著者
谷口 貴章 横井 裕之
出版者
国立研究開発法人物質・材料研究機構
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

酸化グラフェンの還元により、室温強磁性体と室温超伝導体を創出することを本研究の狙いとした。酸化グラフェンの局所構造とマイクロ構造は還元手法により異なり、磁性も還元手法に依存することを明らかにした。この中で、光還元を行った場合は、炭素欠陥と部分的水素終端により強磁性を示すことを見出した。 電気化学酸化還元グラフェンについては、還元によりラジカルが消滅し、再酸化によりラジカルが生成する、可逆的な反応を見出した。室温超伝導については達成することができなかったが、酸化グラフェン電気化学還元における巨大磁気抵抗の可能性と大疑似キャパシタンス容量を見出した。
著者
田辺 浩介
出版者
国立研究開発法人物質・材料研究機構
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

大量のデータの収集と分析によるデータ駆動型研究の進展に伴い、データの効率よい収集や検索のために、実験データや計測データなど、研究活動において作成された実際のファイルと、それらのファイルの作成者や作成時刻、ファイルの属性などを記述したメタデータを関連付けた管理が求められるようになっている。本研究では、これらの研究データを複数の研究分野において管理・流通・再利用可能とするための「研究データパッケージング」の手法を検証・確立し、データ駆動型研究を円滑に進めるための枠組みを構築する。
著者
鈴木 誠也 吉村 雅満
出版者
国立研究開発法人物質・材料研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では、電子デハイス応用へ向けた界面へのゲルマネン合成を目指した。その結果、Si基板上に積層したグラフェン/Au/Ag/Geを加熱することで、グラフェンとAu-Ag-Geの混晶界面に数原子層のGe薄膜を析出させることに成功した。界面のGeはグラフェンがガスバリア層として機能するために、大気暴露しても酸化されないことを明らかにした。
著者
佐久間 博
出版者
国立研究開発法人物質・材料研究機構
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2017-04-01

最近の断層掘削により、多くの断層で雲母・粘土鉱物の存在が明らかとなった。これまで雲母・粘土鉱物の摩擦物性は主としてガウジを模擬した摩擦実験で測定されてきたが、その背景にある物理に関しては理解が進んでいない。本研究では雲母・粘土鉱物の摩擦を支配する要因を明らかにするために、雲母・粘土鉱物の(001)面の性質に着目する。本年度は(1)原子スケールの摩擦力とセンチメートルスケールの摩擦力の関係を明らかにし、白雲母について巨視的な摩擦力の起源を明らかとすること、(2)低法線応力(<1 MPa)で湿度制御下における粘土鉱物の摩擦力を測定すること、を目的とした。(1)ミクロとマクロの摩擦現象を接続するためには、真実接触面積を見積もることが必要となる。過去の研究から、マイクロメートルスケールでは、物質のインデンテーション硬さの逆数が、荷重と接触面積の比例定数であることが経験的に知られている。そこでこの関係がナノメートルスケールまで外挿できると仮定し、白雲母のインデンテーション硬さを計測することとした。物質本来のインデンテーション硬さを計測するため、ナノインデンテーション試験を行い、白雲母の硬さを求めた。この硬さから、荷重に応じた真実接触面積を導出した。また白雲母表面の第一原理計算から微視的な摩擦力を求め、この力と真実接触面積から巨視的な摩擦力の理論値を導出したところ、巨視的な摩擦実験の結果と良い一致が見られた。このことは巨視的な摩擦力の起源が原子スケールの摩擦力に起因することを示唆している。本成果をScience Advances誌に報告した。(2)低法線応力下では摩擦面の粗さが摩擦力に大きく影響することがわかり、粗さが影響する法線応力の範囲今後明らかとし、その原因を探る必要がある。
著者
目 義雄
出版者
国立研究開発法人物質・材料研究機構
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

ユビキタス元素のみからなるTi-Al(Si)-C(N)系MAX相を対象に配向積層体を作製し、強度、靭性の優れた材料系を提示することを目的とした。代表的なMAX相炭化物であるTi3SiC2およびAl2O3を添加したTi3SiC2の配向体を強磁場中コロイド成形およびパルス通電加熱により作製し、配向体化およびをAl2O3添加により強度・靱性は向上することを明らかにした。また、Ti2AlNについても配向化により、強度・靱性は向上し、摩耗特性も向上した。さらに、従来MAX相のXがBでも熱力学的計算により安定相が存在すること、MAX相の相関元素が溶出したMxenes2次元化合物の特性の可能性を示した。