著者
竹内 賢吾 杉谷 巌
出版者
公益財団法人がん研究会
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

日本人の甲状腺乳頭癌における既知ドライバー変異分布に関して、BRAF V600Eが約80%、NRAS Q61Rが約1%、融合遺伝子が約6%に存在することが判明した(ドライバー変異不明 約13%)。未分化癌では、BRAF V600Eが約84%に存在することが明らかとなった。甲状腺葉切除術(LT)とするか甲状腺全摘出術(TT)とするかについて明確な適応基準が確定されていない1~4cmの甲状腺内乳頭癌(PTC)において、TERTプロモーター変異が陰性であれば、TTではなくLTを施行することで、治療成績を落とすことなく過剰治療の防止および術後の合併症の低減が期待できることを示した。
著者
松村 幸子
出版者
公益財団法人がん研究会
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

標的とするがん細胞上での複数の相互作用と協同的な効果を利用することで、がん細胞を効率的に検出することを目指した。標的に結合するリガンドと、ペプチドの構造形成能力を組み合わせることで、リガンドを多数含むナノサイズのペプチド集合体を作製した。この集合体は、標的の膜タンパク質を発現するがん細胞に特異的に結合することができ、がん細胞を蛍光によって検出することができた。
著者
横山 隆志
出版者
公益財団法人がん研究会
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

Trib1とTrib2は過剰発現により急性骨髄性白血病 (AML) を誘導するが、私達はこのTrib1による白血病発症にはMEK1との直接結合を介したMAPキナーゼ経路の活性化とC/EBPαの分解が必須であることを報告している。一方でTrib1, Trib2共にホモノックアウト (KO) マウスには重篤な異常が見られず、正常組織における機能は不明な点が多い。本研究ではマウス13.5日胚と成体組織におけるTrib1/2の発現を調べ,両者の発現は一部重複するが多くの組織において両者の発現分布が異なることを示した。また造血においてはTrib1をノックアウトすると顆粒球分化の促進が見られ、C/EBPαとその標的である複数の分化制御遺伝子の発現が上昇することを明らかにした。このことからTrib1は正常造血においてC/EBPαの分解を介してその標的遺伝子を制御し、顆粒球分化を調節している可能性が考えられた。またTrib2 KOマウスでは分化の亢進は見られず、Trib1/2ダブルKOによってもTrib1シングルKOと同程度の顆粒球分化の促進しか見られなかった。正常骨髄におけるTrib1のmRNAを調べたところTrib2の約5倍発現量が多いことから。顆粒球分化の調節においてはTrib1がより優先的に機能していることが示された。