著者
中村 光宏 池内 浩基 中埜 廣樹 内野 基 野田 雅史 柳 秀憲 山村 武平
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.1008-1011, 2005-05-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
15
被引用文献数
1

[目的]潰瘍性大腸炎(以下UC) 手術症例の術前ステロイド総投与量とその副作用について検討した.[方法]1984年8月から2003年12月までに当科で経験したUC手術症例634例のうち術前のステロイド総投与量を算定できた582例を対象とした.[結果]ステロイドのmajor side effectの中で最も多かったのは,骨粗霧症で66%に認められた.骨粗鬆症に対する術後の薬物療法は,術後12カ月で有意な改善を認めたが,正常値には至らなかった.不可逆的な副作用である白内障,大腿骨頭壊死,胸・腰椎圧迫骨折は,ステロイド総投与量が7,000~10,000mgにかけて有意に増加していた.[結論]ステロイド総投与量が7,000mgを越える症例では,不可逆性の副作用の出現に注意し,出現前の手術が望ましいと思われた.また,最も多い副作用である骨粗鬆症の治療には術後1年以上の薬物療法が必要であることが明らかとなった.
著者
中村 光宏 林 恭守 澤田 秀之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MUS,[音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.135-140, 2006-08-07
参考文献数
7

発話機構を全て機械系によって構成することにより、人間のような発話動作に基づいた音声の生成が可能となる。主に肺、声帯、声道部、鼻腔、聴覚部から構成される本発話ロボットは、声のピッチを変化させながら発話を生成することが可能である。ピッチ制御には複雑な声帯振動の解析が必要であるが、ここではシリコーンゴムを皮膚程度の柔度で成形した二枚の振動体の張力と、空気の流量を、モータにより操作することによって実現した。一方、調音のための共鳴管をシリコーンゴムで成形し、これを外側から棒で押し引きして声道断面積を変化させることにより、共鳴特性を変化させて母音や子音音声を生成することが可能である。本稿では、まず発話ロボットの構成について紹介し、次にニューラルネットワークを用いた聴覚フィードバック学習に基づく音声、音階の獲得と、楽譜作成インタフェースを用いた歌声生成について述べる。
著者
中村 光宏
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

調音動作の制御と声道形態の個人差との関係を調査するために、有声歯茎側面接近音 (英語L)の調音動作の空間的・時間的動態を調査・分析した。先行研究では、英語Lは歯茎部との接触状態に基づき、舌尖調音と舌端調音に大別されるが、2種類の調音動作を時間的制御の観点から検討した研究はほとんど無い。更に、2種類の調音動作は独特の舌全体の形状を生成するが、その生成プロセスは十分に理解されていない。本調査分析では、リアルタイムMRIデータベースを使用し、歯茎部における完全閉鎖の形成過程、舌全体の形状の形成過程、舌尖・舌端調音と舌背調音との協調タイミングを観測し、調音動作の構成性の観点から考察した。3つの主要な結果が得られた。①構音時の正中矢状面画像の分析により、10名の被験者のうち8名が舌尖調音、2名が舌端調音であることが分かった。②舌尖調音による完全閉鎖形成過程は3段階に分れる。(a)正中矢状面において舌前方に「くぼみ」が形成され、(b)舌尖が歯茎部方向に伸長して完全閉鎖が実現し、舌全体は凹面状(concave)になる。そして、(c)舌背が咽頭壁方向に後退する。くぼみの形成は、母音化Lにも観察されたが、舌端調音には観察されなかった。舌尖調音に独特のくぼみの形成は、歯茎部に対する舌尖動作の接近角度(orientation angle)調整のための準備動作であるとともに、舌尖調音の開始動作でもあり、完全閉鎖形成時に、凹面の舌形状を生成すると考えられる。③音節頭/l/における協調タイミングは、舌尖・舌端調音が舌背調音に先行するパタンが観測され、音節末/l/では逆のパタンが観察された。この協調タイミングに関する結果は先行研究のものと一致する。このような結果は、調音動作の構成性には個人差が認められることを示唆する一方、それぞれの調音動作と音響的特徴との対応関係を検討する必要性を提示している。
著者
平岡 眞寛 佐治 英郎 富樫 かおり 溝脇 尚志 松尾 幸憲 吉村 通央 中村 光宏 小久保 雅樹 澤田 晃 門前 一 板坂 聡
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

放射線治療の成績向上には、生物学的画像情報の治療計画への統合と腫瘍や正常臓器の動きへの対応が必要と考えられた。我々は、放射線治療計画における生物・機能画像情報の有用性の評価、腫瘍動体評価と生物・機能画像の4次元化法の確立、および動体追尾SIB-IMRT治療の実現に向けた基盤技術開発の3つの要素に分けて研究を行った。それぞれF-MISO-PETによる低酸素イメージングにおける最適な撮像タイミング、呼吸同期FDG-PETの有用性、4次元線量計算モジュールの開発などの研究成果を挙げた。今後これらの研究成果が放射線治療の高度化と成績向上につながるものと期待される。
著者
中村 光宏 成田 雄一郎 宮部 結城 松尾 幸憲 溝脇 尚志 則久 佳毅 高山 賢二 永田 靖 平岡 眞寛
出版者
一般社団法人 日本放射線腫瘍学会
雑誌
The Journal of JASTRO (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.263-271, 2007-12-25 (Released:2008-03-28)
参考文献数
27

【目的】本研究の目的は,四次元イメージング手法の 1 つで,放射線治療分野におけるターゲット動体評価で期待されている 4D-CTの物理学的評価を行うことである.【方法】4D-CTは外部から取得した撮影対象の呼吸信号と各寝台位置で連続的に取得したCT画像を関連付けることで構成される.呼吸信号はRPMシステム(Varian Medical Systems, Inc., Palo Alto, CA, USA)で取得し,模擬腫瘍ファントムを周期的に運動させるために三次元動体ファントムシステムを使用した.4D-CT画像解析を行うためのファントム実験を行い,画像上の体積,重心,形状及び平均CT値を測定した.CT画像上で模擬腫瘍ファントムを自動的に抽出するために,CT値で閾値を設定した.【結果】三次元動体ファントムシステムの周期やCT閾値をさまざまに変化させて解析を行った結果,画像上で測定される模擬腫瘍ファントムの体積や平均CT値はこれらのパラメータに大きく依存したが,重心変位や球形度への影響は非常に小さかった.4D-CT画像には,位相ずれが含まれていたが,そのずれは3D-CT画像よりも大きく軽減されていた.【結論】 4D-CT画像解析を行うためのファントム実験を行った.4D-CTを用いることで,放射線治療計画時における臓器の輪郭入力がより正確にできるだけでなく,これらの移動範囲も定量的に評価できるようになるため,その臨床的意義は大きい.