 江藤 英博 鈴木 弦 淡河 恵津世 早渕 尚文
出版者
一般社団法人 日本放射線腫瘍学会
雑誌
The Journal of JASTRO (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.83-86, 2009-06-25 (Released:2009-09-12)
参考文献数
7

前立腺癌に対するI-125密封小線源治療を施行後,右室内に線源が迷入した症例を経験した.本症例は胸部写真,単純CTで冠動脈への迷入が否定できず,64列MDCTを用いた冠動脈CTを撮影することにより,部位診断に至った.今後,密封小線源療法を受ける患者が飛躍的に増加すると思われ,さまざまな部位への線源迷入が予想される.線源迷入の位置確認に際して,単純写真で左下肺野レベルに迷入線源を認め,単純CTで冠動脈への迷入が疑われるようであれば,心電図同期下で64列以上のMDCTを用い,冠動脈を評価することが重要と考えられる.
著者
中村 光宏 成田 雄一郎 宮部 結城 松尾 幸憲 溝脇 尚志 則久 佳毅 高山 賢二 永田 靖 平岡 眞寛
出版者
一般社団法人 日本放射線腫瘍学会
雑誌
The Journal of JASTRO (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.263-271, 2007-12-25 (Released:2008-03-28)
参考文献数
27

【目的】本研究の目的は,四次元イメージング手法の 1 つで,放射線治療分野におけるターゲット動体評価で期待されている 4D-CTの物理学的評価を行うことである.【方法】4D-CTは外部から取得した撮影対象の呼吸信号と各寝台位置で連続的に取得したCT画像を関連付けることで構成される.呼吸信号はRPMシステム(Varian Medical Systems, Inc., Palo Alto, CA, USA)で取得し,模擬腫瘍ファントムを周期的に運動させるために三次元動体ファントムシステムを使用した.4D-CT画像解析を行うためのファントム実験を行い,画像上の体積,重心,形状及び平均CT値を測定した.CT画像上で模擬腫瘍ファントムを自動的に抽出するために,CT値で閾値を設定した.【結果】三次元動体ファントムシステムの周期やCT閾値をさまざまに変化させて解析を行った結果,画像上で測定される模擬腫瘍ファントムの体積や平均CT値はこれらのパラメータに大きく依存したが,重心変位や球形度への影響は非常に小さかった.4D-CT画像には,位相ずれが含まれていたが,そのずれは3D-CT画像よりも大きく軽減されていた.【結論】 4D-CT画像解析を行うためのファントム実験を行った.4D-CTを用いることで,放射線治療計画時における臓器の輪郭入力がより正確にできるだけでなく,これらの移動範囲も定量的に評価できるようになるため,その臨床的意義は大きい.