著者
安陪 等思 淡河 喜雄 上野 隆登 堀田 まり子 林 明宏 吉田 一郎 早渕 尚文 佐田 通夫
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.193-199, 2002-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
9
被引用文献数
1

【目的】医師となる過程に医療人としての自覚を認識するための明確な通過儀式がなかったので, これを白衣授与式として行った. 学生に対するアンケート調査を元に評価したので報告する.【方法】臨床研修として患者に初めて直に接する直前の2001年1月11日に第4学年112人を対象に白衣授与式を行った. 白衣授与式は学長, 医学部長, 病院長の出席を得て, 臨床の場にこれから第一歩を踏み出す学生に白衣と顔写真付きの名札を授与し, 医師を目指す医学生としての心構えを新らたにする目的で行われた. 式の翌日にアンケート調査を行い, 学生の意識調査を行った. 調査項目は医療に携わる責任感, 患者さんへの優しさ, 愛校心, 白衣に対する愛着, プロフェッショナルとしての意識, 医師としての使命感, 勉学する意欲, 厳粛な気持ち, 倫理的・道徳的生活を実行する意欲の9項目である. また, 教職員, 学生の聞き取り調査を加えた.【結果】アンケート調査のすべての項目において意識の向上が認められた (P<.0001). 約8割の学生が来年も引き続き行うことに賛意を示した. 確立した儀式の様式がないことに多少の問題もあったが, 意義深い試みであったとの評価を得た. 一方, 進級の決定と異なった時期であったので違和感をもった学生が多かった.【結論】不慣れな点もあったが教職員, 医学生ともに意義深い通過儀式としておおむね肯定的な意見が得られた. 医師としての専門職意識を育成するひとつの方法として有効な手段であると思われた. 今後は効果の継続性の有無, 意義, 利点や欠点について教職員と学生を含めた検討, 考察を行い, バランス感覚の取れた通過儀式として修正を加えたい.
著者
中村 綾子 大崎 進 早渕 尚文
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.343-352, 2001-08-15 (Released:2011-03-14)
参考文献数
12
被引用文献数
3 2

2000年6月から11月までの福岡県久留米市中央浄化センターの放流水と下水汚泥中の99mTc, 123I, 67Ga, 201Tl, 111Inと131Iの放射能濃度を測定した。あわせて, 処理区域内の四つの医療機関に対して, 患者に投与した放射性医薬品の投与量の調査も実施した。処理場の放流水中には, 投与量の99mTcでは約1.1%, 123Iでは約1.5%, 67Gaでは約4.3%, 201Tlは約0.4%の放射能が検出された。これらの核種の濃度は, 法令で定められた濃度限度の約1/100000に相当した。131Iは, 処理場の汚泥中のみで検出され, 放流水中では検出されなかった。汚泥中の131Iの有効半減期は, 汚泥の連続測定から概算して約5.5日であった。下水処理システムにおける核医学で使用した放射性核種の移行過程を, コンパートメントモデルを用いて分析した。その結果, 下水処理場へ流入している排水中の放射性核種の濃度が, 濃度限度の約1/10000から1/1000程度であると推察された。
著者
渡邉 祐子 末藤 大明 小島 和行 辻 千代子 服部 睦行 江藤 英博 鈴木 弦 淡河 恵津世 早渕 尚文
出版者
一般社団法人 日本放射線腫瘍学会
雑誌
The Journal of JASTRO (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.83-86, 2009-06-25 (Released:2009-09-12)
参考文献数
7

前立腺癌に対するI-125密封小線源治療を施行後,右室内に線源が迷入した症例を経験した.本症例は胸部写真,単純CTで冠動脈への迷入が否定できず,64列MDCTを用いた冠動脈CTを撮影することにより,部位診断に至った.今後,密封小線源療法を受ける患者が飛躍的に増加すると思われ,さまざまな部位への線源迷入が予想される.線源迷入の位置確認に際して,単純写真で左下肺野レベルに迷入線源を認め,単純CTで冠動脈への迷入が疑われるようであれば,心電図同期下で64列以上のMDCTを用い,冠動脈を評価することが重要と考えられる.